不妊治療

令和4年4月から、不妊治療が保険適用されます。

体外受精などの基本治療は全て保険適用されます

国の審議会(中央社会保険医療協議会)で審議された結果、関係学会のガイドラインなどで有効性・安全性が確認された以下の治療については、保険適用されます。

生殖補助医療のうち、上記に加えて実施されることのある「オプション治療」についても、保険適用されるもの、「先進医療」(※)として保険と併用できるものがあります。
※診察受診時にご確認ください。

年齢・回数の要件(体外受精)は助成金と同じです

保険診療でも、これまでの助成金と同様に以下の制限があります。なお、一部の方に経過措置が適用されます。
詳しくはQ9,Q10をご確認ください

※ 助成金の支給回数は、回数の計算に含めません。(Q8参照)

窓口での負担額が治療費(※)の3割となります ※保険診療の治療費

治療費が高額な場合の月額上限(高額療養費制度)もあります。
具体的な上限額や手続は、ご加入の医療保険者(国民健康保険にご加入の方は、お住まいの市町村の担当窓口)にお問い合わせください。

[ 不妊治療の保険適用に関するQ&A 厚生労働省の通達より引用

1.保険診療を受けるに当たって

Q 保険診療を受ける際に必要な準備はありますか?

A 受診の際には、不妊治療の治療歴や受診した医療機関などの情報を医師等にお伝えください。また、できるだけ患者様とパートナー様のお二人で受診してください。

Q どの医療機関で保険診療を受けることができますか?

A 助成金の指定医療機関であれば保険診療の施設基準を満たす経過措置があります(令和4年9月30日まで) 。各医療機関が地方厚生局に届出を行うことになりますので、かかりつけの医療機関又はお近くの医療機関にご確認の上、受診してください。

Q 事実婚の場合も保険適用の対象ですか?

A 助成金と同様に対象となります。なお、受診の際に医療機関から、事実婚関係について確認されたり、書類を求められたりすることがあります。

2.治療内容など

Q 先進医療を受ける際には、何か手続が必要ですか?

A 治療内容や費用について同意が必要になりますが、それ以外に患者側に特段の手続はありません。なお、先進医療は、医療機関ごとに実施可能な内容が異なりますので、具体的には、受診される医療機関とよくご相談ください。

Q 採卵は、複数回実施することはできますか?

A 保険診療で採卵を行う際は、治療開始時に医師が作成する治療計画に従って行うことになります。その際、医学的に必要と判断された場合は、複数回採卵を行うことも想定されます
(例えば、採卵を行っても卵子が得られない場合など)。

Q 採卵を保険診療、胚移植を保険外診療で実施することはできますか?

A 保険診療と保険外の診療(先進医療を除く)を組み合わせて実施することはできません。

3.保険適用前から不妊治療をされている場合

Q 保険適用前に不妊治療で凍結保存した胚は、保険適用後も使えますか?

A 助成金の指定医療機関や学会の登録施設で作成・凍結された胚は、基本的に保険診療でも使用可能です。具体的には、受診される医療機関とよくご相談ください。

Q 保険適用で実施できる胚移植の回数は、過去の治療実績が含まれますか?

A 保険診療における胚移植の回数制限は、保険診療下で行った胚移植の回数のみをカウントしますので、過去の治療実績や助成金利用実績は加味されません。

4.年齢制限・回数制限の経過措置

Q 4月に43歳の誕生日を迎えますが、準備が間に合わず43歳未満で受診できなかった場合 には、もう保険診療を受けることはできないのでしょうか?

A 施行当初は医療機関側の準備が整っていないことも想定されるため、令和4年4月2日から同年9月30日までの間に43歳の誕生日を迎える方については、43歳になってからでも、同期間中に治療を開始したのであれば、1回の治療(採卵~胚移植までの一連の治療)に限り保険診療を受けることが可能です。

Q 4月に40歳の誕生日を迎えますが、準備が間に合わず40歳未満で受診できなかった場合には、回数制限の上限は通算3回となってしまうのでしょうか?

A 施行当初は医療機関側の準備が整っていないことも想定されるため、令和4年4月2日から同年9月30日までの間に40歳の誕生日を迎える方については、40歳になってからでも、同期間中に治療を開始したのであれば、回数制限の上限は通算6回となります。

不妊治療について初めての方や不妊症にご不安の方へ

ひとりでも多くの患者様のサポートができるよう、当院では患者様お一人お一人に合わせた検査・治療を心がけております。
また、日々進歩している不妊治療に対し、当クリニックでは最新の医療技術を取り入れ、一般不妊治療から高度生殖医療までをご提供できる検査・治療環境を整えております。

一般不妊治療

・タイミング治療

排卵日を予測してその日に性行為を行うことで、排卵と性行為のタイミングを一致させる方法です。 自然に妊娠する可能性が高くなります。

・排卵誘発

排卵が正常に行われていないことが判明した場合に、薬で排卵をコントロールする治療法です。 薬物は内服薬から注射まで、さまざまな種類があります。

・ホルモン療法

ホルモン剤を投与することで、月経周期を整え自然に妊娠しやすくなるように促す治療法です。 妊娠をつかさどるさまざまなホルモンのバランスを整えることが目的です。

・不妊漢方医療

不妊症の多くの症状を改善する効果がある、漢方薬を処方して行う治療法です。原因がはっきりしない場合でも行えるため、広く実施されています。

生殖補助医療(ART)

・人工授精

精子を子宮の中に直接注入して、受精を促す治療法です。排卵日を狙って行うことで、受精する確率を高めることができます。

・体外受精ー胚移植法(IVF-ET)

卵子と精子を体外で人為的に受精させて、受精卵が胚になったところで子宮に移す方法です。 人工授精でも効果がない場合によく行われます。

・顕微授精(ICSI)

顕微鏡下で1個の卵子の中に1個の精子を直接注入して受精させて、子宮に移す方法です。精子の運動率の低いケースや精子の少ないケースに行います。

・精子・胚凍結

体外受精等で精子や胚を、液体窒素で凍結させて保存しておくことです。特に胚凍結は、子宮着床障害の治療等にも活用することができます。

・凍結胚移植

凍結保存しておいた胚を解凍して、子宮に移すことです。ただ移すだけではなく、子宮の中やホルモンの条件を整えてから行うことが一般的です。

・アシステッドハッチング(孵化補助)

胚を子宮に移す前に、胚の透明帯を薄くしておいたり破っておいたりして、 子宮の中で着床が成功する確率を上げる方法です。

・レーザーアシステッドハッチング(LAH)
・タイムラプスによる胚培養

卵巣刺激法

・完全自然周期

 原則として経口、注射にかかわらず、排卵誘発剤を使用しない方法です。

《メリット》
・排卵誘発剤を使用しないため、身体への負担が少ない。
・連続した周期に採卵が可能である。
・凍結をせずに移植が可能であり、費用は最も低くなる。

《デメリット》
・月経周期が不順な場合は行うことが難しい。
・卵子が採れないときがある。

・クロミッド法

クロミッドを月経周期3日目より服用を開始し、HMG注射などを併用して卵胞発育を調整します。なるべく自然に近い方法で、卵子を2~3個採りたい場合が適応です。

《メリット》
 ・連続した周期に採卵が可能である。
 ・1周期あたりの費用は低めである。

《デメリット》
 ・子宮内膜が薄くなるため、凍結保存をして別の周期に融解胚移植をすることが多い。
 ・採卵数が少なく、不成功の場合はまた採卵から実施することとなる。

・レトロゾール法

もともと閉経婦人の乳がん治療を適応とする内服薬であるレトロゾールは、男性ホルモンを女性ホルモンに転換する酵素を阻害する為、短期間内服すると、①女性ホルモンの一過性の低下に伴い、脳下垂体からのFSH(卵胞刺激ホルモン)分泌増加 ②卵巣内における男性ホルモンの一過性の増加に伴い、FSH受容体増加という2つの効果により卵胞発育を促進します。

《メリット》
・子宮内膜が薄くならない。
・クロミッドが効かないような場合でも卵胞が発育することがある。
・乳がんの既往がある場合にも使用が可能である。

《デメリット》
・エストロゲン量の減少に伴い、骨量減少や血圧上昇、更年期障害に似た症状が発生することがある。

・ロング法

アゴニスト製剤の点鼻薬を前周期から開始し、FSH/HMG注射を使い自然排卵を抑えながら、複数の卵子を育てます。

《メリット》
・前周期から薬でコントロールできるため、下垂体ホルモンを完全に抑制してから排卵誘発剤を使用する為、卵胞発育が均一になる。
・排卵してしまう可能性がほとんどない。
・採卵日のコントロールが容易。

《デメリット》
・強い刺激で多くの卵子を確保できる方法ですが、AMHが高くPCOSなどが疑われる方の場合OHSSになる可能性が高くなる。
・高齢の方や卵巣内に残っている卵子の数が少ない方は注射の反応が悪くなり卵胞が育たない可能性がある。
・注射量が多く、点鼻薬が追加で必要となるため費用負担が多くなる。
 ・前周期の避妊が必要。

・ショート法

 アゴニスト製剤の点鼻薬を月経開始から使用し、FSH/HMG注射を使い自然排卵を抑えながら、複数の卵子を育てます。

《メリット》
・アゴニスト開始直後2~3日間は、下垂体ホルモンのフレアアップ(一度押さえ込まれることによりリバウンドをおこすこと)を卵胞発育に利用できる。

 《デメリット》
・卵子成熟法にアゴニスト製剤を使用できず、HCGを使用する為、OHSSになる可能性がある。
・卵巣予備能が低い場合は、抑制が効きすぎて卵胞発育が悪くなることがある。
・薬の影響が次周期に残りやすくなる。

・アンタゴニスト法

月経3日目からFSH/HMG注射、クロミフェンやレトロゾールの服用で卵子を発育させ、ある程度大きくなったら、アンタゴニスト製剤を注射し排卵を抑える方法です。

《メリット》
・はじめの段階から下垂体ホルモンの抑制をしないので、ロング法・ショート法に比べ卵胞が発育しやすい。

《デメリット》
・アンタゴニスト製剤を使用しても稀に早期に排卵してしまうことがある。
・アンタゴニスト製剤が高額なため、卵胞発育が遅い場合は費用負担が多くなる。

・PPOS

卵巣刺激の際に黄体ホルモン剤を併用する方法です。黄体ホルモンは排卵後の黄体から分泌されるホルモンであり、子宮内膜の着床環境を調整する妊娠成立に必要不可欠なホルモンと同時に、排卵抑制効果があります。方法としては、月経開始2~3日目からFSH/HMGを連日注射し、注射開始日から黄体ホルモン製剤を内服し卵胞を育てます。

《メリット》
・治療開始前の準備期間が必須でないため、治療期間も短い。
・アンタゴニスト製剤に比べて黄体ホルモン製剤は安価なため費用が抑えられる。
・OHSSのリスクがある場合は、卵子成熟をアゴニスト点鼻薬で行うことができる。
・通院スケジュールがアンタゴニスト法と比較して組みやすい。

《デメリット》
 ・黄体ホルモン製剤を使用するため、高温期のホルモン状態になってしまい新鮮胚移植ができない。
 ・アンタゴニスト法より1~2日刺激日数が長くなる傾向がある。

 どの卵巣刺激法が適しているかは、AMHなどのホルモン値や卵巣の反応によって選択をします。しかし、このようにして選択した刺激法でも、必ずしもいい結果が得られるとは限りません。その場合は同じ方法を続けるのではなく、刺激法を変更することも考える必要があります。

不妊治療に関する費用(2022年4月1日より)

採卵

77,000

減額対象があります。

培養

110,000円~

187,000

卵子が得られない(空胞)の場合において、採卵準備費用55,000円がかかります。

胚移植

55,000

 

顕微授精

55,000

 

胚盤胞培養

33,000

 

余剰胚凍結

33,000円~

(通院中の方のみ対象)33,00055,000

凍結胚移植

110,000

 

人工授精

19,800

 

精子凍結

22,000

 

レーザーアシステットハッチング

22,000

 

SEET

22,000

先進医療

カルシウムイオノファ

(卵子人的活性化薬剤)

16,500

 

ペントキシフィリン

(精子運動活性化薬剤)

16,500

 

夫感染症

11,000

自費

精液検査

2,200

自費

検査内容 自費(税込) 保険適用
クロミッド法 150,000円~270,000円(税別) 10,000円〜20,000円
フェマーラ(レトロゾール法) 150,000円~250,000円 640円~1,280円
アゴニスト法:ロング法 200,000円~250,000円(税別) 15,000円〜23,000円
ショート法 500,000円(税別) 20,000円〜25,000円
アンタゴニスト法 220,000円~380,000円(税別) 30,000円〜50,000円
PPOS法 80,000円~150,000円(税別) 20,000円〜30,000円
ERAテスト※1  ※自費のみ 約154,000円
子宮内膜マイクロバイオーム検査:EMMAテスト ※自費のみ 約88,000円
感染性慢性子宮内膜炎検査:ALICEテスト※自費のみ 約88,000円
胚盤胞培養(5日間培養した場合) 33,000円
余剰胚凍結保存更新料(1年間) 44,000円 10,500円

※保険適用は3割負担の場合の金額です。

※1 検査費用だけです。ERAテストに至るまでの検査費(エコー、超音波検査、ホルモン検査、ホルモン剤代)は含まれておりません。

ERA、EMMA、ALICEの3つの検査を行う場合は約180,000円です。

  • 2022年4月より保険適用となります。
  • 上記以外の治療および検査費用、または詳細につきましてはお問い合わせください。
  • 上記の費用は予告なく変更する場合がございますので、予めご了承ください。

主なリスクと副作用

〇SEET法
胚盤胞を凍結保存する際に培養液の一部(SEET液)も凍結保存し、胚盤胞移植の前にその培養液を子宮内に注入します。
デメリットとしては、感染のリスクの可能性があるので、移植周期の受診回数が1回増えてしまう場合があります。

〇ERAテスト
ERA検査では、患者様の子宮内膜を採取し、遺伝子解析します。子宮内膜の着床能を遺伝子レベルで解析することで、患者様ひとりひとりの着床ウィンドウを特定することができます。患者様それぞれに微妙に違う着床ウィンドウを特定して胚移植することで、妊娠成功率は高くなります。
頻度は稀ですがERA/EMMA/ALICE検査を実施されるにあたり、考えられるリスクとして出血、子宮内感染、子宮穿孔等があります。

〇子宮内膜マイクロバイオーム検査:EMMAテスト
頻度は稀ですがERA/EMMA/ALICE検査を実施されるにあたり、考えられるリスクとして出血、子宮内感染、子宮穿孔等がございます。

〇感染性慢性子宮内膜検査:ALICEテスト
頻度は稀ですがERA/EMMA/ALICE検査を実施されるにあたり、考えられるリスクとして出血、子宮内感染、子宮穿孔等がございます。

※ERA、EMMA、ALICE上記全ての検査は現在スペインに検体を国際輸送し検査・解析しております。輸送中の事故等による検体の破損・もしくは逸失につきましては、その理由を問わず当院では一切の責任を負えないことをご了承ください。

〇精子・胚凍結
凍結融解操作の過程で氷晶、低温、耐凍剤に由来する障害を受ける可能性があります。但し、凍結融解精子を用いた治療によって出生した児が、新鮮精子を用いた治療と比べて発育に差が出る、先天奇形など異常の頻度が高くなるという報告はありません。
融解後100%の生存率を保障できないこと、凍結および融解の際にダメージを受け、胚(受精卵)が死滅した場合は移植がキャンセルになる可能性があること、耐凍剤や凍結保存によって透明帯が硬化することがあり、融解後にアシステッドハッチング(孵化補助)が必要となる可能性があります。

〇レーザーアシステッドハッチング(LAH)
当院ではレーザーを用いてアシスティッドハッチングを行なっています。レーザーが胚に直接照射されると変性のリスクがあるため、胚と透明帯の間に隙間がある時期に施行することで、そのリスクを回避しています。

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