生理で吐き気がするのはなぜ?つらい生理の原因や対処・予防法を紹介

生理時の症状として代表的なものに下腹部の痛みがありますが、人によっては吐き気を伴うケースがあります。
生理時の吐き気にはさまざまな原因が考えられるため、対処や予防を行うことで不快感を軽減することが大切です。
この記事では、生理時の吐き気の原因や、対処・予防する方法を紹介します。
生理時に吐き気を感じやすい人や、予防のために普段からできることを知りたい人は参考にしてください。
生理で吐き気がするのはなぜ?

生理の時に吐き気がするのには、以下の原因が考えられます。
貧血を引き起こすため
生理になると、過多月経による鉄欠乏性貧血や脳貧血(立ちくらみやめまいを伴う一時的な脳への血流不足)が原因で吐き気を感じるケースがあります。
過多月経とは、1回の生理で150ml以上の経血がみられる状態で、赤血球に含まれるヘモグロビンの濃度が低下することで引き起こされる鉄欠乏性貧血の主な要因です。
鉄欠乏性貧血によりヘモグロビンの量が減少すると、吐き気や食欲低下などを引き起こす可能性があります。
また生理中は、脳への血液の供給が減少することで脳貧血を起こしやすくなり、吐き気のほかに立ちくらみやめまいなどが症状として現れます。
鉄欠乏性貧血の治療に用いられる鉄剤の副作用として吐き気がみられるケースもあるため、婦人科で検査のうえ、過多月経の治療を受けることが望ましいです。
胃を収縮させる物質が分泌されるため
生理になると、胃を収縮させるプロスタグランジンという物質が分泌されるため、吐き気や胃の不快感、胃痛などを伴う可能性があります。
生理になると、不要になった子宮内膜を排出するために、子宮収縮作用のあるプロスタグランジンの生成量が増加します。
このプロスタグランジンが吐き気や生理特有の腹痛の原因で、生理時の不快な症状の多くに関わっているといっても過言ではありません。
プロスタグランジンは、子宮口の未発達や身体の血行不良、個人差によって分泌量が増加します。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を服用することで、プロスタグランジンの働きを抑えることが可能です。
鎮痛剤の影響
生理痛を緩和させるために鎮痛剤を何度も服用すると、副作用で吐き気を伴うケースがあります。
生理痛が酷い人は特に鎮痛剤を常用する傾向がありますが、飲みすぎることで胃に負担をかけ、吐き気や胃もたれなどの症状を引き起こす可能性があります。
鎮痛剤を使用する場合は、用法・用量を守って服用したり、胃の粘膜を保護する成分を含んでいるものを選択したりすることが大切です。
ピルを服用しているため
生理不順や月経困難症の治療のためにピルを服用すると、副作用として一時的に吐き気を伴う可能性があります。
エストロゲン(卵胞ホルモン)と、プロゲステロン(黄体ホルモン)と呼ばれる2種類の女性ホルモンを含む低用量ピルは、生理時のトラブルを総合的に改善する効果が期待できますが、体内のホルモンバランスが変化することで1週間〜3ヶ月のあいだ吐き気が起こるケースがあります。
副作用が軽い場合は様子をみて、長く続いたり症状が強かったりする場合は、吐き気止めを併用しましょう。
市販の吐き気止めの服用も選択肢のひとつですが、自己判断での服用は避け、婦人科に相談して適切な薬を処方してもらったり、ピルの種類を変更したりなどの対処をすることが大切です。
生理の吐き気は月経困難症が原因かも

生理時に日常生活に支障をきたすほどの病的な症状を伴う人は、月経困難症の可能性があります。
月経困難症でみられる症状は以下の通りです。
- 下腹部の痛み
- 腰痛
- 腹部膨満感
- 吐き気・嘔吐
- 頭痛
- 疲れやすい
- 脱力感
- 食欲不振
- イライラしやすい
- 下痢
- 憂うつ
これらの症状は記述の順に多いとされているため、生理時の吐き気には多くの女性が悩まされていると言えます。
月経困難症には、機能性月経困難症と器質性月経困難症の2種類があります。
機能性月経困難症は、身体的な原因がない状態で症状を伴うため、精神的なストレスや生理への嫌悪感・不快感から発症するとされている疾患です。
生理は痛い・怖いという不安を感じやすい思春期の女性に多く見られます。
器質性月経困難症は子宮や卵巣の異常によって症状がみられる疾患で、子宮筋腫・子宮内膜症・子宮腺筋症などが原因で引き起こされます。
初経から5年以上経過したタイミングで発症する可能性もあるため、いままでなかった症状が急に現れるケースも少なくありません。
器質性月経困難症の場合、原因となる疾患が複数合併している可能性も懸念されます。気になる症状があるときは、早めに婦人科で検査を受けましょう。
生理時の吐き気の対処法

生理で吐き気がある場合は、以下の対処法を試しましょう。
可能であれば軽く食事をする
空腹は吐き気を誘発しやすいため、軽く食事をとるか、難しいようであれば飲み物を口にすることで和らぐ可能性があります。
食欲がない場合は、胃に優しいものを少し食べるだけでも吐き気が緩和されるでしょう。
固形物を摂取するのが難しい場合は、吐き気を抑えるミントやショウガを含む飲み物がおすすめです。
特に、抗炎症作用やプロスタグランジンの減少に効果的なハチミツを組み合わせたハニージンジャーティーは、生理時の食欲不振・腹痛・吐き気がある時に適しています。
プロスタグランジンの分泌を抑制する薬を使用する
生理で吐き気を感じる場合は、プロスタグランジンの分泌を抑制する薬を服用しましょう。
生理痛の原因になるプロスタグランジンには子宮を収縮する作用がありますが、胃や腸などの消化器官にも作用するため、吐き気の原因になるケースもあります。
痛み止めとして効果を発揮するロキソプロフェンやイブプロフェンなどには、プロスタグランジンの働きを抑制する効果も期待できます。
吐き気に対して服用するのもおすすめですが、これらの市販薬は胃痛の副作用が現れる可能性があるため、その場合はアセトアミノフェンが含まれるものを選択しましょう。
また、人によっては市販薬では吐き気の抑制効果があまり感じられないケースもあります。婦人科で相談のうえ、適切な薬を処方してもらうことをおすすめします。
腹部を温める
吐き気の原因になる体の冷えを予防するには、腹部を中心に全身を温めることが大切です。
冷えによって血行不良になると、子宮が硬くなり収縮性が低下することで経血を押し出すために、多量のプロスタグランジンが必要になります。
身体を温めることでプロスタグランジンが過剰に生成されるのを防げるため、カイロや腹巻きなどを利用したり、湯船に浸かったりして腰回りを中心に温かくしましょう。
リラックスできる姿勢をとる
生理時に吐き気を感じた場合は、リラックスできる姿勢をとりましょう。
激しい運動や長時間の立ち仕事によって身体にストレスがかかっていると、吐き気が強くなる可能性があります。
適度に楽な体勢をとったり、休憩をはさんだりすることが大切です。
ストレッチやマッサージを行う
生理時の吐き気には、ストレッチやマッサージが効果を発揮する可能性があります。
腸の働きを活発にしたり血行を促進したりすることで、吐き気の抑制効果が期待できます。
生理時は吐き気のほかに頭痛や腹痛を伴うケースもあるため、無理のない範囲で行いましょう。
生理時の吐き気を予防するためには?

生理時に吐き気を感じやすい人は、以下の予防法を参考にしてください。
胃に負担をかけない食事をとる
生理の際は、胃に負担をかけない食事を心掛けましょう。
油脂を多く含むものや刺激物を避け、食欲がない場合はお粥やうどんのような消化にいいものを食べることをおすすめします。
冷たい飲み物や身体を冷やす食べ物は生理痛を強くする原因になるため、身体を温める物を選択して、なるべく空腹にならないように工夫することが大切です。
空腹時は胃酸過多によって気持ち悪いと感じやすくなります。少量でも食べ物をお腹に入れることが大切ですが、胃に負担をかけないよう、一度にたくさんの量を食べることも避けましょう。
鉄分を含む食事を意識する
生理時には鉄欠乏性貧血が原因で吐き気を感じるケースがあるため、鉄分を含む食事を普段から意識することが大切です。
レバーや赤身肉、魚の血合いなどには、吸収率が高いヘム鉄と呼ばれる鉄分が豊富に含まれています。
納豆や豆腐、卵などに含まれる非ヘム鉄はヘム鉄と比較して吸収率は低いものの、動物性たんぱく質やビタミンC、クエン酸と合わせて摂取することで吸収効率が上がります。
鉄剤で不足している鉄分を補給することで吐き気が改善する場合もありますが、鉄剤の仕様は医師の判断のもとで行うことが重要です。また、生理時の鉄欠乏性貧血はなんらかの疾患のサインである可能性もあるため、婦人科で一度検査を受けることが推奨されます。
生理中はお酒・たばこ・カフェインを避ける
お酒・たばこ・カフェインは胃腸に負担をかけ、お酒やたばこは吐き気を含むPMS(月経前症候群)の原因になる可能性があります。
胃腸に負担がかかると吐き気を引き起こす場合があるため、生理の時はアルコールやカフェインを多く含む飲食物を摂りすぎないように注意が必要です。
また、生理で吐き気を感じやすい人は節煙・禁煙が推奨されます。
お酒やたばこのほか、甘いものを摂る機会が多い人はPMSになりやすく、生理前から吐き気を含むさまざまな不快症状を引き起こす可能性があるため、これらの嗜好品は可能なかぎり控えましょう。
まとめ
生理で吐き気を感じる原因や、対処法・予防法を紹介しました。
生理に伴う重い症状は、月経困難症が原因である可能性があります。
なかには何らかの疾患によって現れる症状もあるため、生理時の体調不良は当たり前と考えず、婦人科の受診を検討することが大切です。
生理にともなう不快症状は人により異なりますが、三軒茶屋ウィメンズクリニックでは、患者さん一人ひとりの体質や希望を考慮したオーダーメイドの治療を行います。
平日(木曜日は除く)は19時まで診療しているため、仕事終わりのご利用も可能です。
吐き気をはじめ、生理のつらい諸症状でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。