
はじめての妊活はじめての不妊治療 Q&A
三軒茶屋ウィメンズクリニックはじめての妊活・はじめての不妊治療について、クリニックスタッフが回答いたします。
Q どのタイミングで受診するのが良いでしょうか。
初診は月経周期のいつでもかまいません。
不妊症の検査や治療の多くは月経周期に合わせて行う必要があります。例えば子宮卵管造影は月経後の 時期(月経開始10日目頃)に行いますし、フーナーテストは排卵の時期に行います。しかし、患者さま各々 で必要な検査や治療は違うため一概に初診はいつがいいとはいえません。当クリニックでは初診時にはまず よくお話を聞き、十分な説明を聞いて頂くことが最も重要と考えていますので、初診は月経周期のいつでも かまいません。
Q 子宮卵管造影などの不妊検査は痛いですか。 また検査自体は1回で終了するものですか。
ほとんど痛みのないものから、麻酔を必要とするものもあります。
不妊症の検査や治療には様々なものがあります。精液検査や超音波検査、人工授精のようにほとんど痛みの ないものから、子宮卵管造影のように多少の痛みを伴うもの、体外受精の採卵のように麻酔を必要とするものもあります。
*なお、検査回数(検査内容)については、治療方法や患者さまの状態等により異なりますので、クリニ ックと相談の上ご確認ください。
Q 仕事との両立について不安ですが、大丈夫ですか。
仕事と不妊治療との両立は構いません。
不妊症の検査や治療の多くは月経周期に合わせて行いますので、会社の都合等で定期的に通院できないとな ると、なかなかスム-ズには検査や治療が進まないことも事実ですが、当クリニックでは患者さまの生活スタイ ルに合わせるよう、診察時間や診療日にも配慮して診察を行っています。また、待ち時間を軽減するための予約 システムや採卵のみの祝日対応等、仕事と不妊治療との両立を提案しています。まずは一度受診をしてよく相談 するのがよいと思います。
Q 妊娠までの期間と費用について、どの程度かかりますか。
治療内容によって検査の進め方はそれぞれです。
年齢や不妊期間の長さ、過去の治療内容によって検査の進め方はそれぞれです。月経周期に合わせて不妊検査 を行うため、初診からすべての基本検査が終わるまでにはおおよそ1~2ヶ月かかります。不妊検査は、月経周期 に関係なくいつからでも始められます。
Q 服用している薬、また持病があるのですが大丈夫ですか。 (他科医療機関に通院中、他疾患による術後直後など。)
持病の主治医と連携が必要になることもあります 。
まずは、持病の主治医に相談してみましょう。病気によっては、妊娠に適さない時期や、妊娠中や出産後の体調管理 が必要な場合もあります。持病の主治医と連携が必要になることもありますで、まずは相談してください。
Q 生理がある間は妊娠ができるのでしょうか。
最近、卵巣の予備能の指標であるAMH(アンチミューラリアンホルモン)が測れるようになりました。
年齢と共に妊娠しにくくなる事はなんとなく分かっている人が多いと思いますが、妊娠の限界、生殖年齢が個人によっ て大きく違う事はあまり知られていません。卵子を保存している卵巣内の卵子の在庫の目安である卵巣予備能は、年齢よ りも個人の差の方がずっと大きく、最近、卵巣の予備能の指標であるAMH(アンチミューラリアンホルモン)が測れるよう になり、自分の卵巣予備能が分かるようになってきました。自分自身の生殖年齢や妊娠適齢期やAMHを測ることにより、あ らかじめ設定し、悔いのない幸せな家族形成と女性の人生設計に役立ててほしいと思っています。
*なお、治療で行き詰った時や、相談したい時など、治療中の精神的サポートをおこなう「ナースなんでも相談」がござい ますので、お気軽にお問い合わせください。
Q 不妊治療や妊活は、どのように進めていくのでしょうか。
まずは、以下の確認事項等を患者さまと十分に話し合い、様々な角度から考慮した上で、治療方針等を決めてゆきます。
- 基本的な不妊治療の説明をおこなうとともに、患者さまのライフスタイルや身体状況等を相互に理解し合います。
- 通常の夫婦生活があり、結婚後2年以上経過しているかどうか。
- 明らかな不妊原因があるかどうか。そのために、ご夫婦に十分な問診をおこないます。
- 当院を受診する以前に他のクリニックで治療を行っていたかどうか、行っていたのであればどのような治療をどのくらいの期間行っていたのかを確認します。
などなど・・・
ケーススタディ
結婚後2年以内で、問診や検査で明らかな不妊原因が見出せないケース
基礎体温の計測を開始し、タイミング法から開始するのがよいでしょう。
タイミング法は、排卵日がそろそろ近いと思われる時期に来院していただき、超音波検査で 卵胞(排卵が近づくとともに卵巣に作られる卵子を含んだ嚢胞)の大きさを計測します。双 方の所見をあわせると排卵日をかなり正確に診断できるので、排卵日に合わせて性交渉を持 ちます。タイミング法は原則として、6か月程度をめどに行います。これで妊娠に至ら ない場合は、人工授精へのステップアップを考慮します。
年齢が30代後半かつ不妊期間3年以上で、不妊原因が見出せないケース
人工授精を考慮しつつ、早めのステップアップをおすすめします。
自然妊娠は、その90%が結婚後2年目までに成立しています。一方、4年目以後では自然妊娠 されるご夫婦はかなり少なくなり、5年目以後の自然妊娠は非常に稀になります。不妊期間が 長いご夫婦や妻の年齢が高いご夫婦では、妊娠の可能性が低いタイミング法のために費やす 6か月は無駄になってしまう可能性があり、直ちに人工授精から開始するのがよいと思いま す。人工授精の回数は原則6回としていますが、特に40歳以上では人工授精を3回程度にとど め早めに体外受精にステップアップすることも考慮されます。
他院で治療を行っていた場合
他医療機関での治療内容を十分に精査させていただいた上で、治療をステップアップ がよいのか、手術を(子宮筋腫や卵巣嚢腫の摘出)がよいのか、などの判断をさせていただきます。
治療の流れ
治療の流れ(下記フローチャート参照)としては、まず基本検査をします。そして基本検査で異常 が見つからなければ、排卵と射精のタイミングをより正確に合わせるタイミング療法をします。 だいたい2~3ヶ月をメドに、結果が出なければ次は排卵誘発(卵巣を刺激して卵胞を多く 成熟 させる)をするという具合に、手段を変えていきます。それを「ステップアップ治療」と呼んでいます。 それでも結果が出なければ、人工授精(精子を子宮に入れる)→体外受精(卵子に精子をふりかける) →顕微授精(卵子の中に精子を入れる)と、手段や方法をより高度なものに変えていきます。
ステップアップ治療というのは、ある治療をして、それに対して結果が出るかどうかで判断するもので、 他の病気の治療とは根本的に違います。どのくらいで次に進むかはドクターや患者さまによりいろいろ ですが、一般的に5~6周期でステップアップし、2年以内に結果を出すことが望ましいとされています。
Q 不妊症治療や妊活は、具体的に何をするのですか。
まず、「不妊症」についてご説明します。
日本産科婦人科学会では「生殖年齢の男女が妊娠を希望し、一定期間避妊することなく性生活をおくっているにもかかわらず、 妊娠の成立をみない病態」と定義されています。
一般には2年間がその期間とされていますが、WHOや米国不妊学会等では不妊症を診断される期間は1年ともいわれています。
また、女性が妊娠できる年齢は40代前半までが望ましいので早期に不妊症の診断や治療を開始しないとますます妊娠 しにくくなることにもなります。このように病気や不安な要素がある場合には、一定期間妊娠しないことを条件とせず、早めに婦 人科で不妊について相談して頂きたいと思います。
では、実際に不妊症治療(妊活)について、ご説明いたします。
不妊症に対しては、原因に応じた治療を行います。治療は保険適用のものから自費のものまであります。
排卵と受精を補助する方法には、タイミング法、排卵誘発法、人工授精、 そして体外受精などの生殖補助医療があり、順番にステップアップして行われることが多いです。腹腔鏡検査は、 タイミング法、排卵誘発法、人工授精などの一般不妊治療で妊娠されなかった方に対して行われます。腹腔鏡検査では、子宮内 膜症などの病気が見つかることがあり、検査と同時に子宮内膜症の治療を行えるメリットがあります。
タイミング法
排卵日の2日前から排卵日までに性交渉があると妊娠しやすいと言われているため、排卵日を診断して性交のタイミングを合わせる治療です。排卵予定日の数日前に経腟超音波検査により、卵巣内の卵胞という卵子が入っている袋の大きさを測定します。卵胞の直径が20ミリくらいになると排卵するといわれているため、これを元に排卵日を推定します。補助的に、血中の排卵ホルモン(黄体化ホルモン、LH)を検査して、排卵日を正確に予測する方法もあります。基礎体温は女性ホルモンの分泌状態や排卵を知る簡便な方法ですので、出来るだけつけるようにしてください。
排卵誘発法
内服薬や注射で卵巣を刺激して排卵をおこさせる方法です。通常、排卵のない患者さまに排卵をおこすために使われますが、人工授精の妊娠率を高めるためや、体外受精などの生殖補助医療の際にも使われることがあります。
人工授精
用手的に採取した精液から運動している成熟精子だけを洗浄・回収して、上記の妊娠しやすい期間に細いチューブで子宮内にこれを注入して妊娠を試みる方法です。
生殖補助医療
生殖補助医療には、体外受精と顕微授精がありますが、いずれも経腟的に卵巣から卵子を取り出して(採卵)、体外で精子と受精させ、数日後に受精卵を子宮内に返します(胚移植)。日本では1982年から臨床応用されました。人工授精等の治療によって妊娠しない難治性不妊症に対して行われます。年齢が一定以上になった場合には精子や卵子の力が下がってくるという原因が重なって来ることもあります。このようなことから、卵子や精子の力が低下していることが疑われる場合、早期に体外受精を考える必要もあります。