生理中にお酒を飲んでも大丈夫?身体に与える影響や注意点を解説

生理中だけれど飲み会の予定が入ってしまった、お酒を飲んでもいいのか、という疑問がある方もいるのではないでしょうか。
また、生理中で気分が落ち込むから、気分転換にお酒を飲みたいと思う方もいるかもしれません。
しかし、生理中は個人差はありますが、お酒を控えたほうがいいと言われています。
この記事では、生理中にお酒を飲むことで女性の身体と精神にどのような変化をもたらすのかについて解説します。
生理中の飲酒の注意点やよく聞く生理とお酒に関わる疑問についても解説していますので、生理中にお酒を飲んでもいいのか、と不安に思っている方は、ぜひご覧ください。
生理中にお酒を飲んでもいい?

生理中にお酒を飲むことは、身体にさまざまな症状を引き起こす可能性があり、控えたほうがよいとされています。
特に女性は生理中でなくとも、肝臓の大きさが小さく、男性よりもアルコールに弱いと言われています。
また、アルコール代謝速度、血液循環量も男性よりも女性のほうが少ないため、アルコールが長時間身体に残りやすくなり、アルコールの影響を受けやすくなるのです。
それに加え、生理中はホルモンバランスが大きく変動するため、生理痛や精神的に不安定になるなど、心身ともにデリケートな状態になっています。
生理中の飲酒は普段よりもさまざまな症状が出る場合があるため、お酒は控えたほうがよいでしょう。
生理中の飲酒が身体に与える影響

生理中にお酒を飲むと、身体にさまざまな影響があります。
具体的には、以下の5点のリスクに気をつけましょう。
- 脱水症状を起こしやすくなる
- 貧血症状が出やすくなる
- 酔いが回りやすくなる
- 生理痛がひどくなる
- 感情が不安定になる
これらのリスクについて、詳しく紹介していきます。
脱水症状を起こしやすくなる
生理中は身体の外に経血が排出されている状態のため、体内の血液量は少なくなっています。
生理中に飲酒をすると、アルコールの利尿作用でさらに身体から水分が排出され、気が付かないうちに脱水症状を起こしやすいのです。
貧血症状が出やすくなる
生理中に経血量が多い人は、貧血症状が出やすくなります。
貧血は、血液中の酸素を運ぶヘモグロビンが少なくなり、全身が酸素不足に陥ることで起こります。
お酒を飲むと、肝臓のアルコール分解のために酸素が必要となるため、身体は酸素不足になりやすいです。
さらに、生理中は経血が排出され、身体には血液が少なくなっている状態です。生理中にお酒を飲むと、酸素不足になりやすく、貧血が起こる場合があります。
貧血になると、頭痛やだるさが強くなります。
生理中に頭痛やだるさがある場合には、お酒を飲むとひどくなるため、飲酒は控えましょう。
酔いが回りやすくなる
生理中は体内の血液量が減少しているため、酔いが回りやすくなります。
生理期間以外と同じ量のお酒を飲んでも、体内の血中アルコール濃度が高くなりやすく、普段よりも酔いやすくなってしまうのです。
また、女性ホルモンであるエストロゲンの影響も考えられます。
エストロゲンには肝保護作用がありますが、生理中はエストロゲンの分泌量が減るため、肝臓の機能が弱まっている可能性があります。
肝障害のリスクが高まる可能性も否定できないことから、生理中の飲酒は避けたほうがよいでしょう。
生理痛がひどくなる
生理中に飲酒をすると、生理痛がひどくなる場合があります。
アルコールは血管拡張作用があり、頭痛の症状を悪化させるほか、体の熱が外に逃げやすくなり、体が冷えて生理痛が悪化する場合があります。
また、アルコールを代謝する過程で合成されるアセトアルデヒドは生理痛の原因物質といわれており、もともとお酒に弱い体質の方は、体内にアセトアルデヒドが増加し、生理痛が増す可能性があるのです。
感情が不安定になる
生理中は女性ホルモンのプロゲステロンの影響で感情が落ち込みやすくなったり、不安定になりやすくなります。
アルコールを摂取すると、中枢神経の機能を抑制します。中枢神経機能が抑制されることにより、的確な判断ができなくなったり、感情が表れやすくなったりします。
生理中に飲酒をすることで、感情の起伏がより激しくなる場合があります。
生理中にお酒を飲むときの注意点

生理中にお酒を飲むことは控えたほうがよいですが、絶対に飲んではいけないわけではありません。
どうしてもお酒を飲まなければならない時は、以下の注意点を守り、自分の体調や気分をよく考えたうえで飲酒をしましょう。
- 鎮痛剤を飲んでいるときは飲酒NG
- アルコール摂取量を守る
- 体調を考慮する
- たんぱく質を摂取する
- こまめに水を飲む
- 飲み方を工夫する
これらの注意点について、詳しく紹介します。
鎮痛剤を飲んでいるときは飲酒NG
生理痛がつらい、頭痛があるなどの場合は、鎮痛剤を飲むことがあるかもしれません。
鎮痛剤を飲んでいる場合は、飲酒をしてはいけません。
アルコールによって、薬の効果や副作用が増す可能性があり、肝臓や胃への負担が大きくなります。
もし鎮痛剤を服用した場合は、少なくとも2~3時間は時間をおいてからお酒を飲むようにしてください。
アルコール摂取量を守る
生活習慣病のリスクを高めるアルコール摂取量は、一般的に女性の場合は1日20g以上とされていますが、個人差や体調によってはさらに少量でも影響が出ることがあります。
生理中は心身にお酒が及ぼす影響が大きいため、特に基準内で飲酒をするように心がけましょう。
20g相当のアルコール飲料の例は、缶ビール500ml缶1本、日本酒1合、缶チューハイ500ml缶1本、ワインボトル約4分の1本、焼酎0.6合です。
体調を考慮する
生理中は、自分の体調や健康状態に気をつけながら飲酒することを心がけましょう。
アルコールの影響は個人差があり、生理中以外でもお酒に弱い人は特に注意が必要です。
自分がどのくらいの量で、どんな影響を受けるかを理解し、限度を超えないよう適量を守って飲酒しましょう。
たんぱく質を摂取する
生理中だけでなく、お酒を飲むときにはたんぱく質の含まれたものを一緒に摂取するようにしましょう。
たんぱく質には、アルコールを分解する肝臓の代謝機能を高めてくれる効果があります。
豆乳、チーズ、枝豆、ほっけなどはおつまみにや割りものとしても摂りやすいので、ぜひ取り入れてみてください。
こまめに水を飲む
お酒を飲むときは、お酒の量の2倍以上の水を飲むことが推奨されています。
生理中は通常時よりも体内の血液量や水分量が減少している状態なので、いつもよりもこまめに水を飲んで水分を補うことが大切です。
飲み方を工夫する
生理中にお酒を飲むときは、普段よりもお酒を温かくする、割ってうすめるなどの飲み方の工夫をしましょう。
体が冷えると、生理痛がひどくなる場合もあります。
うすめることでアルコール量も抑えられるので、お湯割りなどがおすすめです。
生理とお酒に関する疑問

生理とお酒に関する噂を聞いたことがあるけれど、真偽はどうなっているのか疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
ここでは、生理とお酒に関する疑問について解説していきます。
お酒を飲むと生理痛が軽くなり出血量も減る?
お酒を飲むと生理痛は軽くなり経血量も減るという噂がありますが、真実ではありません。
生理中は、プロスタグランジンという物質が増え、子宮を収縮させて経血を体外に排出させます。
プロスタグランジンが過剰につくられてしまうと、子宮が激しく収縮するため、生理痛がひどくなります。
また、プロスタグランジンには血管収縮作用や胃腸にも影響し、頭痛、吐き気などを引き起こします。
アルコールは、プロスタグランジンが原因となる症状を助長させる作用を持ち、血管循環も促進されるため、生理痛はひどくなり、経血量も増えやすくなります。
つまり、生理中にお酒を飲むと、生理痛がひどくなりやすく、出血量も増える可能性があります。
お酒を飲むと生理が早く終わる?
お酒を飲みすぎることで、生理が早く終わったり、遅れたりする、いわゆる生理不順が起こることがあります。
これは、アルコールに卵巣の働きを抑制する作用があるためです。
卵巣が正常に機能しないことで、ホルモン分泌が乱れ、排卵がない状態や生理不順が起こるのです。
無排卵や生理不順は、将来の不妊につながったり、婦人科疾患につながったりするため、アルコールの飲み過ぎには注意しましょう。
赤ワインは生理痛にならないって本当?
赤ワインを飲むと生理痛にならないという噂があります。
赤ワインに含まれるアルコールとポリフェノールによって、血行促進の作用があり、「赤ワインには身体を温める効果がある」と言われているからです。
たしかに、身体を冷やさないことが生理痛の抑制には大切ですが、赤ワインはあくまでもアルコールです。
赤ワインを飲むことで生理痛にならない、また、生理痛を和らげるという医学的根拠はありません。
まとめ
生理中にお酒を飲むことには、心身ともにさまざまなリスクが伴うため、控えたほうがよいでしょう。
しかし、絶対に禁酒しなければならないということではありません。どうしても飲酒しなければいけない場合には、体調に考慮し、たんぱく質と水を摂取しながら控えめの量を飲みましょう。
アルコールは飲みすぎると生理不順や無排卵を引き起こす可能性もあるため、生理中でなくても飲み過ぎには注意が必要です。
『三軒茶屋ウィメンズクリニック』では、患者さんの気持ちに寄り添った誠実な診察を心がけています。
生理のことで不安なことがありましたら、どんな小さなことでも話を伺いますので、『三軒茶屋ウィメンズクリニック』にぜひご相談ください。