生理前に寒気を感じる原因と対策・妊娠初期の症状との違いを解説

「生理前にゾクゾクした寒気があってつらい」「生理前になると手足が冷えて寒くなる」といった悩みを持っている方もいるのではないでしょうか。
寒気が生理のせいなのか、他に原因があるのかがわからず不安になる方も少なくありません。
生理前は、寒気などの不調が生じやすい時期です。
この記事では、生理前に寒気を感じる原因と対策、そのほかの原因との見分け方について紹介します。
生理前に寒気を感じてお悩みの方はぜひ参考にしてください。
生理前に寒気を感じる原因

手足がいつもよりもひんやりして冷たくなっていたり、ゾクゾクするような寒気を感じたりといった症状があると、日常生活にも支障が出やすく不安の種になります。
生理前に寒気を感じる場合、下記のような原因が主に考えられます。
- ホルモンバランスの変化
- PMS
- 月経困難症
- 風邪などの感染症
- 妊娠
寒気の原因を知っておくことで、体調の変化への理解が深まり、対策がとりやすくなるかもしれません。
ホルモンバランスの変化
生理前の寒気は、ホルモンバランスの変化が原因のひとつです。
女性の身体は、ホルモンバランスの変化によって体温が定期的に変化しています。
排卵が起こるとプロゲステロンという黄体ホルモンが活発になり、体温が高くなる時期が2週間程度続きます。
生理前にはプロゲステロンの分泌が減少し体温が下がってから生理がくるため、この時期の体温の低下により寒気を感じる場合があるのです。
また、生理前のホルモンの変化によって自律神経が乱れやすくなることも、寒気の原因になります。
自律神経が乱れると、交感神経が優位に働くことから、血管が収縮しやすくなります。
血管が収縮すると血流が妨げられ、手足などの末端に十分な血液が届かなくなるため、手足が冷えたり寒気を感じたりするのです。
PMS
PMSが生理前の寒気の原因になる場合もあります。
PMS(月経前症候群)は、生理前に現れる心と身体の不調のことです。
生理の3~10日前から症状が現れ、生理が始まると症状が緩和、もしくは消失することが特徴です。
PMSの症状は、情緒不安定、イライラ、気分の落ち込みなどの心の不調や腹痛、頭痛、腰痛、倦怠感、寒気などの身体の不調があり、現れる症状には個人差があります。
生理が始まると寒気が緩和、消える場合はPMSが原因かもしれません。
月経困難症
生理前や生理中の寒気は月経困難症が原因の場合があります。
月経困難症になると、寒気だけでなく、下腹部痛、腰痛、頭痛、吐き気や発熱、貧血などの症状が現れやすいです。
月経困難症は、機能性月経困難症と器質性月経困難症の2種類があります。
機能性月経困難症は、原因となる病気がなく、子宮の収縮が強くなるために感じるもので、一般的に年齢を重ねると症状が弱まるのが特徴です。
器質性月経困難症は、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症などの疾患により症状が出ます。
急に生理痛がくるようになったり、生理後まで症状が続く場合には、器質性月経困難症の可能性が高くなります。
器質月経困難症の場合は病気が原因のため、治療が必要です。
月経困難症の症状がある場合には、まず婦人科で相談をすることをおすすめします。
風邪などの感染症
生理前に寒気を感じた場合でも、必ずしも原因が生理だとは限りません。
寒気は、風邪やインフルエンザ、コロナなどの感染症の初期症状でもあります。
ウイルスが体内に侵入すると、脳にある視床下部は体温を上げて抵抗しようとしますが、身体がその急激な体温上昇についていけずに寒気を感じるのです。
寒気以外にも咳やのどの痛み、鼻水、発熱などが出てきた場合には、感染症を疑いましょう。
妊娠
妊娠初期は、人によってさまざまな症状が現れ、寒気も症状のひとつとして挙げられます。
妊娠すると、排卵後は高温期がしばらく継続するため、自分自身の体温が普段よりも高めになります。
体温が高めの状態だと、相対的に自分の周囲の気温が低く感じられ、ぞくっとした寒気を感じる場合があるでしょう。
生理前の寒気と妊娠超初期症状の見分け方
妊娠超初期症状は生理前症状と同様に生理の1週間前ごろから現れるため、寒気の原因が生理か妊娠なのかわからず悩んでいる方もいるかもしれません。
生理前の寒気と妊娠超初期症状の寒気は、どちらもホルモンバランスの変化によるものなので、症状だけで見分けることが難しいです。
基礎体温をつけている場合は、排卵日から生理予定日以降も継続して高温期を維持していれば、妊娠の可能性があるとわかります。
妊娠の可能性があり、生理前に寒気を感じた場合は、喫煙、アルコール、激しいスポーツ、大量のカフェイン、薬の服用などは念のため避けることをおすすめします。
妊娠検査薬は、一般的に生理予定日から1週間後以降に使用することが推奨されているため、妊娠2~3週目にあたる妊娠超初期の段階では、ほとんど反応しません。
生理予定日を過ぎて1週間経っても生理が来ない場合、妊娠検査薬で検査をしましょう。
妊娠検査薬で陽性が出た場合には、産婦人科を早めに受診してください。
生理のせいかそのほかの原因か見分ける方法

生理前に寒気がきても、それが生理のせいなのか、ほかに原因があるのか判断できないことがあります。
ここでは、寒気の原因を見分ける方法を紹介します。
体温を測る
寒気を感じたらまずは体温を計測しましょう。
生理前は基礎体温が高温期(一般的に36.7度以上)にあたりますが、一週間以上微熱が続く場合や37.5度以上の発熱がある場合は、ウイルスによる風邪や感染症の可能性があります。
また、感染症による寒気は、どんなに部屋を暖めても、服を着込んでも緩和されないことが特徴です。
着込んでもとれない寒気や、咳、のどの痛み、鼻水などの症状が併発した場合にも、感染症の可能性が高くなります。
基礎体温やアプリで月経周期の把握
生理前の寒気かどうかを確認するには、月経周期の把握が重要です。
自分の月経周期を知っておくことで、寒気を感じた時期が生理前かどうかがわかります。
おすすめはアプリを使った月経周期の管理です。
生理は毎月やってくるので、記録をとっていないと先月いつ生理がきたか、どのような症状があったか記憶が曖昧になりやすいです。
生理が来た日を記録するのに加え、基礎体温や起こった症状をメモしておける管理アプリを使って排卵日や月経周期の管理をすると、原因がわかりやすく安心にも繋がります。
生理前の寒気対策は?

生理前の寒気は倦怠感も出やすく、日常生活に影響を与える場合があります。
毎月寒気を感じる人は、身体を冷やさない生活習慣を送ることで症状が緩和できるかもしれません。
ここでは、生理前の寒気を緩和する方法を紹介します。
生理前の寒気でつらい方は参考にしてください。
身体を温める服を着る
寒気がある時は、身体の冷えをとるために暖かい服を着るようにしましょう。
おすすめは、首、手首、足首の3点を重点的に温めることです。
足首と手首はレッグウォーマーとアームウォーマー、首はネックウォーマーやマフラー、スヌードなどで温めることができます。
使い捨てカイロで温める方法もありますが、貼るタイプのものを使う場合、直接貼るタイプか、服の上から貼るタイプかどうかを確認して使用してください。
温かい飲み物を飲む
喉が渇いたときは、冷たい飲み物ではなく温めた飲み物を摂るようにしましょう。
生理中は特に、冷たい飲み物や塩分の多い飲み物を摂ると、むくみやすくなります。
また、コーヒーやお茶に含まれるカフェインは血管を収縮させる働きがあるため避けてください。
おすすめなのは温かい白湯です。胃腸にも優しく、代謝が向上してむくみがとれやすくなるなどの効果が期待できます。
お風呂にゆっくりつかる
自律神経の乱れにより血流が滞っていることが寒気の原因になるため、血行を促すように入浴の際は湯船にゆっくりつかりましょう。
シャワーだけの入浴は、湯船につかるよりも身体は温まらず、そのまま寒い部屋に入ると逆に身体を冷やしてしまうことにもなりかねません。
ゆっくりと湯船につかることでリラックス効果も期待でき、副交感神経が優位になるため、自律神経の乱れを防ぐことにも繋がります。
軽めの運動をする
体調がつらくなければ、血行を促進するために軽めの運動や、マッサージをすることもおすすめです。
散歩やヨガは血行を促進させるだけでなく、自律神経を整える効果も期待できます。
身体を冷やす食べ物をとらない
寒気がある時は、食事にも気を付けましょう。
身体を冷やすとされる白砂糖、白米、小麦粉、肉の脂身、マヨネーズを避けるのがおすすめです。
PMSが原因の場合
生理前の寒気が生理が終わったら緩和したり消失したりする場合には、PMSが原因かもしれません。
PMSは、普段の生活を改善することで緩和できる場合があります。
- ヨガやストレッチの軽い運動を続ける
- バランスの良い食事を摂る
- カフェイン、アルコール、喫煙を控える
- リラックスと休息を心がける
上記の点に気を付けて生活をすることで、PMSのつらい症状が緩和できるかもしれません。
しかし、無理をして改善させることはストレスにもなるため、無理のない範囲で行い、PMSがつらい場合には婦人科に相談することもおすすめです。
生理前の不調で病院に行く目安

生理前の不調に悩む女性は少なくありませんが、病院にいってもいいのか悩む場合もあるようです。
生理前の不調が、実は病気だったというケースもあるため、気になる症状がある場合には婦人科を受診したほうがよいでしょう。
受診を急ぐ目安としては、以下のような場合です。
- 生理前にベッドから起き上がれないほどに体調が悪い
- 日常生活に支障が出るほどつらい
症状があり、少しでもつらいと感じる場合は、早めに婦人科を受診しましょう。
原因が特定されることで、安心にも繋がり、治療によって不調が緩和されるかもしれません。
内科か婦人科か、どっちにいけばいい?
寒気がある場合、内科と婦人科のどちらを受診すればいいか迷う方もいるかもしれません。
寒気を感じていて、さらに以下のような症状がある場合は内科を受診しましょう。
- 高熱が出ている
- 4~7日ほど微熱が続いている
- 咳や鼻水などの感冒症状が1週間続いている
生理前に毎回寒気を感じる、生理が始まったら寒気が消えるといった生理による症状であることがわかる場合は、婦人科を受診しましょう。
婦人科での治療はどんなことをする?
生理前の不調で婦人科に行った場合、どのような治療をするのか不安になり、受診を躊躇してしまう方も少なくありません。
婦人科での生理前の不調の治療は、症状に対しての対症療法と低用量ピルなどのホルモン療法薬による継続療法の2種類です。
症状が軽い、服薬を最小限にしたい方には鎮痛剤、整腸剤、胃薬などの症状に応じた薬を処方します。
一方で、根本的な解決をしたい、症状が重い方には、ホルモン療法をとることが一般的です。
一部のホルモン治療は妊娠を望んでいる方に適さないものもあるため、漢方薬などで対応する場合があります。
まとめ
生理前に寒気を感じる原因と対策について紹介しました。
寒気にはさまざまな原因がありますが、生理前の寒気で日常生活に支障が出る場合には、病気が隠れている可能性もあるため、早めに婦人科を受診しましょう。
『三軒茶屋ウィメンズクリニック』では、生理前の不調に対する治療も行っています。
患者さんの気持ちに寄り添い、誠実な医療を提供してまいります。「こんなことで病院に行っていいの?」と感じることであっても、『三軒茶屋ウィメンズクリニック』にご相談ください。