月経過多の症状は?原因やセルフチェック方法、治療方法を解説

月経過多

月経の際、他の人より経血量が多いのか少ないのか、自分で判断するのは難しいものです。

「もしかして多いのかもしれない?」とお悩みの方は少なくありません。

経血量が多い場合は、月経過多が疑われます。

この記事では、月経過多の原因やセルフチェック方法、治療方法などについて詳しく解説します。

月経過多なのかもしれないと不安な方、どのような治療方法があるのか知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

月経過多とは?

月経過多

月経過多とは、日常生活に支障をきたすほど、通常よりも月経時の経血量が異常に多い病気です。

毎月の月経の度に仕事ができない、衣服への漏れが気になってしまうくらいの出血がある場合は、月経過多かもしれません。

ここでは、月経過多の症状や診断基準について詳しく解説します。

月経過多の症状

月経過多の方は、経血量が極端に多く、生理期間が長くなる傾向があります。

正常な月経1回の総経血量は20〜140gと定義されています。

(参照:日本産婦人科医会

月経過多の場合は150g以上になることもありますが、量を正確に量るのは難しいでしょう。

2時間以内にナプキンを交換しなければ漏れてしまう、昼用ナプキンでは間に合わないくらい大量の経血量がある方は、月経過多の症状があると考えられます。

生理期間は通常3〜7日ほどですが、8日以上続くのも、月経過多の症状のひとつです。

また、経血にレバーやゼリー状の血液のかたまりが出ている場合は、月経過多の可能性が高く、子宮に病気が隠れているかもしれません。

月経過多は生理が始まる10代から、閉経する40〜50代のどの年代でも症状が現れ、ずっと経血量が多かったり、突然増えたりと個人差があります。

月経過多の診断基準

1回の月経で総経血量が140g以上あり、鉄欠乏性貧血を伴う場合は、月経過多と考えられます。

月経過多により経血量が多い状態が続くと鉄欠乏性貧血になりやすく、めまいや立ちくらみを引き起こす可能性があります。

経血量が多いのが自分にとって普通の状態だと、多い少ないの判断は難しいでしょう。

健康診断や他科での血液検査で貧血を指摘されて、月経過多に気づく方も少なくありません。

以下で紹介するセルフチェック項目に当てはまる場合は、月経過多の特徴があるため、クリニックを受診しましょう。

月経過多のセルフチェック

月経過多

月経過多かもしれない?と不安な方は、セルフチェックをしてみましょう。

  • ナプキンを1~2時間で交換しなければならない
  • 昼用ナプキンでは足りずに日中も夜用ナプキンを使用する
  • 経血量の多い生理が8日以上続く
  • レバーのような血のかたまりが経血に混じっている
  • 貧血の症状がある(めまい、立ちくらみ、動悸、息切れなど)

これらの項目に心当たりがある方は、月経過多の可能性が高いと考えられます。

日常生活に支障が出てくるケースもあるため、クリニックで検査を受けましょう。

月経過多の原因

月経過多

月経過多の原因は、主に3つに分類されます。

子宮の形状や病気による器質性、臓器やホルモンによる機能性、婦人系以外の病気による内科系です。

ここでは、月経過多の原因を分類別に解説します。

器質性疾患

器質性とは、臓器や器官の形態のことであり、器質性疾患は子宮自体の形状や大きさに異常があるため、月経過多が起こります。

30代以降に発症率が増加する傾向があり、年齢とともに経血量が増えている方は、器質性疾患が原因で月経過多になっている可能性があります。

  • 子宮筋腫
  • 子宮腺筋症
  • 子宮内膜ポリープ
  • 子宮体がん
  • 子宮頸がん

これらの子宮に関する病気があると、経血量が増える症状が出てきます。

診断は内診や超音波検査、子宮鏡検査などに加えて、手術を検討するケースではMRI検査(磁気共鳴画像法)を行います。

月経過多以外にも、病気によっては不正出血や月経痛、排尿痛、吐き気、下痢、排便痛、性交痛、おりものの変化などさまざまな症状を伴う可能性があり、注意が必要です。

20〜30歳以降は健康診断に婦人科検診を追加する、40歳以降は自治体の子宮がん検診を利用するなど、定期的に検査を受けることをおすすめします。

機能性疾患

機能性疾患は、子宮の形状には異常がなく病気もありませんが、機能や働きに問題があり月経過多が起こります。

もともとの体質的な要素もあり、生理が始まる10代の頃から慢性的に大量の経血がある方が多いのが特徴です。

また、閉経が近くなる40代にも機能性疾患による月経過多がみられます。

黄体機能不全は、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が低下して子宮内膜が不十分な状態です。

子宮内膜や卵巣の異常、脳視床下部下垂体の異常などの原因が考えられますが、はっきりとわからないこともあります。

黄体機能不全は受精卵の着床失敗や流産、不妊症にもつながる可能性があるため、注意が必要です。

無排卵性周期症は排卵を伴わない月経のような出血が起こる状態で、期間が不安定だったり、経血量が多かったりする状態です。

ホルモンが安定していない初潮から1〜2年ほどと、閉経前の40代の方に多くみられます。

機能性疾患による月経過多は、ホルモン療法や排卵誘発剤などの治療が必要な可能性があります。

内科系疾患

内科系疾患は、婦人科系以外の疾患により、出血が止まりにくくなる病気から過多月経になるケースです。

以下のような血液に影響する疾患は、血液凝固の異常や血小板の減少などを引き起こす可能性があります。

  • 白血病
  • 血友病
  • 肝機能障害
  • フォン・ヴィレブランド病
  • 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
  • 甲状腺機能異常   など

月経過多以外にも、無月経や生理不順などの症状が現れることがあります。

婦人科系の疾患ではなくても月経に影響する病気もあるため、定期的な検診を受けて変化を確認していくことが重要です。

月経過多の治療方法

月経過多

月経過多は、原因や症状によりさまざまな治療方法が考えられます。

ここでは、治療方法別に月経過多の対処法を詳しく解説します。

薬物療法

月経過多で薬物療法をする場合は、低用量ピルやホルモン療法などが挙げられます。

低用量ピルにはエストロゲン(卵胞ホルモン)やプロゲステロン(黄体ホルモン)が含まれていて、女性ホルモンの安定やプロゲステロンの子宮内膜の増殖抑制の作用により、月経のコントロールが可能です。

一般的には、周期が安定して、経血量が減少する効果が期待できます。

ただし、服用中は排卵を抑制して避妊になるため、妊娠を望む方にとっては注意が必要です。

低用量ピルの副作用である吐き気や頭痛、血栓症などのリスクがあり、35歳以上で喫煙習慣がある方や高血圧、血栓症の既往歴がある方には原則禁忌です。

ピル以外にも、GnRHアナログ製剤、黄体ホルモン製剤、ダナゾール製剤などのホルモン療法も月経過多の治療に用いられます。

女性ホルモンのバランスの調整や、男性ホルモン(テストステロン)に働きかけ、女性ホルモンの分泌量を抑制する作用がある薬剤です。

症状や体質、ライフスタイル、他の疾患などに合わせて、どのような薬剤を使用するかを医師とよく相談しましょう。

子宮内黄体ホルモン放出システム(IUS)

子宮内黄体ホルモン放出システム(IUS)とは、子宮内に挿入する避妊具のことで、ミレーナというT字に近い器具です。

IUSを挿入することで黄体ホルモン(レボノルゲストレル)が持続的に放出し続け、子宮内膜の増殖を抑制します。

月経自体は起こりますが、月経痛の軽減や経血量を減少する作用があり、月経過多の治療につながるのです。

IUSに対してアレルギーがある方や、子宮内膜悪性病変(子宮内膜がんや子宮内膜異形増殖症など)がある方など、IUS挿入ができないケースもあるため、医師とよく相談してください。

一度子宮内に挿入すると約5年間効果が持続するため、薬物療法のように毎日の服用は必要ないメリットがあります。

月経過多の治療にIUSを使用する場合は、保険適用されるケースもあります。気になる方は、クリニックへ相談してみましょう。

ただし、IUSは精子の運動を阻害し、子宮頸管粘液の粘度を強める効果があります。避妊目的でも使用されますが、月経過多の治療目的であれば、妊娠を希望する場合は適していません。治療中は妊娠できないため、将来的に妊娠を希望する場合は医師と相談しましょう。

なお、月経過多の治療としてIUSを挿入しても、使用を中止すれば元の月経状態に戻るのが一般的です。

マイクロ波宮内膜アブレーション(MEA)

マイクロ波宮内膜アブレーション(MEA)とは、子宮内へ細い器具(アプリケーター)を挿入してマイクロ波を照射し、子宮内膜全体を焼灼します。

子宮内膜だけを熱変性させることにより、経血量を軽減する治療です。

月経過多の治療の他、更年期に多い異常出血にも効果が期待できます。

子宮摘出手術を行わなければならなかった場合でも、子宮を温存できる可能性がありますが、MEAはすべての方に適応できる治療法ではないため、事前に適応の有無を検査で確認する必要があります。

ただし、MEAは月経過多の治療方法として有効ですが、妊娠が困難または危険となる可能性があることから、年齢や将来の妊娠を希望する可能性を十分に考慮しなければなりません。

手術

重度の月経過多や、内膜ポリープ、子宮筋腫、子宮腺筋症などの器質性疾患がある場合、手術を選択する可能性も考えられます。

手術は妊娠や子宮の温存を希望するかで、内容や方法が異なるため、医師とよく相談して決めましょう。

妊娠出産希望がない場合は、子宮の摘出が行われることもあり、子宮を温存したい場合は病変部分のみの切除手術を検討することもあります。

将来の妊娠やライフスタイル、症状の重さにより手術の選択肢が変わるため、医師へしっかり希望を伝え、適切な治療法を選択することが重要です。

まとめ

月経過多は自分で経血量を把握しにくく、他人と比べられないため、相談できずにお悩みの方が少なくありません。

セルフチェック項目が多く当てはまる方は、クリニックへ相談して治療を検討してみましょう。

婦人科系や内科系の病気が隠れている可能性もあるため、定期的な検診も重要です。

慢性的に経血量が多い方、突然大量の出血が起こった方は月経過多を疑い、クリニックを受診しましょう。

三軒茶屋ウィメンズクリニックは、女性のライフパートナーとしての産婦人科を目指して、より良い治療方法を相談し合えるオーダーメイドの治療を行っております。

子宮内膜症の検査や子宮がんの検診などの対応、ピルのご相談も丁寧なカウンセリングで適切にご提案いたします。

経血量の多さにお悩みの方、何か病気が隠れているのではないかと不安をお持ちの方は、ぜひお気軽に三軒茶屋ウィメンズクリニックへご相談ください。

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