なぜ精液検査が必要か

なぜ精液検査が必要か

 不妊とは、妊娠を希望し1年間夫婦生活をとったにも関わらず、妊娠に至ることができなかったカップルのことをいいます。最近のデータによると5組に1組のカップルが不妊の可能性を指摘されています。
 日本産科婦人科学会によると、最新の2017年のデータでは、体外受精などの高度生殖医療(ART)において、56617人が生まれたと報告があります。同年の総出生児数は941000人であり、これは出生児の割合が17人に1人、体外受精などの治療によって生まれたことになります。この割合は年々上昇傾向にあることがわかってきています。

 妊娠を希望するカップルは、不妊症を扱う医療施設で様々な検査を受け、体のどの部分が不妊の原因になっているかを調べていくことになります。
 不妊症の原因は1.卵管因子 2.抗精子抗体陽性 3.男性因子 4.子宮内膜症 5.原因不明などが挙げられます。男女別では、男性側に原因がある場合が約50パーセントあるとされており、女性側の原因とほぼ同等の割合で存在することがわかっています。
 このことから、精液の状態を知ることは、今後の治療方針を決定する上でとても重要と考えられます。そして、様々な検査を効率よく行っていくことが、早く赤ちゃんに出会うことへとつながります。


精液検査の方法や注意点

  • 検査を受ける前に禁欲期間を3~5日もうけてください。禁欲期間が短すぎたり長すぎたりすると正確な検査結果が出にくくなると言われています。
  • 性器を清潔にしてから、マスターベーションにて、クリニックから渡された専用の容器に全量射精しましょう。その際、コンドームを使用すると、内側に塗布してある薬剤が精液所見に影響を及ぼすことがありますので、コンドームは使用しないで下さい。
  • 精液検査はご自宅で採取し2時間以内にクリニックにお持ちください。当院では精液容器専用の運搬用容器「シードポット」をご使用いただくことをおすすめしております。院内でも採取をしていただく専用の部屋がありますので、ご希望の方は使用することができます。

正常値 【2010年 WHOのガイドラインより抜粋】

・精液量:1.5ml以上 ・精子濃度:1500万/ml以上 ・運動率:40パーセント以上 ・奇形率:96パーセント未満 ・前進運動率32パーセント以上 ・PH:7.2以上
※精液検査結果はばらつきがあることが多く、上記の正常値の数値を《自然妊娠が可能な基準値としての下限》としてとらえましょう。

精液の状態によってわかること

  • 無精子症・・・射精液中に精子が無い
  • 無力精子症・・・前進運動精子が基準の下限以下
  • 無力奇形精子症・・・前進運動精子と形態正常精子が基準の下限以下
  • 血精子症または膿精液症・・・射精液中に赤血球あるいは基準値以上の白血球がある
  • 死滅精子症・・・射精液中に精子の生存率が低く、不動精子率が高い
  • 乏精子症・・・総精子数または濃度が基準の下限以下
  • 奇形精子症・・・形態正常精子率が基準の下限以下

酸化ストレス

精子の酸化ストレスは、精子DNA損傷につながるといわれています。DNAが損傷した精子は、妊娠率の低下や流産率の上昇を招き、男性不妊原因の80パーセントに関与するといわれています。当院では、精液検査時に精液中の酸化ストレス度を測定することができます。
精液の酸化ストレスの数値が悪かった場合でも、酸化ストレスにつながる生活環境の改善や、抗酸化サプリメントの摂取などにより酸化ストレスは減らすことができます。

精子凍結

精子は液体窒素中に凍結保存することが可能です。
体的に、どのような時に精子凍結をおすすめするかというと・・・

  • ガン治療の薬剤、放射線治療が必要と判断された場合など。
  • 人工授精、体外受精、顕微授精時に重症の乏精子症や、受精時に十分な運動精子が得られない可能性がある時のバックアップとして。
  • 感染症の防止でたとえばHIVキャリアーの男性精子でHIVウィルスが同定されていないものを凍結保存して、人工授精、体外受精、顕微授精などに利用し、女性側への感染のリスクを低下させること。

などがあります。しかし、精子を凍結保存すると運動性の低下が見られることがあるので、精子の状態によっては凍結が不向きな場合があります。精子凍結を検討されている方は担当医と慎重に決めていきましょう。

ラボチームスタッフ

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