卵子の成熟・排卵のトラブル①
卵子の成長と排卵にはホルモンが大きな役割を果たしています。ホルモンがそれぞれの時期にバランス良く分泌されることが、妊娠に至る第一歩です。
基礎体温は、体を動かしていない安静な状態での体温です。朝目がさめたら、起き上がる前に測るのがよいとされています。測り方や睡眠不足などの体調にも左右されるので、大まかな目安と考えましょう。月経開始から排卵までの比較的体温が低い時期と、排卵後の高温の時期の二相になっていれば、通常は排卵があると考えられます。
月経サイクルには個人差があり、また、体調によっても変化しますが、25~35日であれば正常と考えられます。24日以内と短い場合は頻発月経と呼ばれ、無排卵のことがあります。また、排卵があっても、黄体ホルモンの分泌が不十分で、高温期が短いために起こることもあります。逆に周期が39日より長い場合は稀発月経といい、卵巣や脳下垂体からのホルモンの分泌異常の可能性があります。
卵子が十分に育たない
脳下垂体から分泌されるFSHは、卵胞の発育や成熟を促します。発育を始めた卵胞からはエストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌され、FSHとともに、さらに卵胞を発育させます。これらのホルモンの量が不足すると、卵子は排卵できるまで育ちません。
→排卵誘発剤で治療
最初は「クロミッド」または「セキソビット」という視床下部に作用して、脳下垂体からのFSHとLHの分泌を促す飲み薬を服用します。クロミッドは最もよく使われ、効果も高い薬ですが長く使用すると頸管粘液が減ったり、子宮内膜が厚くならないなどの副作用があります。
無月経や重い排卵障害で、飲み薬では効果がない場合は、卵巣に直接働きかけるhMG注射薬に切りかえます。この治療では、hMG注射で卵胞が育ったら、hCG製剤の注射で排卵を起こす方法が一般的です。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、強い排卵誘発剤を使うと、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)が起きることがあり、注意が必要」です。
→排卵が起きるようならタイミング法などのステップアップへ
排卵誘発剤で排卵が起きるようになれば、タイミング法からスタートします。PCOSは年齢とともに排卵障害が強くなることが多く、排卵誘発の方法によっては、たくさんの卵子がとれるので、体外受精に早めに進む選択肢もあります。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
ホルモン検査で男性ホルモンの値が高く、また、LHがFSHに比べて過剰に分泌されている場合に疑われます。超音波検査をすると、成長できないために排卵されない小さな卵胞が卵巣にたくさんつらなって見えます。稀発月経や無月経、肥満、にきびが多いなどの自覚症状があることもあります。
→排卵誘発剤で治療
→排卵が起きるようならタイミング法などのステップアップへ
院長 保坂 猛
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