免疫系のトラブル

こんにちは、院長の保坂です。

本日は免疫系のトラブルについてご説明をします。

人の体には外から入ってきた異物を排除する仕組みがあり、それが免疫です。精子を異物と認識して攻撃する抗体ができてしまうことが不妊の原因になることがあります。

〇フーナー検査で運動精子が見つからない

子宮頸管には子宮内に雑菌などが入るのを防ぐ役割があり、そのためのバリアが頸管粘液です。頸管粘液は排卵前に増加し、精子が入りやすい状態にしますが、女性の血液中に「抗精子抗体」があると、子宮頸管は精子を受けつけなくなります。それを知るための検査が「フーナー検査(性向後試験)」です。

〇抗精子抗体

 フーナー検査で頸管粘液中に精子がいなかったり、運動精子がいなければ、抗精子抗体を疑い、血液検査で抗体値を調べます。

・抗精子抗体がある

 →抗体値が低い場合は人工授精へ

抗体値2以上が陽性と判断されます。精子が子宮に入れないため、直接子宮に送り込む人工授精がすすめられます。

 →抗体値が高い場合は体外受精へ

  抗体値10以上の場合は、子宮や卵管にも抗体があるかもしれないので、体外受精の適応になります。

・抗精子抗体がない

 フーナー検査で結果が良くなかった場合、粘液の分泌量が少ない「頸管粘液不全」が理由のこともあります。エストロゲンの分泌不足や排卵誘発剤のクロミッドの副作用、頸管に炎症があるなどの原因が考えられます。

 →薬で治療

 「プレマリン」などのホルモン剤で卵胞の成長を促す治療が行われます。症状が改善したらタイミング法などのステップアップへ

妊娠しても流産を繰り返す不育症

流産や死産を2回以上繰り返した場合には「不育症」のリスク因子を調べる検査がすすめられます。因子には甲状腺機能異常や糖尿病などの「内分泌異常」、中隔子宮や双角子宮などの「子宮の形態異常」、「染色体異常」、血栓ができやすい「抗リン脂質抗体症候群」があります。抗リン脂質抗体症候群は、血液が凝固しやすくなる自己免疫疾患のひとつです。もしこの抗体がある場合には、血液をサラサラにする「ヘパリン」などの薬で治療し、流産を防ぎます。

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