受精卵着床のトラブル

排卵後の卵胞は黄体に変わり、黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。黄体ホルモンには妊娠を維持する重要な働きがあり、分泌が不十分だと高温期が短くなります。高温期半ばに採血してプロゲステロン値を測定し、超音波検査で内膜の厚さを調べます。

〇黄体機能不全

 血液中のプロゲステロン値が10ng/ml未満なら、「黄体機能不全」が疑われます。一度だけでなく、数回の周期で検査を行えば、より正確な判断ができます。

 →ホルモン剤などを投与

 「デュファストン」「ルトラール」などの飲み薬や注射、膣座薬などの黄体ホルモン製剤で、黄体ホルモンを補充します。黄体を刺激するためにhCG注射が行われることもあります。

 →症状が改善したらタイミング法などのステップアップへ

 子宮の中に筋腫やポリープがあると、大きさや位置によっては受精卵の着床を妨げることがあります。子宮内膜炎は子宮内膜症と名前が似ていますが、全く別の病気で、細菌に感染して炎症が起こるものです。

 子宮内膜炎は放置すると卵管や卵巣、腹膜などに拡大して、癒着などを引き起こすこともあります。おりもの検査や尿検査で細菌を特定し、効果のある抗菌薬(抗生剤)を服用します。筋腫やポリープについての詳しい説明は「2022年5月コラム・子宮のトラブル②」をご覧ください。

子宮の環境を調べる検査が増えています

これまで無菌と考えられていた子宮内にもたくさんの細菌が存在し、善玉菌(ラクトバチルス)が多いと妊娠しやすいことがわかってきました。この子宮内の菌環境を調べるのが「EMMA(子宮内膜マイクロバイオーム検査)」です。また、良質な受精卵を何度か移植しても妊娠しない場合に、着床のタイミングが合っているかどうかを調べる「ERA(子宮内膜着床能検査)」も行われるようになってきています。詳しくは「2021年9月コラム・「ERA」「EMMA」「ALICE」」をご覧ください。

子宮内膜が薄く、着床がうまくいかないときのPFC-FD療法

血小板は細胞の成長を促す物質や、免疫にかかわる物質を含み、子宮内に注入することで子宮内膜が十分に厚くなり、受精卵が着床しやすくなる可能性が高くなると考えられています。胚移植が複数回うまくいかない人が対象になります。詳しくは「2021年1月コラム・PFC-FD療法」をご覧ください。

この治療は自費診療になるため希望される方は主治医にご相談ください。

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