不妊治療が必要になる原因とは?男女共・女性・男性に分けて解説
不妊治療が必要になる原因はさまざまあり、女性だけ、男性だけに原因があるとは限りません。
また、「若いから大丈夫」というわけでもありません。
不妊治療が必要になる原因は誰でも抱える可能性があるものなので、どういった原因で不妊治療が必要になるのかあらかじめ知っておきましょう。
ここでは不妊治療が必要になる原因を男女共・女性・男性に分けて解説します。
これから不妊治療を始めようと思っている人はぜひ最後までご覧ください。
不妊治療が必要になる原因~男女共通~
まずは、男女ともに共通している不妊治療が必要になる原因を2つ紹介します。
加齢
男女ともに、加齢によって卵子や精子などの基本的な生殖機能に衰えが出始めるため、妊娠成功率はどんどん低下していきます。
特に女性に関しては、生殖機能の衰えが顕著に出る傾向にあり、30〜35歳にかけて妊娠成功率の低下が大きいです。
不妊治療の保険適用が43歳未満の女性に対して適用される点は、この加齢による妊娠率の低下が関係しています。
男性も35歳ごろから精子の質や運動量が低下する傾向にあり、妊娠成功率も下がっていきます。
これらが子どもが欲しいと思った場合は、できるだけ早く不妊治療を始めた方がよいといわれる理由です。
ストレスなどの心理的問題
不妊に関するストレスや社会生活でのストレスなど、ストレスなどの心理的問題が原因で不妊になることがあります。
ストレスなどの心理的問題は、性腺刺激ホルモンを分泌する期間を乱すことがあります。
その結果、女性の排卵障害や卵管の痙攣、男性であれば精子成形の阻害や運動率の低下などの不妊原因につながるかもしれません。
不妊治療の不成功が続いていると「またか」と責めてしまうことがあるかもしれませんが、たまには2人で出かけるなどリフレッシュできる時間を作るようにしましょう。
不妊治療が必要になる原因~女性~
次に、女性の不妊治療が必要になる原因を6つ紹介します。
なかには、治療をすれば解決することもあるため、医師と相談しながら治療を進めて行きましょう。
排卵が起こらないなどの排卵因子
排卵が起こらないまたは排卵しづらい排卵因子(排卵障害)の原因はさまざまですが、おもに以下の4つが原因であることが多いです。
- 血中のプロラクチン値が高くなる高プロラクチン血症
- 卵巣で男性ホルモンがたくさん作られ、卵胞の発育に時間がかかる多嚢胞卵巣症候群
- 過度なダイエットによる女性ホルモン分泌不全
- 卵巣機能が低下して排卵しなくなる早期卵巣不全 など
生理周期が25〜38日で基礎体温が二相性であれば、排卵因子の心配はないでしょう。
しかし、月経不順の場合は排卵因子に当てはまっている可能性があるため、一度産婦人科などに相談してみましょう。
卵管閉塞などによる卵管因子
卵管閉塞などによる卵管因子は、女性の不妊症因子のなかでもよく見られるものです。
そもそも卵管とは、精子と卵子が出会う道であり、受精した受精卵(胚)が子宮にやって来るための道です。
この卵管が閉塞していると精子と卵子が出会うことができず、受精が成功しないため妊娠にも至りません。
卵管閉塞の原因にはクラミジア感染症などによる炎症や子宮内膜症などが考えられます。
子宮筋腫などによる子宮因子
子宮因子は子宮筋腫や先天性の形態異常などが原因で子宮内膜への血流が悪かったり子宮内に癒着があったりして、子宮内に胚が到達しても着床を妨げてしまう場合があります。
また、子宮筋腫の場所や大きさによっては着床を妨げるだけではなく、精子のとおり道も妨げてしまい受精ができないこともあります。
先天的な子宮の形態異常は、子宮の形が通常とは異なる形になっている状態ですが妊娠できない不妊ではなく、何度も流産してしまう不育症と判断されることも考えられるでしょう。
精子が卵管へ進みにくい頸管因子
通常女性の身体は排卵時に精子が子宮内に入ってきやすいように透明でねばつきのある頸管粘液(おりもの)が増加します。
しかし、子宮頸部の手術経験があったり炎症が起こっていたりすると頸管粘液の分泌量が低下し、精子が子宮内に入りづらくなります。
女性ホルモンの分泌を促すホルモン剤などを注射することで、頸管粘液量を増加させることが可能です。
それでも頸管粘液量が十分に増加しなかった場合は、タイミング法ではなく人工受精などの不妊治療に進む場合が多いです。
免疫異常による免疫因子
通常人間の身体には細菌などの異物が侵入した際に、自分の体を守る免疫機能が備わっています。
女性の身体にとって精子は存在しないものであるため、精子を異物とみなし、精子の動きを阻害してしまう抗体を持っている場合があります。
精子を攻撃してしまう抗精子抗体を持っている場合、頸管や卵管で精子の運動性を失わせてしまうため卵子に到達できません。
この場合、タイミング法はもちろん精子を子宮内に注入する人工受精も抗精子抗体が受精を妨げる可能性が高いため、体外授精や顕微授精を検討する場合が多いです。
原因不明
不妊検査を行っても不妊に原因が見つからない場合があり、原因不明不妊とも呼ばれ不妊症の10〜15%程度を占めていましたが、現在は増加傾向にあるともいわれています。
原因不明不妊症で考えられる1つ目の原因は、なんらかの事情で精子と卵子の受精がうまくいかないことです。
精子にも卵子にも問題がなければ原因不明となりますが、人工受精や体外授精で妊娠できる場合があります。
考えられる2つ目の原因は、加齢による精子や卵子の質の低下です。
生殖機能としては問題がなかったとしても、質が低下していれば仮に受精できたとしても着床できなかったり、正常に成長できなかったりします。
精子や卵子の質の低下については有効な治療法が現在は存在しないため、できるだけ早く不妊治療を始めるしかありません。
不妊治療が必要になる原因~男性~
最後に、男性の不妊治療が必要になる原因を4つ紹介します。
こちらも女性同様に、治療をすれば解決することもあるため、医師と相談しながら治療を進めて行きましょう。
精子をうまく作れない造精機能障害
男性不妊の原因の殆どが精子をうまく作れない造精機能障害です。
この造精機能障害にはおもに3つの種類に分かれています。
- 精子の数が少ない乏精子症
- 精子数は十分でも運動量が足りない精子無力症
- 精液のなかに精子が含まれていない無精子症
造精機能障害になる原因は特定ができない場合が多いですが、ストレスや生活習慣、肥満などが原因の1つといわれています。
また、原因が特定できるケースとしては、抗がん剤や放射線治療による影響や睾丸上部の血管が肥大する精索静脈瘤、過度な飲酒などが考えられます。
造精機能障害の治療法としては、生活習慣の見直しや抗酸化作用のあるサプリメントや漢方の服用などがありますが、必ず改善するわけではありません。
勃起や射精ができない機能性障害
機能障害はおもに以下の2つに分かれています。
- 勃起しないまたは勃起状態を維持できる性行為がうまくできない勃起障害
- 勃起をしても射精ができない射精障害
このような機能障害の原因としてはストレスやプレッシャーなどの心因性が多いといわれています。
社会生活などのストレスやパートナーからの不妊治療に関するプレッシャーなどで、機能性障害が起きやすくなります。
また、射精障害には膣内に射精できない膣内射精障害が最も頻度が高く、この場合はタイミング法ではなく人工受精などを選択するとうまく妊娠できるかもしれません。
精液中に精子が見られない精路通過障害
精液中に精子が見られない状態のなかでも、精巣内で精子が作られていることが確認できている場合は精路通過障害の可能性が高いです。
精路通過障害は精子が精巣から体外に出てくるまでのどこかに障害があり、精液に精子が含まれない状態になってしまったり精子数が少ない状態になってしまったりします。
どこかにある障害を取り除き、精液内に十分な数の精子が確認できれば自然妊娠ができる可能性があります。
ただ、どこに障害があるか分からない場合などは精巣から精子を回収することで、人工受精や体外授精などができるかもしれません。
睾丸以外の副性器に障害が出る副性器障害
副性器とは睾丸(精巣)以外の精巣上体・前立腺・精嚢などの部分に炎症や障害が起きることが副性器障害です。
副性器障害になると精子の運動量の低下や精子の形に異常が出たりする可能性があります。
副性器障害で起きる炎症の多くは感染症によるものです。
適切な服薬などの治療を行えば改善する場合が多く、不妊治療の前に治療を行うことが多いです。
まとめ
不妊治療が必要になる原因は男性にも女性にもあります。
共通の原因としては加齢に夜精子や卵子の質の低下やストレスなどの心理的原因です。
女性であれば排卵因子・卵管因子・子宮因子・頸管因子など、男性であれば造精機能性障害・機能障害などが考えられます。
投薬などの治療で改善する場合は、原因を改善してから不妊治療を始めるケースが多いです。
しかし、なかには治療を行っても原因の改善が見られなかったり、改善が期待できない場合もあります。
そういったケースでは、より妊娠の成功率が高い不妊治療の実施を検討・相談して進めて行くこともあります。
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