卵子凍結のデメリットは?副作用や合併症のリスクも解説

卵子凍結 デメリット

若いころに卵子凍結をしておくことで、採卵当時の妊娠率を保って妊娠・出産の時期をコントロールできます。

上記のようにメリットも多い卵子凍結ですが、「卵子凍結のデメリットや問題点が心配」「卵子凍結をするべきか悩んでいる」という方も多いのではないでしょうか。

卵子凍結するか否かを判断するうえで、メリット・デメリットの両方を理解することはとても重要なポイントになります。

この記事では、卵子凍結のデメリットについて詳しく解説します。

副作用や合併症のリスク、卵子凍結のメリットなどもまとめているため、卵子凍結をすべきか悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。

卵子凍結のメリット

卵子凍結 デメリット

卵子凍結には以下の3つのメリットがあります。

  • 妊娠・出産の時期をコントロールできる
  • 加齢により減少する卵子を保存しておける
  • 若い卵子を保存しておける

ここでは上記3つのメリットについてそれぞれ解説します。

妊娠・出産の時期をコントロールできる

卵子凍結の大きなメリットの一つは、妊娠・出産の時期をコントロールできることです。

卵子を凍結して保存しておくことで、将来自分が望んだタイミングで卵子を融解して顕微授精により妊娠できます。

女性は加齢によって妊娠率が低下するため、あらかじめ若い年齢で卵子を凍結しておくことで、当時の妊娠率の維持が期待できるのもポイントです。

加齢により減少する卵子を保存しておける

卵子は加齢によって減少するため、将来妊娠を考えているのであれば、卵子を凍結保存しておくことをおすすめします。

卵子は胎生5か月ごろの約700万個でピークを迎え、それ以降は増えることなく減少する一方になります。

出生時には200万個、20歳までに12万個、30歳には5万個、40歳には5000個までに減っていくのです。

卵子は毎月約600個ずつ減っていくとされ、37.5歳以降はそのスピードが加速します。

加齢に伴い妊娠率も低下していくため、将来的に妊娠・出産を考えているなら卵子凍結によって若い卵子を保存しておくことが大切です。

若い卵子を保存しておける

若い卵子を保存しておけるのも卵子凍結の大きなメリットです。

若い年齢で採取した卵子と高齢で採取した卵子を比べてみると、高齢の卵子の方がミトコンドリアの機能が低下し、卵子の質も落ちることが分かっています。

さらに高齢の卵子の場合、妊娠率が低下するだけでなく、子宮に着床できても流産になってしまう確率も高くなります。

このことから将来妊娠・出産を望んでいるなら、若い卵子を凍結保存しておき、自分の望むタイミングで当時の若い卵子を使用して妊娠するのがよいでしょう。

卵子の老化については以下の記事でも詳しく解説しているため、ぜひ合わせてチェックしてみてください。

卵子の質の低下

卵子凍結のデメリット

卵子凍結 デメリット

卵子凍結には以下のようなデメリットがあります。

  • 誰でもできるわけではない
  • 受精方法は顕微授精(ICSI)になる
  • 凍結によって卵子の質が低下する可能性がある
  • 妊娠を保証するものではない
  • 体に負担がかかる
  • 自費診療で費用がかかる
  • 保管するときのリスクがある

ここでは上記7つのデメリットについてそれぞれ解説します。

誰でもできるわけではない

卵子凍結は誰でもできるわけではない点に注意が必要です。

卵子凍結には『医学的適応』と『社会的適応』の2つがあり、それぞれ対象者が異なります。

それぞれの対象者を簡単にまとめると以下の通りです。

  • 医学的適応:悪性腫瘍などの治療により卵巣機能の低下が予想される方
  • 社会的適応:将来に備えて卵子を保存したい方

社会的適応による卵子凍結では、40歳以上での採卵は推奨されていません

また40歳未満で採卵した場合でも、45歳以上での凍結卵子を用いた妊娠は推奨されていません。

このように卵子凍結は誰でもできるわけではないことを理解しておきましょう。

受精方法は顕微授精(ICSI)になる

凍結卵子を使用する場合の受精方法は顕微授精(ICSI)になります。

顕微鏡下で細い針を使い、融解した凍結卵子に精子を直接注入して受精させる方法です。

卵子1つに対し精子1つあればよいため、精子所見不良の場合でも受精できるメリットがあります。

ただし卵子に直接針を刺して精子を注入するため、卵子に大きなストレスがかかるデメリットがあります。

このストレスによって卵子が変性してしまう可能性がある点には注意が必要でしょう。

凍結によって卵子の質が低下する可能性がある

凍結することにより卵子の質が低下するデメリットもあります。

凍結せずに行う体外受精と比べると、一度凍結して融解させてから受精させる方法は、卵子がダメージを受ける可能性があります。

卵子の質が低下すると受精や受精卵の発育に悪影響を及ぼす恐れがあるため、その点は理解した上で卵子凍結を行いましょう。

妊娠を保証するものではない

卵子凍結は将来のために卵子を凍結保存しておける方法ですが、妊娠を保証するものではありません。

凍結した卵子を妊娠に使うためには、次の3つをクリアする必要があります。

  • 融解した卵子が受精できる状態か
  • 正常に受精できるか
  • 受精卵がきちんと成長するか

上記が満たせないと妊娠できないのはもちろん、着床後、妊娠初期に流産してしまうリスクもあります。

必ずしも妊娠できるわけではないことは理解しておきましょう。

体に負担がかかる

卵子凍結は体に負担がかかる治療です。

通常卵子凍結をする際は、排卵誘発剤によって排卵を促して採卵します。

しかし副作用に卵巣過剰刺激症候群が起こる可能性があり、血栓を引き起こし、肺梗塞や脳梗塞などを発症するリスクがあるのです。

詳しくは後ほど解説しますが、卵子凍結にはさまざまな副作用や合併症のリスクがあるため、治療内容やリスクについて十分理解したうえで、信頼できる医師に相談することが大切です。

自費診療で費用がかかる

卵子凍結は自費診療のため、保険が適用できず費用がやや高額になります。

医療機関によって費用が異なりますが、三軒茶屋ウィメンズクリニックの料金は以下の通りです。

各種検査(感染症検査、ホルモン検査等含む)約44,000円
採卵までの排卵誘発の費用(内服薬、注射薬、経膣超音波検査等含む)約33,000円
採卵費用(採卵個数問わず)約220,000円
卵子凍結約22,000円
凍結延長費用(1年ごと)卵子1個ごとに22,000円

卵子凍結の費用で医療機関を比較する際は、卵子凍結費用の他にも、凍結延長費用や各種検査の費用も含めた料金を確認しましょう。

保管するときのリスクがある

卵子凍結は保管するときのリスクがあります。

卵子は専用タンクの中で-196℃の超低温で冷凍保存されますが、災害などによるタンクの破損リスクや長期間の停電によって卵子の質が低下するリスクなどがある点に注意が必要です。

卵子凍結には上記のようなリスクがあるため、万が一災害やトラブルが起きたときの返金規定があるかを確認しておかなくてはいけません。

卵子凍結の副作用・合併症のリスク

卵子凍結 デメリット

卵子凍結には副作用や合併症のリスクがある点も理解しておかなくてはいけません。

具体的には以下のようなリスクが挙げられます。

  • 出血
  • 麻酔による合併症
  • 卵巣過剰刺激症候群
  • 妊娠合併症

ここでは上記4つについてそれぞれ解説します。

出血

採卵するにあたって膣から卵巣に向けて細長い針を刺すため、その際に卵巣から出血が起こることがあります。

通常、出血は少量で自然に止まるケースが多いですが、手術による止血が必要になったり輸血が必要になったりする場合もあるため注意が必要です。

また針を刺した部分から細菌が入り込み、感染症を引き起こすリスクもあります。ただし、これらは非常に稀なケースです。

麻酔による合併症

卵子凍結は麻酔による合併症にも注意が必要です。

採卵時は麻酔を行うことで痛みを軽減できますが、麻酔薬に対するアレルギーや静脈麻酔の副作用(嘔気嘔吐、じんましん、ぜんそくのような症状など)が出る可能性があります。

副作用が起こるケースは稀ですが、これまでに麻酔を使用した際にアレルギー症状が出たことのある場合は必ず医師に相談しておきましょう。

卵巣過剰刺激症候群

卵巣過剰刺激症候群は、排卵誘発剤により引き起こされるものです。

排卵誘発剤によって卵巣が過剰に刺激されることによって膨れ上がり、お腹や胸に水がたまったり血栓が生じたりすることがあります。

重症化すると腎不全や肺梗塞などを引き起こす恐れがありますが、入院が必要になるほど重度の副作用が発生するのは稀です。

妊娠合併症

凍結卵子を使用した妊娠は、自然妊娠と比べて以下のような妊娠合併症の発症リスクが高くなるとされます。

  • 妊娠高血圧症候群
  • 妊娠糖尿病
  • 前置胎盤
  • 常位胎盤早期剝離
  • 分娩前出血

上記のほか、帝王切開分娩や早産、低出産時分娩などのリスクも上がりやすいです。

移植時点での年齢が高くなるほどこれらの妊娠合併症の発症リスクが上がるため、その点も考慮してライフプランを立てると良いでしょう。

まとめ

卵子凍結のメリット・デメリットについて解説しました。

卵子凍結のメリットは妊娠や出産の時期をコントロールできることや若い卵子を保存しておけることです。

しかし一方で体に負担がかかることや自費診療で費用がかかること、保管するときのリスクがあることなどのデメリットがあります。

出血や麻酔による合併症、卵巣過剰刺激症候群などの副作用や合併症のリスクもあるため、これらを踏まえたうえで卵子凍結すべきか検討してみると良いでしょう。

三軒茶屋ウィメンズクリニックでは、原則40歳まで卵子凍結を行っています。

患者さん一人ひとりの気持ちを理解したうえで誠実な診療をご提供しているため、ぜひお気軽にご相談ください。

#卵子凍結 #凍結卵子

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