卵子凍結は何個必要?卵子凍結を使用した場合の年齢別妊娠率についても解説

卵子凍結 何個

卵子凍結は、卵巣から卵子を採取して長期間凍結保存できるものです。

若い年齢で採卵した卵子を凍結保存しておくことで、将来妊娠したくなった時に採卵時の若い卵子を融解して妊娠できます。

女性は加齢に伴って妊娠率が低下するため、将来妊娠・出産を考えている方はなるべく早く卵子を凍結し準備をしておくのがおすすめです。

この記事では、卵子凍結に必要な卵子の個数について詳しく解説します。

卵子凍結を使用した場合の年齢別妊娠率や加齢による卵子の老化・減少のメカニズムについてもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

卵子凍結とは

卵子凍結 何個

卵子凍結は卵巣から卵子を採取して凍結保存することです。

ここでは卵子凍結の目的やメリット、年齢制限などについて解説します。

卵子凍結の目的

若い年齢で卵子を凍結保存することにより、妊娠しやすい期間を引き延ばせられます。

女性は加齢とともに妊娠率が低下しますが、若い頃に卵子を凍結させておけばその当時の妊娠率の維持が期待できるのです。

例えば42歳で体外受精する場合の妊娠率は約20%、流産率は約44%ですが、34歳で凍結した卵子を使って42歳で体外受精する場合の妊娠率は約40%、流産率約18%となります。

卵子凍結をしていれば42歳で妊娠する場合も34歳で妊娠するのと同等の妊娠率・流産率が期待できるため、将来的に妊娠・出産を考えている方に適しています。

卵子凍結のメリット

卵子凍結にはさまざまなメリットがあります。

  • 妊娠・出産の時期をコントロールできる
  • 加齢により減少する卵子を保存しておける
  • 質の良い卵子を保存しておける

卵子凍結の大きなメリットとして挙げられるのが、質の良い卵子を将来の妊娠・出産のために保存しておけることです。

30歳のときに卵子を採取して凍結保存しておけば、40歳で妊娠・出産するときも30歳のころに採取した質の高い卵子を使えます。

卵子凍結がおすすめの方

卵子凍結は以下のような方におすすめです。

  • 将来妊娠・出産を考えている
  • 少しでも若い卵子を残して妊娠率を高めたい
  • 病気による妊娠率低下に備えて準備したい

若い卵子を凍結保存しておくことで、子どもを産みたいと思い立ったときに妊娠率を高められます

卵子凍結は妊娠を100%保証するものではありませんが、将来的に妊娠・出産したいと考えている方は、少しでも妊娠率を高めるために卵子凍結を検討してみると良いでしょう。

卵子凍結の年齢制限

卵子凍結の年齢制限は医療機関によって異なりますが、日本生殖医学会が公表するガイドラインには以下のように記載されています。

凍結・保存の対象者は成人した女性で、未受精卵子等の採取時の年齢は、40歳以上は推奨できない。また凍結保存した未受精卵子等の使用時の年齢は、45歳以上は推奨できない。

引用元:社会的適応による未受精卵子あるいは卵巣組織の凍結・保存のガイドライン

上記から、卵子凍結の採取時の年齢制限は40歳未満を目安にしておくとよいでしょう。

卵子凍結は何個必要?

卵子凍結 何個

卵子凍結では一度に複数個卵子を採卵します。

卵子凍結を使用した場合の年齢別の妊娠率を考慮すると、少なくとも10個は採卵しておくことが望ましいでしょう。

卵子凍結を使用した場合の年齢別の妊娠率の違い

卵子凍結を使用して妊娠する場合、採卵する年齢によって妊娠率に違いが出ます。

卵子1個当たりの年齢別妊娠率は以下の通りです。

  • 30歳以下で採卵:35%前後
  • 31~34歳で採卵:30%前後
  • 35~37歳で採卵:25%前後
  • 38~39歳で採卵:20%前後
  • 40歳以上で採卵:15%以下

上記の通り、年齢が若いほど妊娠率が高く、加齢に伴って妊娠率が低下します

そのためなるべく若い年齢で卵子凍結をしておくことが望ましいです。

妊娠するために必要な凍結卵子は少なくとも10個以上

凍結卵子を使用して妊娠する場合、卵子は少なくとも10個以上は必要とされます。

ただし、年齢によっても必要な凍結卵子の数は変わるため、医師に相談してみましょう。

凍結卵子を融解後、質が良好な受精卵が確保できた場合の卵子10個当たりの妊娠率は以下の通りです。

  • 30歳以下で採卵:80%前後
  • 31~34歳で採卵:75%前後
  • 35~37歳で採卵:53%前後
  • 38~40歳で採卵:30%前後
  • 41歳以上で採卵:20%以下

卵子の生存率や着床率を踏まえて考えると、なるべく若い年齢で少なくとも10個は卵子凍結しておくことが望ましいでしょう。

採卵した卵子は成熟卵子のみ凍結可能

卵子凍結を行う上で重要になるのが、採卵したすべての卵子が凍結保存できるわけではないということです。

卵子は状態によって3つに分類されます。

  • 成熟卵子:凍結保管可能
  • 未成熟卵子:数時間で成熟卵子になる場合は凍結保管可能
  • 変性卵子:凍結保管不可

上記のうち、基本的に凍結保存できるのは成熟卵子のみです。

35歳以下の場合は成熟卵子の割合が多いですが、個人差があるため未成熟卵子が多く採れてしまう場合もあります。

未成熟卵子でも採卵後数時間で成熟卵子になる場合は凍結保管できますが、変性卵子は凍結保管できません。

加齢に伴って変性卵子の割合が増えてしまうため、良質な成熟卵子をより多く採卵するためには、なるべく若い年齢で卵子凍結を行うことをおすすめします。

卵子の老化と卵子数の減少

卵子凍結 何個

卵子は加齢に伴って老化し、数も徐々に減少していきます。

これによって妊娠率も低下するため、将来的に妊娠・出産を考えているなら若いうちに卵子凍結をして準備をしておくことが大切です。

ここでは卵子の老化・減少について詳しく解説します。

加齢により卵子は老化する

加齢によって卵子は老化します。

若い女性の卵子と高齢の女性の卵子を比べてみると、卵のエネルギー源であるミトコンドリアの質に大きな違いがあることがわかります。

卵子が老化することで染色体異常が増え、若いころの卵子よりも細胞分裂が正常に行われない可能性が高くなるのです。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の生殖補助医療による生産率の違いを示したデータによれば、若い女性から提供された卵子を用いた場合は女性の年齢の増加による生産率の低下が見られないことが分かっています。

これは加齢の影響で卵子が老化することを表すものですが、そのメカニズムはいまだ不明です。

しかし加齢により卵子が老化することは確かなため、若いうちに卵子凍結をしていれば、加齢による影響を受けずに当時の生産率を保つことが可能です。

卵子の質の低下については、以下の記事でも解説しているため、ぜひこちらも合わせて参考にしてみてください。

卵子の質の低下

加齢により卵子数は減少する

卵子の数には限りがあり、加齢とともに徐々に減少していきます。

卵巣内にある卵子は生まれる前に作られるもので、その後新たに作られることはありません。

卵子数のピークは胎生5か月頃の約700万個で、出生時には約200万個、思春期を迎える頃には30万個まで減少します。

加齢によって卵子の数は毎月約600個ずつ減っていくとされ、37.5歳以降はその減少スピードがさらに加速します。

30歳には5万個、40歳には5,000個まで減ってしまい、加齢によって数も質も低下するため歳をとるほど妊娠しづらくなっていくのです。

高い妊娠率を保つためには、なるべく若いころに卵子凍結を行っておくことが望ましいでしょう。

卵子凍結に関するよくある質問

卵子凍結 何個

卵子凍結に関するよくある質問についてまとめました。

  • 卵子の凍結保存期間は?
  • 卵子凍結の流れは?
  • 凍結卵子を使用した受精方法は?

ここでは上記3つの質問についてそれぞれ回答します。

卵子の凍結保存期間は?

卵子の凍結保存期間は医療機関によって異なりますが、凍結日から1年毎に更新しているところが多いです。

凍結保存期間を更新するには、各医療機関が指定する凍結保存期間満了日までに手続きを行う必要があります。

更新し続ければ数年〜十数年保存しておくことも可能ですが、「満40〜満45歳までの誕生日までしか保存できない」といったように最長凍結保存期間が設けられているケースが多いです。

こちらも各医療機関によって異なるため、ホームページやカウンセリングなどで確認してみてください。

卵子凍結の流れは?

三軒茶屋ウィメンズクリニックの卵子凍結の流れは以下の通りです。

  1. 排卵誘発
    自然周期(自然周期もしくは内服薬で1~2個の採卵を目指す方法)、調節卵巣刺激法(内服薬及び注射薬によって複数個の採卵を目指す方法)
  2. 採卵
    全身麻酔によって採卵を行う
  3. 凍結保存

三軒茶屋ウィメンズクリニックでは1年ごとに保管更新料が発生し、最長45歳まで凍結保管可能です。

凍結卵子を使用した受精方法は?

凍結卵子を使用した受精方法は『顕微受精(ICSI)』となります。

細いガラス針に1つの精子を入れ、顕微鏡で確認しながら卵子に直接注入する方法です。

卵子に精子を直接注入するため、1つでも精子があれば受精できるのが大きな特徴です。

またこの受精方法によって妊娠・出産された赤ちゃんの奇形児や先天異常児になる可能性は、自然妊娠と変わらないとされます。

まとめ

卵子凍結をする場合、少なくとも10個は採卵が必要になると考えると良いでしょう。

卵子は加齢に伴って老化・減少するため、卵子凍結をする年齢が高くなるほど妊娠率が低下します。

卵子凍結は採卵時の妊娠率を維持できるのが大きな利点のため、将来的に妊娠・出産を考えているならなるべく若い年齢で卵子凍結をするのがおすすめです。

三軒茶屋ウィメンズクリニックでは、感染症検査やホルモン検査等を含めた卵子凍結に対応しています。

1年ごとに凍結期間を延長でき、最長45歳まで凍結卵子を保管可能です。

卵子凍結を検討している方は、ぜひ当院まで気軽にご相談ください。

#卵子凍結 #凍結卵子 #成熟卵

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