卵子凍結の通院回数の目安は?通院期間や保存期間についても解説

卵子凍結を行うクリニックをイメージさせる医師の机の画像

卵子凍結をするためにはどれくらい通院しなければいけないのか、仕事や用事などの都合もあるため気になっている方も多いでしょう。

卵子凍結の通院回数は4~6回程度、期間にすると10日間〜2週間程度が目安です。

この記事では、卵子凍結の通院回数について詳しく解説します。

卵子凍結の流れや保存期間、注意点などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

卵子凍結とは

卵子凍結についての説明を行う医師と患者さんの画像

卵子凍結とは、卵巣から卵子を採取して凍結保存しておくことです。

卵子を凍結保存しておくことにより、採取当時の若い年齢の卵子を使用できるため、年齢を重ねてからの妊娠率よりも高い妊娠率が期待できます。

卵子凍結には2つの適応がある

卵子凍結は『医学的適応』『社会的適応』の2つに分けられます。

医学的適応は悪性腫瘍などの治療によって卵巣機能の低下が予想される場合に行われるものです。

一方社会的適応は、加齢による卵巣機能の低下に備えて卵子を凍結保存しておくことです。

「将来的に子どもが欲しいと考えている」「今は仕事を優先したいけどいずれは出産したい」「少しでも若い卵子を保存しておきたい」といった悩みを抱えている方は卵子凍結を検討してみると良いでしょう。

卵子凍結のメリット・デメリット

卵子凍結のメリット・デメリットとして、以下が挙げられます。

メリット・加齢による卵子の減少・質の低下に備えられる
・病気の治療による不妊リスクを軽減できる
・ライフプランを立てやすくなる
デメリット・卵子凍結をしたからといって必ず妊娠できるわけではない
・卵子凍結には年齢制限(推奨年齢)がある
・保険が適用されないため全額自己負担
・副作用のリスクがある

卵子凍結の大きなメリットは、若い卵子を将来の妊娠・出産のために保存しておけることです。

卵子は加齢によって数が減少したり質が低下したりするため高齢になるほど妊娠率が低下しますが、若いころに卵子凍結をしておけば、卵子採取当時の年齢の妊娠率が期待できます。

卵子凍結をすれば必ず妊娠できるわけではありませんが、将来妊娠・出産を考えている場合に妊娠率を高められる有効な手段です。

卵子の質の低下については、以下の記事も合わせてご覧ください。

卵子の質の低下

卵子凍結の流れ

通院をイメージさせる家のブロックと聴診器の画像

卵子凍結は一般的に以下のような流れで行われます。

  1. 初診・各種検査
  2. 排卵誘発
  3. 採卵
  4. 凍結保存

ここでは上記の流れについてそれぞれ解説します。

1:初診・各種検査

卵子凍結では、感染症検査やホルモン検査を行う必要があります。

感染症検査は感染症に罹患しているかを確認するための検査で、感染症にかかっている場合はそちらの治療を優先させなくてはいけません。

感染症にかかっているとそれが原因によって不妊症になったり子宮内部に感染が広がったりするリスクがあるため、検査は必ず行う必要があります。

またホルモン検査はAMH検査とも呼ばれるもので、血液中のAMH値(体内に残っている卵子数の値)を調べる検査です。

卵子数は胎児のころから決まっており、加齢によって徐々に減ってくるため、AMH検査で卵子数がどのくらい残っているかを検査します。

AMH値が高すぎたり低すぎたりする場合、多嚢胞性卵巣症候群や早発卵巣不全が疑われ、場合によっては不妊治療が必要になることもあります。

検査は自費になるケースと保険適用になるケースがあるため、医療機関に確認してみてください。

2:排卵誘発

排卵誘発には以下の3つの方法があります。

完全自然周期法自然周期もしくは内服薬のみで1~2個の採卵を目指す方法
低刺激法『クロミフェン周期法』『クロミフェン+hMG療法』『レトロゾール周期法』などがあり、内服薬及び注射薬によって複数個の採卵を目指す方法
高刺激法『GnRHアゴニスト ロング法』『GnRHアゴニスト ショート法』『GnRHアンタゴニスト法』『PPOS法』などがあり、6~10日間毎日注射薬を投与して複数個の採卵を目指す方法

卵子凍結の副作用に『卵巣過剰刺激症候群(OHSS)』が挙げられますが、低刺激法は比較的この発症リスクを抑えやすいとされます。

複数個の採卵を希望する場合は高刺激法が適していますが、自分が希望する採卵数に合わせて医師に提案してもらうと良いでしょう。

以下の記事で低刺激法について詳しく解説しているため、ぜひ合わせてチェックしてみてください。

卵巣刺激方法(低刺激法~中刺激法)

3:採卵

プローブと呼ばれる経膣超音波の機器と採卵針を使い、卵胞液を卵子とともに吸引して採卵します。

採卵時に痛みを感じる場合があるため、麻酔を使う医療機関も多いです。麻酔の有無や麻酔の費用については各医療機関に確認してみてください。

4:凍結保存

採取した卵子は『ガラス化法』と呼ばれる方法で凍結保存されます。

ガラス化法は、採取した卵子のうち成熟した卵子のみを超低温の液体窒素に入れて凍結保存する方法です。

凍結した卵子の保存期間は医療機関によって異なるため事前に確認しておきましょう。

卵子凍結の通院回数・期間

カレンダーの画像

卵子凍結の通院回数は4〜6回程度です。

以下は卵子凍結の通院回数のモデルケースとなります。

通院回数内容
1回目(初回)問診・検査
2回目月経の2~3日目に来院
排卵誘発剤を使用
3回目月経から8~10日目に来院 採血や超音波により卵子の発育具合を確認し、採卵日を決定
4回目月経から11~14日目 採卵し、卵子凍結

排卵誘発から採卵までにかかる時間には個人差がありますが、初診から卵子凍結までに10日間〜2週間程度を目安に考えておくと良いでしょう。

卵子凍結の保存期間

卵子凍結の保存期間についてカレンダーにペンで印をつけようとしている女性の画像

卵子凍結の保存期間は医療機関によって異なりますが、1年ごとに更新しているところが多いです。

また凍結した卵子は更新し続ければいつまでも保存しておけるわけでなく、年齢に制限があります。

多くの医療機関では、一般社団法人日本生殖医学会倫理委員会が発表しているガイドラインに基づいて年齢制限を設けています。

凍結・保存の対象者は成人した女性で、未受精卵子等の採取時の年齢は、40歳以上は推奨できない。また凍結保存した未受精卵子等の使用時の年齢は、45歳以上は推奨できない。

引用元:社会的適応による未受精卵子あるいは卵巣組織の凍結・保存のガイドライン

上記のガイドライン通り45歳を上限に保管している医療機関のほか、50歳まで保管している医療機関などがあるため、医療機関を選ぶ際は卵子凍結の保存期間の制限もチェックしてみてください。

卵子凍結の注意点

「注意点」と書かれたブロックの画像

卵子凍結の注意点として以下の4つが挙げられます。

  • 卵子凍結は妊娠を保証するものではない
  • 凍結・融解による卵子へのリスク
  • 副作用が生じる可能性がある
  • 保管時のリスクがある

ここでは上記4つの注意点についてそれぞれ解説します。

卵子凍結は妊娠を保証するものではない

卵子凍結は、妊娠を保証するものではありません。

卵子を凍結することで採取時の若い年齢の卵子を妊娠に使えるのが大きな特徴ですが、顕微授精による受精が成立しなかったり、受精後も流産してしまったりする可能性があるのです。

若い卵子を使用できるため年齢を重ねてからよりも高い妊娠率を期待できますが、必ず妊娠できるわけではありません。

年齢ごとの卵子凍結の生存率、受精率、臨床妊娠率は以下の通りです。

凍結融解後の未受精卵子35歳までに卵子凍結を行った場合40歳を含む年代で卵子凍結を行った場合
生存率90~97%68.6~89.7%
受精率71~79%71.7~85.8%
臨床妊娠率36~61%3.3~10.8%

また採卵数と年齢別出産率をまとめたデータもあります。

10個20個30個40個
ドナー卵子平均(平均28歳)80%94%
34歳75%91%95%
37歳53%75%87%92%
40歳30%52%65%76%
42歳21%36%49%60%
44歳7%15%21%26%

このように卵子凍結をしたからといって妊娠が保証されるわけでなく、卵子を採取する年齢や採卵数によって妊娠率・出産率が変わることを理解しておきましょう。

凍結・融解による卵子へのリスク

卵子は凍結・融解によって質が低下するリスクがあります。

卵子の質が低下すると受精しづらくなったり、受精卵の発育に影響が出たりする場合があるのです。

融解時に卵子の質が低下してしまうのは5〜10%程度の確率で起こるため、なるべく多くの卵子を凍結保存しておくことをおすすめします。

副作用が生じる可能性がある

卵子凍結で生じる可能性のある副作用は以下の通りです。

  • 出血
  • 感染症
  • 麻酔による副作用
  • 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)

上記のうち特に注意が必要なのが、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)です。

卵巣過剰刺激症候群は、排卵誘発剤を使用することにより過剰に卵巣が刺激され膨れ上がり、腹痛や腹部の膨満感などの症状が出るものです。

排卵誘発剤の効果の出方には個人差があり、まれにではあるものの重症化することで腎不全や血栓症の合併症を引き起こす場合があります。

お腹の張りや吐き気、急激な体重の増加、尿量の減少などの症状が現れた場合、すぐに医師に連絡してください。

保管時のリスクがある

卵子凍結には保管時のリスクがあります。

正常に温度を保って保存されていれば卵子の質が低下する心配はありませんが、自然災害や人的ミスによって卵子が使用できなくなる可能性があるのです。

自然災害による被害を防ぐことは難しいですが、人的ミスを防ぐために対策している医療機関が多いです。

まとめ

卵子凍結の通院回数の目安は4〜6回程度です。

初診から凍結保存まで10日間〜2週間程度となりますが、排卵誘発から採卵にかけての期間は個人差があるため、あくまでも目安程度に考えておきましょう。

また卵子凍結の保存期間は医療機関によって異なるため、各医療機関の公式ホームページまたはカウンセリングにて確認してみてください。

三軒茶屋ウィメンズクリニックでは、日本生殖医学会のガイドラインに基づいた卵子凍結・保管を行っています。

患者さん一人ひとりの気持ちを理解したうえで誠実な診療の提供を心がけているため、卵子凍結でお悩みの方はぜひ一度当院までご来院ください。

#卵子凍結 #凍結卵子 #不妊治療

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