卵子凍結の保存期間は?保存期間の長い凍結卵子を使うリスクも解説

卵子凍結 期間

卵子凍結は、将来の妊娠・出産のための備えができる方法です。

「卵子凍結はどのくらいの年数保存できるの?」「凍結期間の長い卵子を使うリスクはある?」などのお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

この記事では、卵子凍結の保存期間について詳しく解説します。

保存期間の長い凍結卵子を使うリスクや卵子凍結の流れ、通院回数の目安などもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

卵子凍結とは

卵子凍結 期間

卵子凍結とは、卵巣から採取した卵子を凍結保存しておく方法です。

受精卵凍結と混同されることもありますが、卵子凍結は一般的に未受精卵子の凍結のことを指します。

卵子凍結には悪性腫瘍などの治療により卵巣機能が低下する可能性がある場合に行う「医学的適応」と、妊孕性が高いうちに将来に備えて妊娠の準備をするための「社会的適応」の2つがあります。

卵子凍結は40歳以上は推奨できないとされ、年齢制限が設けられている医療機関が多いです。

ここでは卵子凍結のメリットや妊娠率についてそれぞれ解説します。

卵子凍結のメリット

卵子凍結の大きなメリットは、凍結保存することにより採取した当時の年齢での卵子の質を維持できることです。

女性の卵子は胎生5か月でピークを迎え、それ以降増えることはありません。

さらに卵子は加齢に伴って徐々に老化していきます。

卵子が老化する詳しいメカニズムは未だ明らかにされていませんが、加齢と比例するように妊娠率が低下し、卵子の染色体異常も起こりやすくなることが分かっているのです。

また卵子の質に悪影響を与える可能性があるものには、加齢の他にも以下のようなものが挙げられます。

  • 不規則な食事
  • 精神的ストレス
  • 運動不足
  • 睡眠不足
  • 喫煙 など

このように卵子は加齢やその他の原因によって徐々に質が低下していきます。

将来的に妊娠や出産を考えている方は、なるべく早めに卵子を凍結保存しておくのがおすすめです。

凍結卵子の妊娠率

凍結卵子を使用した妊娠率は、卵子を採取した年齢によって異なります。

35歳までに卵子凍結を行った場合の受精率は71~79%、臨床妊娠率は36~61%となっており、40歳を含む幅広い年代での卵子凍結の受精率は71.7~85.8%、臨床妊娠率は10.8~3.3%です。

上記は卵子1個当たりの妊娠率となっており、卵子凍結をする場合は通常卵子を複数個採取するため、妊娠率は上記のデータよりも高くなることが予想されます。

また上記のデータを見てみると、35歳までに卵子凍結を行う場合と40歳を含む年代で卵子凍結を行う場合だと、後者の方が妊娠率が低下することがわかります。

一般社団法人日本生殖医学会倫理委員会が発表している『未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存に関するガイドライン』では、40歳以上での未受精卵子等の採取は推奨されていません。

40歳以降は妊娠率の低下が顕著にみられるため、卵子凍結を検討しているならできれば35歳までには決断することが望ましいでしょう。

卵子凍結の保存期間

卵子凍結 期間

卵子凍結の保存期間は1年ごとに更新している医療機関が多いです。

更新料を支払うことで2年目以降も継続して卵子を凍結保存しておくことができます。

ただしいつまでも半永久的に更新できるわけでなく、多くのクリニックでは一般社団法人日本生殖医学会倫理委員会が発表している『未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存に関するガイドライン』に基づいて、保管年齢に制限を設けているケースが多いです。

このガイドラインには『40歳以上での未受精卵子等の採取、45歳以上での凍結保存した未受精卵子の使用は推奨できない』と記載されています。

これに則り、45歳未満は凍結保存可能としている医療機関が多いです。

ただし、中には50歳の誕生日の前日までを最長保存期間としているところもあります。

医療機関によって卵子の凍結保存期間は異なるため、各医療機関の公式ホームページまたはカウンセリングなどで確認してみてください。

年齢と不妊治療の関係については、以下の記事でも詳しく解説しています。

不妊治療は何歳まで続けるべき?年齢による影響をわかりやすく解説

保存期間の長い凍結卵子を使うリスクはある?

卵子凍結 期間

卵子凍結は『ガラス化法』というマイナス196℃の超低温の液体窒素で凍結保存する方法が一般的です。

この方法は卵子を変質させずに半永久的に保存できるのが特徴のため、基本的に長期保管によって質が落ちる心配はありません。

例えば30歳の時に卵子を凍結保存しておき、40歳で凍結保存した卵子を融解して妊娠に使用することも可能なのです。

20歳の時に卵子を凍結し、16年後の36歳に凍結卵子を使用した妊娠・出産に成功した事例もあります。

受精卵のケースでは、保存期間が短い凍結受精卵と保存期間が長い凍結受精卵のそれぞれの妊娠率や出生時の発育の違いについて調査した論文データもあり、これによると凍結保存期間による融解後の受精卵の生存率や妊娠成績に差はないことが分かっています。

出生時の平均体重や身長、先天異常、早産率、周産期合併症などの発生率にも差はみられず、3歳までの身長・体重の推移や運動機能、言語機能の成長にも問題が見られませんでした。

また、凍結卵子を使用した妊娠は先天性異常や発育異常などのリスクを心配する方もいるかもしれませんが、これらのリスクは不妊治療や自然妊娠と変わりないことが分かっています。

ここまでの内容から、卵子の凍結保存期間と妊娠・出産に関連するリスクは比例しないといえます。

卵子凍結の流れ

卵子凍結 期間

卵子凍結の一般的な流れは以下の通りです。

  1. カウンセリング・検査
  2. 排卵誘発
  3. 採卵
  4. 卵子凍結・保管

ここでは上記4つのステップについてそれぞれ解説します。

カウンセリング・検査

最初にカウンセリングを行います。

卵子凍結について不明点や悩んでいることがあれば、迷わず正直に相談しましょう。

卵子凍結前には各種検査を受ける必要があり、三軒茶屋ウィメンズクリニックでは感染症検査やホルモン検査を含む各種検査を行っています。

感染症検査は感染症に罹患していないかを確認する検査で、感染症にかかっていると胎児に影響が出たり不妊症になったりといったリスクがあります。

ホルモン検査は体内にどれくらいの卵子数があるかを確認する検査です。

卵子は生まれたときから数が決まっており、胎生5か月ごろをピークにその数は減る一方となります。

ホルモン検査では年齢相応の卵子数が残っているかを確認し、値が高すぎるもしくは低すぎる場合には多能性卵巣症候群や早発卵巣不全の疑いもあります。

カウンセリングや検査をもとに卵子凍結を受けることが決まったら、いくつかの書類の提出が必要になるケースが多いです。

  • 治療開始宣誓書
  • 卵子凍結同意書
  • 麻酔同意書
  • 麻酔問診票
  • 住民票など

必要な書類はクリニックによって異なるため、説明をしっかり聞いておきましょう。

排卵誘発

卵子を採取するために排卵を誘発します。

排卵誘発方法は主に2つあり、医師の診察・指導をもとに患者さんの希望に沿って選択します。

  • 自然周期:自然周期もしくは内服薬のみで1~2個の採卵を目指す方法
  • 調節卵巣刺激法:内服薬および注射薬で複数個の採卵を目指す方法

排卵誘発剤を使用する場合、卵巣過剰刺激症候群という副作用に注意しなくてはいけません。

卵巣過剰刺激症候群は、卵巣が排卵誘発剤に過剰に反応することにより腫れてしまう症状です。

卵子凍結では卵子を多く採取するために排卵誘発剤の刺激が高くなりやすいため、一般的な不妊治療よりも卵巣過剰刺激症候群の発症リスクが高くなります。

万が一お腹が張ったり尿が出にくくなったりといった症状が現れた場合には、すぐに医師に相談しましょう。

採卵

経膣超音波機器と採卵針を使用し、卵胞液とともに卵子を吸入して採卵します。

採卵時の麻酔の有無は医療機関により異なりますが、三軒茶屋ウィメンズクリニックでは全身麻酔によって採卵を行います。

医療機関によって方針は異なりますが、1度の採卵で希望個数の卵子を保存できなかった場合は一定期間を空けた後で再度採卵することも可能です。

なお、採取した卵子は以下の3つの種類に分けられ、卵子凍結できるのは成熟卵子のみとなります。

  • 成熟卵子:凍結保管可能
  • 未成熟卵子:採卵後、成熟卵子になる場合は凍結保管可能
  • 変性卵子:凍結不可能

35歳以下の場合は採取した卵子のうち90%程度が成熟卵子とされますが、加齢とともに未成熟卵子や変性卵子の割合が増えていきます。

卵子凍結・保管

採取した卵子は『ガラス化法』により、成熟卵子のみ凍結保存します。

保管期間は医療機関により異なりますが、三軒茶屋ウィメンズクリニックでは1年ごとに保管更新料が発生します。

保管期間や保管更新料については、各医療機関の公式ホームページまたはカウンセリングにてご確認ください。

卵子凍結にかかる通院回数は4~6回

卵子凍結 期間

卵子凍結は初診から採卵・卵子凍結まで4〜6回程度の通院が必要になります。

期間に換算すると10日間〜2週間程度が目安です。

採卵当日では麻酔を使用するため、1〜2時間程度安静にする必要があります。

採卵後に仕事に行けるケースもありますが、時には痛みを感じることもあるため終日お休みにしておくと安心でしょう。

仕事や用事等の都合も踏まえて医師と相談のうえで治療スケジュールを立てましょう。

まとめ

卵子凍結の保存期間は1年ごとに更新している医療機関が多いです。

一般社団法人日本生殖医学会倫理委員会のガイドラインに記載されている内容に基づき、44歳まで凍結保存可能としている医療機関が多い傾向にあります。

医療機関によっては49歳まで保管しているところもあり、各院によって異なります。

また卵子凍結は卵子を変質させずに保管できる点が大きな特徴のため、保存期間が長いからといって妊娠や出産に悪影響が出るリスクは低いといえるでしょう。

三軒茶屋ウィメンズクリニックでは、ガイドラインで推奨される期間に基づき、最長45歳に至るまで1年更新で凍結卵子を保管しています。

卵子凍結を検討している方はぜひ当院までご相談ください。

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