不妊治療で貰える助成金とは?治療費用を軽減する方法も紹介
不妊治療はお金がかかるといったイメージがあるかもしれません。
そこで、できるだけ不妊治療による経済負担を軽減させるために、さまざまな助成金などが用意されています。
また、助成金以外にも治療費を軽減する方法も用意されています。
この記事では、不妊治療でもらえる助成金やできるだけ治療費を軽減する方法などを紹介するため、気になる人はぜひ最後までご覧ください。
国からの不妊治療でもらえる助成金がなくなった理由とは?
不妊治療の助成金といえば、国が行っていた「特定不妊治療費助成事業」を思い浮かべる人もいるかもしれません。
特定不妊治療費助成事業は、体外授精や顕微授精を行うと1回あたり30万円が貰えました。
しかし、こちらは2022年4月に不妊治療が保険適用になったことで、廃止となっています。
そのため、2024年6月現在は国が行っている不妊治療に関する助成金はありません。
不妊治療で貰える助成金
国が行っていた不妊治療による助成金は、保険適用になったことで廃止となりましたが、各自治体が独自に行っている助成金などはまだ利用できます。
ここでは、東京都に絞って不妊治療で貰える助成金を3つ紹介します。
各自治体によって、用意されている助成金や利用条件、利用期限などが異なるため、気になる場合は役所などに相談してみましょう。
不妊検査等助成事業
不妊検査等助成事業は、子どもを産みたい男女が早期に不妊検査を受け、最適な治療を開始できるように不妊検査や一般不妊治療に関する費用が一部助成される制度です。
5万円を上限に不妊検査などにかかった費用を助成してもらうことができ、夫婦1組につき1回だけ申し込めます。
特定不妊治療費助成事業の対象となる不妊検査や一般不妊治療は以下のとおりです。
男性 | 女性 | |
不妊検査 | ・精液検査 ・内分泌検査 ・画像検査 ・精子受精機能検査 ・染色体・遺伝子検査 など | ・超音波検査 ・内分泌検査 ・感染症検査 ・卵管疎通性検査 ・子宮鏡検査 など |
フーナー検査 | ||
一般不妊治療 | タイミング法や人工授精など |
また、特定不妊治療費助成事業の主な対象者は不妊検査開始日までに法律婚または事実婚の関係であり、どちらかが都内在住である必要があります。
ここで注意が必要なのは、不妊検査を男性のみ、女性のみが受けた場合は特定不妊治療費助成事業の対象とはなりません。
男女共に不妊検査を受ける必要があると覚えておきましょう。
特定不妊治療費助成事業の申請は2024年(令和6年)5月15日からは原則電子申請となりました。
申請を行う際には、以下の3つの書類が必要です。
- 医療機関が用意してくれる不妊検査等助成事業受診等証明書
- 個人番号(マイナンバー)の記載がない住民票の写し
- 婚姻関係などを確認するため戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
上記の書類は全て原本でコピーしたものは使用できません。
住民票の写しと戸籍謄本は必ず申請日から3ヶ月以内に発行されたものを用意しましょう。
東京都特定不妊治療費(先進医療)助成事業
東京都特定不妊治療費(先進医療)助成事業は、体外授精や顕微授精を行う際に保険適用される治療と併用される先進医療(自費)に必要な費用の一部を助成してもらえます。
先進医療の費用10分の7(15万円上限)が助成されます。
助成回数は保険診療の回数と同様に、治療開始時に女性の年齢が39歳までであれば6回、40〜42歳までであれば3回です。
体外授精や顕微授精などの高度生殖医療と併せて実施した先進医療のみが対象で、単独で先進医療を実施した場合は対象外です。
現在(2024年6月)、東京都特定不妊治療費(先進医療)助成事業の対象になるとして告示されている先進医療は以下のとおりです。
- EET法
- タイムラプス
- 子宮内膜スクラッチ
- PICSI
- ERA / ERPeak
- 子宮内細菌叢検査
- IMSI
- 二段階胚移植法
- 子宮内細菌叢検査(子宮内フローラ検査)
- 不妊症患者に対するタクロリムス投与療法
- 膜構造を用いた生理学的精子選択術 (マイクロ流体技術を用いた精子選別)
- 着床前胚異数性検査
東京都特定不妊治療費(先進医療)助成事業のおもな対象者は、1回目の治療初日から申請日まで法律婚または事実婚の関係であり、女性の年齢が43歳未満です。
女性に年齢制限があるのは、不妊治療の保険が適用される条件に「43歳未満」があるためです。
東京都特定不妊治療費(先進医療)助成事業の申請は2024年(令和6年)5月15日からは原則電子申請となりました。
申請を行う際には、以下の3つの書類が必要です。
- 医療機関が用意してくれる特定不妊治療費(先進医療)助成事業受診等証明書
- 個人番号(マイナンバー)の記載がない住民票の写し
- 婚姻関係などを確認するため戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
上記の書類は全て原本でコピーしたものは使用できません。
住民票の写しと戸籍謄本は必ず申請日から3ヶ月以内に発行されたものを用意しましょう。
こちらは申請期限が決まっており、1回目の治療が終了した日が属する年度末(3月31日電子申請送信日・消印有効)までです。
どうしても一部の書類が間に合わない場合は、一先ず提出できる書類を期限までに電子申請にて提出し、一部書類が遅れてしまう旨をメモに添付しましょう。
不育症検査助成事業
不育症検査助成事業は、不育症のリスク因子を特定し、適切な治療や出産につなげるための検査に必要な費用の一部が助成される制度です。
不育症とは、妊娠確認後に2回以上の流産や死産を繰り返してしまい、結果として子どもを授かれない状態です。
不育症検査助成事業における流産は、生化学的妊娠(化学流産)や着床不全は含まず、超音波検査で胎嚢が確認されたあとの流産を指します。
助成金額の上限は5万円で夫婦1組に対して1回のみです。
不育症検査助成事業の対象となる人は以下の要件をすべて満たしている人です。
- 検査開始日に事実婚を含む夫婦関係である
- 検査開始日に女性の年齢が43歳未満である
- 検査開始日から申請日まで継続して住民登録をしている
- 2回以上の流産か死産の経験があるまたは医師から不育症と診断された
また、対象となる検査は以下に記載の検査に限られています。
- 子宮形態検査
- 内分泌検査
- 夫婦染色体検査
- 抗リン脂質抗体
- 血栓性素因スクリーニング(凝固因子検査)
- 絨毛染色体検査
- 先進医療として告示された不育症検査
先進医療として告示された不育症検査に関しては、厚生労働省からの通知により、変更される場合があるため、都度確認が必要でしょう。
不育症検査助成事業の申請も2024年(令和6年)5月15日からは原則電子申請となりました。
申請を行う際には、以下の3つの書類が必要です。
- 医療機関が用意してくれる不育症検査助成事業受診等証明書
- 個人番号(マイナンバー)の記載がない住民票の写し
- 婚姻関係などを確認するため戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)
住民票の写しと戸籍謄本は必ず申請日から3ヶ月以内に発行されたものを用意しましょう。
こちらも申請期限が決まっており、検査終了日から6ヶ月以内に申請する必要があります。
いかなる理由であっても、申請期限を過ぎてしまうと受け付けてもらえないため注意しましょう。
助成金以外に不妊治療の費用を軽減する方法
不妊治療の費用負担を軽減する方法は助成金だけではありません。
ここでは、助成金以外に不妊治療の費用を軽減する方法を3つ紹介します。
健康保険
不妊治療は2022年4月より健康保険適用となったため、窓口での費用負担が原則3割となりました。
保険が適用される不妊利用はおもに、タイミング法や人工受精を行う一般不妊治療と体外授精や顕微授精を行う生殖補助医療の2つです。
一般不妊治療に関しては特に制限なく、保険適用で利用が受けられます。
しかし、生殖補助医療に関しては、女性の年齢が43歳未満であり、回数上限も以下のように決められています。
初めての治療開始時の女性の年齢 | 回数上限(1子ごと) |
40歳未満 | 通算6回まで |
40~43歳未満 | 通算3回まで |
女性に年齢制限があるのは、43歳頃になると体外授精や顕微授精の成功率が大幅に下がってしまうためです。
高額医療費制度
高額医療費制度とは、保険適用の治療について1ヶ月の医療費が高額になって、自己負担限度額を超えた場合に払い戻して貰える制度です。
高額医療費制度に関する自己負担上限額は所得に応じて以下のように変動します。
所得区分 | 自己負担限度額 |
①区分ア 年収約1,160円~ | 252,600円+(総医療費-842,000円)×1% |
②区分イ 年収約770~1,160万円 | 167,400円+(総医療費-558,000円)×1% |
③区分ウ 年収約370~770万円 | 80,100円+(総医療費-267,000円)×1% |
④区分エ 年収約370万円以下 | 57,600円 |
⑤区分オ(低所得者) 住民税非課税世帯 | 35,400円 |
出典元:厚生労働省
高額医療費制度の対象となるのは、不妊治療のなかでも保険適用の治療のみとなっています。
保険適用外の医療費は高額医療費制度の対象にはならないため、注意してください。
民間の医療保険
不妊治療が保険適用になったことで、人工授精や体外授精などを行う際の採卵や胚移植などが手術に分類されるようになりました。
そのため、民間の医療保険の入院給付金が受け取れます。
また、加入している医療保険の内容によっては、自費診療である先進医療や男性の不妊治療もカバーできる場合があります。
ただ、保険会社によっては不妊治療の保証が始まるのは契約から2年後などの条件がかされていることもあるため、確認しておきましょう。
まとめ
不妊治療の費用負担を軽減するために、各自治体ではさまざまな助成金などを用意しています。
対象となる治療や申請条件などは自治体や申請年度などによって変化する可能性があるため、気になる人は役所窓口やホームページなどを確認するのがおすすめです。
また、助成金以外にも2022年から不妊治療が保険適用になったことで、高額医療費制度なども活用できるようになりました。
不妊治療の費用面が不安な人はこのような助成金や制度をしっかりと活用してください。
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