不妊治療で着床しない理由とは?兆候・確認方法・妊娠に近づくヒントを徹底解説

不妊治療 着床

「排卵はしているし、人工授精も何度か試した。それでも妊娠しないのはなぜ?」

不妊治療を続けていく中で、こんな疑問や不安を抱える方は少なくありません。

排卵や受精までは順調でも、その先の『着床』で妊娠がストップしてしまうケースは意外とあるものです。

実際、妊娠成立の鍵を握るのが着床のステップであり、ここがうまくいかなければ妊娠には至りません。

この記事では、着床が不妊治療で注目される理由、着床したときに現れる体の変化(兆候)や確認方法、着床後に気を付けたい生活習慣などについて解説します。

着床とは?不妊治療で重要な理由

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着床とは、受精卵が子宮内膜にくっつき、妊娠へと進むプロセスのことを指します。

より具体的には、卵管で受精した卵(受精卵)が子宮へ移動し、子宮内膜に根を下ろすように接着・浸潤する現象をいいます。

妊娠成立までには、以下のようなプロセスが必要です。

  • 受精:卵管で精子と卵子が出会い、受精卵ができる
  • 子宮へ移動:受精卵が細胞分裂を繰り返しながら子宮へ向かう
  • 着床:子宮内膜に到達した胚(受精卵)が、内膜にしっかりと接着する

着床は、妊娠の成否を左右する重要なステップです。

なぜなら、着床してはじめて受精卵が母体とつながり、栄養や酸素を受け取る関係が始まるからです。

このステップを経て、妊娠が維持される準備が整います。

不妊治療と着床の関係:特に体外受精では重要なポイントに

自然妊娠や人工授精では、体内で精子と卵子が出会い、受精が成立することが前提です。

一方、体外受精(IVF)では、受精とその後の成長(胚の育成)は体外で医療的にサポートし、ある程度育った胚を子宮に戻すという方法が取られます。

ここでいう『胚』とは、受精卵が細胞分裂を繰り返し、ある程度成長した状態のことで、いわば将来赤ちゃんになる『もと』となる存在です。

体外受精では、この胚を子宮に移植したあと、子宮内膜にうまく着床するかどうかが妊娠成立のカギを握ります。

たとえ胚の質が良くても、子宮内膜の状態やホルモンバランスなど着床環境が整っていなければ妊娠は成立しません。

そのため、体外受精を受けている方にとっては、「着床できるかどうか」が治療の大きな分岐点となり、このプロセスへの理解と対策がとても重要になります。

不妊治療で着床成功のサインとは

不妊治療 着床

着床が成立すると、体は妊娠を維持しようと準備を始めるため、さまざまな体の変化が起こることがあります。

すべての方に同じような症状が現れるわけではありませんが、以下のような兆候が見られた場合、着床が成功している可能性があると考えられます。

おりものの変化

着床時期には、女性ホルモンの変化によっておりものの性質や量に変化が起こることがあります。

具体的には、以下のような変化がみられることがあります。

  • おりものの量が増えた
  • においが普段よりもきつく感じる
  • 色が乳白色、黄色っぽく変わる

下腹部の痛み(着床痛)

着床時に、子宮内膜に胚が根を下ろす刺激によって、軽い下腹部の痛みを感じることがあります。

生理痛とは少し異なり、チクチク・ピリピリしたような感覚が特徴です。

痛みがない場合もありますが、張り感や違和感を覚える方もいます。

この痛みは『着床痛』と呼ばれ、医学的に証明されておらず、原因ははっきりしていませんが、子宮の収縮によるものではないかと考えられています。

高温期が続く

基礎体温には、排卵を境に『低温期』と『高温期』があります。

通常は月経前に体温が下がりますが、着床が成功すると高温期が継続します。

月経予定日を過ぎても高温期が続いている場合は、妊娠の可能性が考えられるでしょう。

不正出血(着床出血)

すべての人に起こるわけではありませんが、受精卵が子宮内膜に着床する際、ごく少量の出血が起こることがあり、これを『着床出血』と呼びます。

  • 月経予定日付近に、少量の出血が数日で止まった
  • いつもの月経と違い色が薄かった、または量が少なかった

このような場合、実は着床出血だったというケースもあります。

微熱や風邪のような症状

着床後は女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌量が増えることで、体に以下のような変化が起きることがあります。

  • 微熱が続く
  • 強い眠気
  • 倦怠感
  • 頭痛

これらは風邪の症状に似ているものの、妊娠初期によく見られるサインでもあります。

不妊治療で着床したか確認する方法

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着床の兆候がみられたり、月経が遅れていたりすると、「もしかして妊娠したかも……?」と期待がよぎるものです。

妊娠の可能性があるときは、以下の方法で確認することができます。

市販の妊娠検査薬で確認する

市販の妊娠検査薬では、尿中に含まれるhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)ホルモンの量を測定することで妊娠を調べることができます。

hCGは着床後に分泌が始まるホルモンで、最後の月経開始日からおよそ3週間後、つまり次の月経予定日を過ぎた頃から検出可能です。

ただし、あまりに早く検査をするとhCGの分泌量が十分でなく「陰性」と出る可能性があるため、妊娠検査薬を使用するタイミングは月経予定日の1週間後以降が適しています。

正確な診断はクリニックで

より正確に妊娠の有無を確認したい場合は、クリニックでの血液検査を受けましょう。

hCGは尿だけでなく血中にも分泌されるため、医療機関では血中のhCG濃度を測定して妊娠を判定します。

また、市販の妊娠検査薬で陽性反応が出た場合でも、クリニックで正式な診断を受けることが大切です。

妊娠の継続や胎嚢の確認、経過観察など、今後の治療計画にも関わるため、早めの受診をおすすめします。

不妊治療で着床しない原因とは

不妊治療 着床

不妊治療を続けているのに、なかなか着床に至らないと「何が原因なのだろう?」と不安になるものです。

特に体外受精などの不妊治療を受けていても着床がうまくいかない場合、見えない要因が関係していることも考えられます。

着床が成立しない原因はひとつと限らないため、胚側(受精卵)と子宮側(着床環境)の両面からアプローチすることが大切です。

着床がうまくいかない原因には以下のようなものがあります。

胚の質に問題がある

受精卵の質、つまり胚の質が低い場合、子宮内膜に到達しても着床に至らないことが少なくありません。

特に染色体の異常を抱えた胚は、着床しにくく、着床しても妊娠が継続せず早期流産につながることもあります。

胚の質には卵子と精子の両方の状態が影響していますが、特に卵子は年齢とともに老化が進むため、35歳を過ぎると染色体異常のリスクが高まりやすいといわれています。

子宮内膜の状態が不十分である

どれだけ質の良い胚であっても、子宮内膜が着床に適した状態でなければ妊娠にはつながりません。

以下のような要因が着床を妨げる原因になります。

  • 子宮内膜が薄い
  • 内膜が着床のタイミングと合っていない(着床の窓のズレ)
  • 子宮内ポリープや子宮筋腫がある
  • 子宮内膜症などの婦人科疾患がある

これらは、受精卵が着床しやすい受け皿としての環境が整っていない状態といえます。

免疫異常による着床障害

本来、女性の体には妊娠を維持するための免疫の仕組みがありますが、自己免疫疾患などがあると受精卵を異物とみなして攻撃してしまうことがあります。

免疫異常による着床障害であるかどうかは検査をしなければわからないため、婦人科を受診して相談しましょう。

ホルモンバランスの乱れ

妊娠を成立・維持させるためには、黄体ホルモン(プロゲステロン)をはじめとするホルモンの働きが不可欠です。

排卵後に黄体ホルモンの分泌が不足していると、子宮内膜が十分に成熟せず、着床が難しくなります。

また、以下のようなホルモンの異常も着床に影響を与える可能性があります。

  • 甲状腺ホルモンの分泌異常
  • プロラクチンの過剰分泌(高プロラクチン血症)

これらは排卵や子宮内膜の状態に影響を与えるため、ホルモン検査による評価と適切な治療が必要となります。

不妊治療で着床の可能性を高める方法

不妊治療 着床

不妊治療を続けていてもなかなか着床に至らない場合、生活習慣や体の状態を見直すことで、着床の可能性を高めることが期待できます。

日常生活の中でできる取り組みや、医療機関での検査について以下に紹介します。

栄養バランスのとれた食事

妊娠しやすい体づくりには、毎日の食事で十分な栄養を摂ることが欠かせません。特に以下の栄養素は、着床や妊娠の維持に関わるため、積極的に摂取したいところです。

  • タンパク質
  • 葉酸
  • 鉄分
  • ビタミンD
  • カルシウム

また、糖質の過剰摂取は卵巣機能の低下やインスリン抵抗性につながることがあるため、控えめを意識しましょう。

規則正しい生活習慣

良質な睡眠や規則的な生活は、自律神経やホルモンバランスを整えるうえでとても重要です。

さらに、軽い運動(ウォーキング、ストレッチなど)を日常に取り入れると、血流を良くし、ストレス軽減にもつながります。

ただし、過度な運動は逆効果となることがあるため、無理のない範囲で行いましょう。

ストレスを溜めない

ストレスはホルモンバランスや自律神経に影響を及ぼすため、妊娠を希望する方にとって避けたい要素です。

不妊治療では結果が出ないことに不安や焦りを感じやすく、知らず知らずのうちにストレスが蓄積しがちです。

意識的にリフレッシュの時間を作る、パートナーとの会話を通じて心の負担を減らすなどして心のケアも大切にしましょう。

医療機関での検査・治療

体外受精を繰り返しても着床に至らない場合は、子宮内膜や着床環境に関する専門的な検査を検討してみましょう。

たとえば、以下のような検査があります。

  • ERA検査(子宮内膜着床能検査):胚を戻す最適なタイミング(着床の窓)を調べる
  • 慢性子宮内膜炎の検査:慢性炎症の有無を確認する
  • 免疫検査:免疫の異常が着床不全に関与しているかどうかを確認する

検査で異常が見られたら、医師と相談しつつ自分の体に合った治療法を見つけることが着床率の向上につながります。

不妊治療で着床した後の過ごし方

不妊治療 着床

着床が確認された後は、妊娠を継続するために心身ともに穏やかに過ごすことが大切です。

無理のない生活を心がけ、激しい運動や重い荷物の持ち運びは避けましょう。

また、冷えやストレスも体に負担をかけるため、体を冷やさない服装やリラックスできる時間の確保も意識するとよいでしょう。

着床した後も「またうまくいかないかも……」と不安を感じることも少なくありません。

そんなときは、パートナーに相談したり、定期的にクリニックで診てもらいながら、医師の指示に従って過ごすことが安心につながります。

まとめ

不妊治療において着床は、妊娠成立に欠かせない重要なステップです。

胚の質や子宮内膜の状態、ホルモンバランスなど、さまざまな要素が関与しており、妊娠が成立しない原因を知ることは、次の一歩への大切なヒントになります。

三軒茶屋ウィメンズクリニックでは、患者さん一人ひとりに寄り添いながら、着床不全の原因や体質に合わせた治療を行っています。

「なかなか着床しない」「体外受精がうまくいかない」とお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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