不妊治療に年齢制限はある?保険適用の年齢についても解説

不妊治療 年齢制限

不妊治療には年齢制限が設けられているため、検討している方は早めに診察を受ける必要があります。

しかし、なぜ年齢制限があるのかをご存じでしょうか。その理由は、加齢に伴い生じる身体の変化や衰えが関係しています。

この記事では、不妊治療と年齢制限について詳しく解説します。

不妊治療には年齢制限がある

不妊治療 年齢制限

不妊治療は、治療開始時点で「43歳未満」といった年齢制限が設けられています。年齢制限がある理由は、加齢と共に妊娠できる確率が下がってしまうためです。

保険も年齢に応じて受けられる内容が多少異なってくるため、できる限り早めに受けると安心です。

ここでは、年齢制限が設けられている理由や保険の適用内容について解説します。

体外受精の成功率などが年齢制限を設ける大きな理由

不妊治療は、治療開始時点で43歳未満でなければ受けられません。その大きな理由は、女性側の年齢に伴う体外受精の成功率が下がる点にあります。

一般的に、30代後半〜40歳の妊娠出産は難しいケースが多くあり、体外受精だったとしても叶わない可能性が高くなります。

合わせて、体外受精で妊娠・出産に至るケースが全体の5%以下である点なども、年齢制限を設ける理由であると考えられます。

そのため、不妊治療を受けたいと考えている場合、早めに不妊治療の受診を受けると安心です。

晩婚化と高齢出産

日本では晩婚化が加速しており、初産が高齢になるケースは少なくありません。

年次初婚年齢第1子 出生時 平均年齢
昭和50年24.7歳25.7歳
平成10年26.7歳27.8歳
平成20年28.5歳29.5歳
令和元年29.6歳30.7歳

(引用元:令和3年度 出生に関する統計の概況|出生の推移

厚生労働省が発表している統計では、統計開始の昭和50年から比較したところ、令和元年では表のとおり、約5歳ほど初婚の年齢が遅くなっています。

それにともない、第1子出産の年齢も30歳と遅くなっている傾向がみられており、なかには高齢出産の方もいることが予想できます。

女性の晩婚化が進むことで、高齢出産する方が増えるのは仕方がない現状であるものの、40歳以上の出産は難しいため、リスクを抱える点を理解しなければなりません。

不妊治療の保険も年齢制限がある

高齢出産は、経済的・精神的に安定しているものの、社会情勢に応じて不妊治療の費用が大きい負担になるケースがあります。

一般的な不妊治療である以下の治療については、年齢制限を設けていません。

  • タイミング法
  • 排卵誘発法
  • 人工授精

年齢制限のある治療(生殖補助医療)は、以下のものです。

  • 体外受精
  • 顕微授精

「生殖補助医療」については、不妊治療開始時が43歳未満と定められています。具体的な回数については以下の通りです。

初めての治療開始時点の女性の年齢回数の上限
40歳未満通算6回(1子ごと)
40歳以上43歳未満通算3回(1子ごと)

(引用:厚生労働省|リーフレット

保険診療で不妊治療を開始してからの回数となるため、過去、保険診療を受けていない場合はカウント不要です。

保険適用により、窓口で支払う負担額が治療費の3割程度となるため覚えておきましょう。

また、仮に治療費が高額となった場合「高額療養費制度」が受けられるため、超えた分の医療費が支給されます。

高額療養費制度は、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。(引用元:厚生労働省

年齢や所得に応じて異なるものの、支払い時にかかった費用の超過分を支給してもらえるため、実質負担金が抑えられるメリットがあります。

69歳以下の上限額は以下の通りです。

適用区分ひと月の上限額(世帯ごと)
年収約1,160万円~ 健保:標報83万円以上 国保:旧ただし書き所得901万円超252,600円+(医療費-842,000)×1%
年収約770~約1,160万円 健保:標報53万~79万円 国保:旧ただし書き所得600万~901万円167,400円+(医療費-558,000)×1%
年収約370~約770万円 健保:標報28万~50万円 国保:旧ただし書き所得210万~600万円80,100円+(医療費-267,000)×1%
~年収約370万円 健保:標報26万円以下 国保:旧ただし書き所得210万円以下57,600円
住民税非課税者35,400円

(引用元:厚生労働省

基本的には、1つの医療機関での自己負担金が対象とされていますが、上限額を超えなかった場合、別の医療機関で発生した自己負担金(21,000円以上)を合算でき、高額療養費の支給ができます。

このほか、負担金を軽減できる仕組みもあるので、気になった方は自治体などにお問い合わせください。

なぜ加齢で妊娠が難しくなる?

不妊治療 年齢制限

加齢により妊娠が難しくなる理由は、以下の2点です。

  • 卵胞数が減少する
  • 受精卵を生み出す確率が低くなる

それぞれについて解説します。

卵胞数が減少する

女性の卵巣には、卵胞が多数あり以下のような変化がでてきます。

年齢卵胞の数
出生児200万個
思春期30万個

そして、加齢とともに数百個ずつ減少する影響が出てくるため、45〜46歳には数が数千個になると考えられます。

結果、月経が不順になり閉経します。卵胞数の減少により、妊娠できる可能性が低くなってしまうのです。

また、体外受精などの不妊治療を行うとしても、卵子の採取ができなかったり、ホルモンによる治療を受けても卵子が大きくならなかったりする可能性もあります。

そのほか、染色体異常の頻度が高くなってしまうため注意が必要です。

受精卵を生み出す確率が低くなる

高齢による妊娠は、染色体異常の割合が上昇するだけでなく、健全な受精卵を生み出す確率が下がってしまうデメリットがあります。

母体の高齢化により、ダウン症の発症頻度が上昇する可能性があり、36歳以上の女性を対象にしたところ、約60%の確率で染色体異常が発見されました。

保険適用や不妊治療の年齢制限がある理由はあるものの、必ずしもこの通りになるわけではなく、人によっては健康的な受精卵が生み出せる可能性があります。

リスクがともなう点などを予め理解しておきましょう。

体外受精で高齢妊娠は可能?

不妊治療 年齢制限

加齢による着床率は以下の通りです。

年齢着床率
36~37歳21%
38~39歳11.6%
40歳以上6.5%

上記の通り、加齢にともなって流産率が上昇するため、40歳では早期流産の可能性が96%と想定されます。

体外受精での妊娠は、40歳以上の場合でも妊娠率を向上できる可能性があります。

しかし、妊娠の可能性が期待できるのは40〜41歳程度と考えられており、それ以上の年齢では、出産まで順調に胎児が育つケースが少ないのです。

体外受精を複数回行うと妊娠率が下がるなどさまざまな憶測が噂されているかもしれませんが、体外受精を複数回行っても、妊娠率が下がることはないので安心してください。

高齢になることで卵子を採取できず、体外受精が行えない可能性もあります。

複数のリスクをふまえて、不妊治療を受ける際には、具体的にどういった流れで行うかを医師と相談しながら決定しましょう。

まとめ

晩婚化に伴い、高齢出産するケースが増えてきています。

しかし、高齢の方が妊娠・出産することは難しくなるため、不妊治療や保険なども年齢制限が設けられます。

もしも不妊治療を受ける予定があるのであれば、早めの検討が必要です。高齢出産はリスクが伴う点などを予め理解したうえで、妊娠や出産を検討しましょう。

「三軒茶屋ウィメンズクリニック」では、一人でも多くの患者さんのサポートができるように、一人ひとりに合わせた検査や治療を心がけています。

第一子での不妊治療、または第二子を望む場合に悩みを抱えている場合には、お気軽にご相談ください。

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