不妊治療の先進医療とは?保険金や助成金について詳しく解説

不妊治療 先進医療

不妊治療で受けられる先進医療にはどういったものがあるのかご存じでしょうか。

これまで、不妊治療は時間がかかってしまうことが多く、結果、費用が高くなる点から受けることを断念する方もいました。

しかし、不妊治療に関する保険適用により、不妊治療へのハードルが下がっている一方で、先進医療は保険外の治療のため不安に感じる方がいるかもしれません。

この記事では、不妊治療における先進医療の詳細や助成金について解説します。

不妊治療の先進医療とは

不妊治療 先進医療

まず、先進医療がどういった医療なのか解説します。先進医療は、以下の法律によって定められた評価療養です。

「厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養そのほかの療養であって、保険給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養」(引用:厚生労働省|先進医療の概要について

今後、公的保険の給付対象となれば、将来的には負担が軽くなる可能性があります。

特徴は、先進医療の費用そのものは自己負担となるものの、それ以外の一般的な治療に関しては保険が適用できる点です。

一般的な治療は、診察・検査・投薬・入院などのことを意味しています。

結果、先進医療以外のものについては、保険が適用されるため不妊治療を受ける負担が軽くなるメリットがあります。

だんだんと先進医療と保険診療を併用できる内容が拡充されているため、今後もどういった内容の先進医療が追加されるのか、注意しておくとよいでしょう。

先進医療を受ける時に必要な手続きは?

先進医療を受ける時に必要なのは、治療内容及び費用に対しての同意です。それ以外は、特に必要な手続きはないため、医師やご家族と相談のうえ治療を受けられます。

不妊治療の先進医療はどんなものがある?

厚生労働省で告示されている技術は次の治療法です。

先進医療治療方法
PICSI法(生理学的精子選択術)顕微授精する
タイムラプス撮像法(受精卵・胚培養)胚や受精卵の様子を観察する
子宮内細菌叢検査(MMA/ALICE法)子宮内膜からDNAを抽出し、子宮内膜細菌叢のバランスを整える方法
子宮内膜刺激法(SEET法)子宮内膜を刺激し胚が着床する準備を胚移植前に促す
子宮内膜受容能検査法(ERA)着床のタイミングを確認する
子宮内膜擦過術(内膜スクラッチ法)着床率、妊娠率の改善を促す
強拡大顕微鏡による形態良好精子の選別法(IMSI法)成熟精子の選択を行う
子宮内フローラ検査膣や子宮内の善玉菌やラクトバチルス属菌の割合を調べる
子宮内膜受容能検査法(ERPeak)子宮内膜の組織を採取し、妊娠する時期を確認する
二段階胚移植法受精後、および5日目に胚盤胞を移植する

(引用元:厚生労働省|不妊治療における先進医療の状況

上記の先進医療に関しては、必要な治療に応じて保険診療と併用できます。

そのため、必要な治療を正しく受けられる点から多くの方が不妊治療を受けやすい環境となっているといえるでしょう。

病院によって実施している治療内容が異なるため、事前に確認してください。

先進医療の助成金はある?

不妊治療 先進医療

全国や自治体によって、助成金制度を実施しています。ここでは、一例として東京都の取り組みについて紹介します。

対象者1回の治療初日~申請日までにおいて、次の条件を満たす方 【法律婚の方】 婚姻関係がある 夫婦いずれが継続して東京都内に住民登録をしていること(※いずれかが都外在住の場合、申請者は都内在住者とする) 【事実婚の方】 同一世帯である証明ができる ほかの法律上の配偶者がいないこと 夫婦共に継続して東京都内の同一住所に住民登録をしていること 【同一世帯ではない場合】 申告書を提出する→事実婚関係にあることを証明し、出生後の子どもを認知する意向の確認)
特定不妊治療(先進医療)を保険診療として受診している 先進医療を登録医療機関で受診している (※全額実費で実施している場合、対象外)
申請者、配偶者が不妊治療・先進医療に関して医療費助成を受けていない
1回の治療開始日に妻の年齢が43歳未満である
助成金を受けられる先進医療子宮内膜刺激法(SEET法) タイムラプス撮像法(受精卵・胚培養) 子宮内膜擦過術(内膜スクラッチ法) PICSI法(生理学的精子選択術) 子宮内膜受容能検査法(ERPeak) 子宮内細菌叢検査(MMA/ALICE法) 強拡大顕微鏡による形態良好精子の選別法(IMSI法) 二段階胚移植法 子宮内フローラ検査 不妊症患者に対するタクロリムス投与療法
助成金を受けられる回数治療開始日の妻の年齢で回数が決まっています。 39歳までの夫婦:6回まで 40歳~42歳までの夫婦:3回まで 1子ごとに回数リセットをすることが可能 (※上限回数:1子につき6回もしくは3回限り)
助成金上限先進医療にかかった費用の10分の7について、15万円を上限に助成

(引用元:東京都福祉保健局|東京都特定不妊治療費(先進医療)助成事業の概要

事実婚でも助成金制度を受けられるといった点はメリットです。多様化する社会に適用する制度が実現されると、多くの方が安心して妊娠・出産を検討できます。

上限や回数に制限はあるものの、先進医療を受けられることで精度の高い不妊治療が実施できる可能性があるので、前向きに検討できます。

注意すべきポイント

注意すべき点は、助成金を実施しているかどうかを事前に確認しなくてはならないことです。病院により実施していない場合があり、助成金制度を受けられない可能性があります。

また、年齢によって受けられない可能性が出てきてしまうため、不妊治療を受けるのであれば早めに検討しましょう。

助成金制度の内容は地域で異なる場合があるので、事前に調べておくと安心です。

合わせて、「不妊専門相談センター事業」などでも相談できるので、悩んだときにはご検討ください。

先進医療を受けるメリットは?

不妊治療 先進医療

先進医療は、費用がかかってしまうものの受けるメリットは大きいです。具体的には、以下の点が挙げられます。

  • 不妊治療費用の負担が軽減できる
  • 有効性や安全性が高い治療を受けられる

それぞれについて解説します。

不妊治療の費用が軽減できる

不妊治療に係る先進医療については、保険診療と併用して受けられるため、費用面の負担を軽減できます。

注意するべき点は、先進医療の治療費は「全額自己負担」であることです。

保険診療にかかわる治療については、自己負担3割で済むためトータルして費用が軽減できるというわけです。

高度な治療を受けられ、費用も抑えられる点などがメリットといえるでしょう。

また、市区町村に応じて助成金を受けられるため、そういった支援を利用する方法もあります。

有効性や安全性が高い治療を受けられる

先進医療は、国が有効性・安全性を認めている治療方法です。

そのため、不妊症状に対して有効であり、尚且つ、安全性が高い治療のため、安心して治療に専念することができます。

これまで対応していなかった治療内容について、2022年4月より保険が適用となったため、その点についても必要な方にとっては大きいメリットです。

人工授精についても、費用を抑えながら精度をあげられる可能性があるため、より効果的な不妊治療を受けられます。

そのほか、来院できない方に向けたペンタイプの注射器など、自宅での治療を行いやすくなった点などもメリットといえるでしょう。

まとめ

先進医療は、不妊治療において国が安全性や効果の有効性を認めた治療方法です。

これまで保険が適用されず、必要な治療を受けるためには費用負担が大きく、辛い想いをした方がたくさんいたかもしれません。

保険適用となる一般的な治療と合わせて先進医療を受けられるため、治療を受ける方の費用負担が軽減でき、不妊治療のハードルが下がったといえるでしょう。

地方自治体によって、受けられる助成金制度が異なるので、事前に確認してください。

三軒茶屋ウィメンズクリニック」では、不妊治療に悩みを抱えている患者さんに対して、一人ひとりに合わせた検査・治療を心がけています。

日々進歩している不妊治療において、当院では最新の医療技術を取り入れ、一般不妊治療から高度生殖医療まで、提供できる検査や環境を整えています。

不妊治療に対して不安や悩みを抱えている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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