生理を遅らせる方法!安全なピル服用の知識を解説
『楽しみな予定が入ってカレンダーをチェックしたら、生理予定日と重なっていた!』となると、少し残念な気持ちになってしまいます。
ましてや海やプールなどのアウトドア、旅行の予定、部活や大会など、生理中だと不便な予定だとなおさらです。
少しでも生理がずれたらと考えることもありますが、そんなとき、諦めて落ち込むことはありません。
憂鬱な気分でイベントを諦めることなく、楽しく参加できたらと願う方々へ、ぜひ知ってもらいたい情報です。
この記事では、生理を遅らせる、または早める方法として、ピルの服用について紹介していきます。
生理のメカニズム
まずは、女性特有の生理のメカニズムをご紹介します。
月経周期(生理周期)は約1か月です。
その間、女性ホルモンの分泌バランスが変動することにより、卵巣内で発育した卵子が排出(排卵)されます。
また、子宮内膜が厚く成長し、卵子が受精(妊娠)しなかった場合は不要になり剥がれて体外に出され、生理がおこるという仕組みです。
女性のからだの中では約1か月のサイクルで上記のような、排卵から子宮内膜の剥がれまでが繰り返され、生理がきます。
自身の生理周期が決まっていれば予測もつきやすいですが、乱れがちだったり、年と共に体質が変わったりと、予定外に生理が始まってしまいそうということも少なくありません。
『どうしてもこの期間の生理は避けたい』など、時期をコントロールしたい場合は、薬で遅らせる、または早めることも可能です。
生理をコントロールできる薬の種類と費用
生理周期にアプローチできるのは、ピルという薬です。
ピルとは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が含まれる経口避妊薬です。
医療機関(婦人科)の診察を受けて処方してもらう薬で、薬局などで購入できる市販の薬ではピルの代替品とはなりません。
ピルには、服用によって生理をおこさせる女性ホルモンの分泌をコントロールし、その結果排卵や子宮内膜の成長を操作して、生理時期を調整できる作用があります。
ここでは、女性ホルモンをコントロールするための薬、ピルについて説明します。
中用量ピル
緊急で避妊をしたい場合や、生理のコントロール、生理による重い不調などの症状の改善に対応できます。
低用量ピルに比べてホルモンの配合量が多いことや、後述する副作用の心配があることが特徴です。
プラノバール、ノルレボ、エラなどの種類があります。
低用量ピル
生理のコントロールを始め、月経前症候群(PMS)や生理痛の改善に適しています。
中用量ピルよりもホルモンの配合量は少なく、副作用のリスクも比較的軽くなります。
トリキュラー、マーベロン、ファボワールなどの種類があります。
費用の目安
生理を遅らせる目的でのピル処方は、保険の適用外で自費負担です。
病院によって、また処方される薬の種類によって値段設定は違いますが、1か月分で約3,000~5,000円が目安となります。
ただし、同じピルでも子宮内膜症や月経困難症、PMSなどの治療を目的とした場合は保険適用されることがあります。
ピル処方の流れ
まずは婦人科を受診しましょう。
なぜピルを処方して欲しいのか、医師に相談すると、服用のリスクを判断するために、問診でさまざまな質問をされます。
そして、血液検査などの必要な検査をして、服用方法の説明があります。
自分はピルを処方してもらえるのかと不安なときも、相談できます。
体質や病歴などをきちんと話して、診断してもらえば安心です。
初潮を迎えていれば未成年でも処方することは可能なので、保護者と相談してみましょう。
重い生理痛があり学校の旅行や部活の試合など、参加を悩む学生の方も、保護者とともに医師の話を理解できたら、ピルの服用を考えてみてください。
服用の注意点
ピルは一般的に避妊のための薬で、馴染みのないものかもしれません。
実際は女性ホルモンをからだに取り入れ、生理にアプローチできる薬でもあり、正しく使用すれば、生理と上手に付き合っていけるようになります。
ここでは、ピルを服用する際の3つの注意点をご紹介します。
どのタイミングで飲めばいいのか
ピルの服用は、いつでも好きに飲めばいいというわけではありません。
予定に対して生理を遅らせたいのか早めたいのかで、いつから飲めば効果が出るのか変わってきます。
日常的にピルで生理日を管理しているなら別ですが、一回限りならば、生理予定日をどちらにずらしたいかで服用のタイミングが違うので注意してください。
正しく安全に服用していくために、効果を知っておくことが大事です。
生理を遅らせたい場合
ずらしたい予定日の5~7日前からピルを服用する必要があります。
ピルを飲んでいる期間の生理はなく、飲むのを止めると2、3日後に生理が来ます。
生理予定日の直前に飲むだけでは、遅らせることはできません。
そのため、予定しているイベントなどの当日もピルを飲む必要があり、副作用が出た場合は重なる可能性があります。
生理を早めたい場合
生理をずらしたい期間のひとつ前の生理期間中からピルを飲み始めます。
数日間ピルを飲み、飲むのを止めると2、3日後に経血量の少ない生理が来ます。
早めた元々の生理予定の期間はピルを飲む必要がなく、その期間の副作用の心配もありません。
前もってスケジュールがわかっていれば、余裕をもって服用できます。
服用の時間
毎日同じ時間に服用します。
飲む時間やタイミングを決めていれば、飲み忘れなどを防止できるからです。
自分の生活時間に合わせ、服用時間を決めておきましょう。
飲み忘れてしまったときは、気づいたタイミングですぐに服用し、その後はいつも通りのタイミングで続けていきます。
効果が不安であれば、医師に確認してください。
また、休薬なしでピルを長期間続けていると、その間排卵を止めている状態になるため、からだへの負担が懸念されます。
長期間の服用を希望する方は、医師の指示に従って服用することをおすすめします。
ピルを飲んではいけない場合
基本的には病院で可能と診断されたら、ピルを処方できます。
ただし、以下に当てはまる方は副作用のリスクが高いと判断される場合があります。
- 喫煙(35歳以上で一日15本をこえる喫煙者)
- 高血圧(160mmHg/100mmHgをこえる)
- 分娩後(21日以内)
- 長期の安静臥床を要する大手術後
- 糖尿病(網膜症、神経障害、腎症や他の血液疾患、または20年をこえる糖尿病患者)
- 片頭痛(限局的症状のない35歳以上)
- 心血管疾患(動脈系の心血管疾患に関する危険因子がある)
- 脳卒中
- 乳がん患者
- 肝硬変C
- 肝腫瘍
- 静脈血栓塞栓症(既往歴含む)
- 虚血性心疾患患者
- 心弁膜疾患(心房細動、肺高血圧合併、亜急性細菌性心内膜炎歴) など
出典:低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン(日本産科婦人科学会編)
これらの習慣や体質、病歴などがあると、副作用のリスクが高いと判断されることがあります。
この他にもリスクに関する病気もあるため、医師の診断に任せましょう。
本人と家族の既往歴を把握し、医師にしっかり伝えた上で、問題がなければピルが処方されます。
ピルの副作用
ピルの服用による副作用について紹介します。
軽いものから重いものまで、人によって現れる症状はさまざまです。
どんな症状があるかを把握することで受診するかの目安になるでしょう。
マイナートラブル
以下は、ピルの飲み初めによくある症状です。
- 吐き気・嘔吐
- 頭痛
- むくみ
- 乳房の張り など
これらはマイナートラブルと呼ばれ、ピルの服用を始めた初期に現れることが多い、軽い症状です。
しばらくの間服用すると症状は徐々に治まってきますが、心配なときは医師に相談してください。
受診すべき症状
以下は、マイナートラブルよりも重く、あきらかに体調不良になる症状の例です。
- けいれん
- 失神・意識障害
- 激しい腹痛
- 激しい頭痛
- 息苦しい・押しつぶされるような胸の痛み
- 舌がもつれる
- 視野狭窄・視界が悪い・目が見えにくくなる
- ふくらはぎの痛み など
これらの症状が現れた場合、すぐに服用を中止し受診しましょう。
血栓症
血栓症とは、血管の中で血が固まり、血管が詰まってしまう症状です。
医師の診断の元ピルが処方されるということは、血栓症のリスクは少ないと判断されますが、完全にないとは言い切れません。
前述の、副作用のリスクが高い条件以外にも、気になることがあれば医師とよく相談し疑問を解決しましょう。
その中でも喫煙は血栓症のリスクがあがるため、ピルの処方を望むのであれば、禁煙をおすすめします。
血液検査などの事前の検査と定期的な検診で身体のチェックをすることにより、安全にピルを服用することで、血栓症のリスクは回避することができます。
まとめ
生理を遅らせる、または早める方法は、ピルを服用することだと紹介しました。
処方に関しては医師の診断を必要とします。
副作用を理解し、リスクを最小限にするべくきちんと定期的な診察と検査をしていきましょう。
安全に正しく使用すれば、生理の時期をコントロールでき、大事な予定を心置きなく楽しく過ごすことができます。
また、月経不順などの悩みも、ピルを継続的に飲むことによってコントロールすれば、いつ来るかと不安になるのも防げます。
一人で悩むことなく医師に相談し、上手に生理と付き合っていきましょう。
三軒茶屋ウィメンズクリニックでは、お一人おひとりの気持ちを理解し、誠実な診療を行います。
日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医、日本生殖医学会認定 生殖医療専門医をはじめとする資格を持つ院長を中心とし、スタッフと共に安心してご相談いただける婦人科を目指しております。
ピル処方の前後には血液検査を実施し、血栓症のリスクを回避するよう努め、子宮頸がんの検査も実施し、安全に処方できるかをしっかりみきわめる診療をしております。
生理を遅らせたい、早めたい方は、三軒茶屋ウィメンズクリニックへお気軽にご相談ください。
#生理を遅らせる #ピル
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