生理が漏れるのはなぜ?過多月経のときに考えられる病気や治療法を紹介

ナプキンから漏れてしまうほどの出血が続くと、経血量が多いのではないかと気になってしまいます。
他人の経血量がどの程度なのか、自分の経血量が多いのかなど、わからないことが多く放置してしまう方も少なくありません。
しかし、ナプキンから生理が漏れてしまうほどの経血量は、過多月経の可能性があり治療が必要なケースもあります。
この記事では、生理が漏れる原因と過多月経のときに考えられる病気、それぞれの治療法などを紹介します。
経血量でお悩みの方は、ぜひご覧ください。
生理が漏れる原因

経血量が多い場合、病気を疑う前に生理用品が自分に合っているか、交換頻度に問題がないかなどを確認しましょう。
まずは、生理が漏れる原因について紹介します。
生理用品が合っていない
生理用品は、いくつかの種類がありそれぞれ目安となる吸水量が記載されていますが、経血量が多いときに容量が少ないナプキンやタンポンを使用すると漏れの原因になります。
また、一度に大量の経血が出ると吸水が追いつかず、漏れにつながる場合もあります。
例えば、「多い日用」「昼用」「夜用」など、それぞれどの程度の吸水力があるかを確認し、経血量に合わせたものを使用することが大切です。
長時間ナプキンを装着している
ナプキンの吸水量に問題がなかったとしても、長時間の装着によって経血を吸水する場所に偏りができてしまい、一部だけ吸水量を上回ると漏れの原因になります。
また、ナプキンが肌に密着していない状態で、装着位置が間違っている場合も肌とナプキンがズレてしまいます。
ショーツやナプキンのサイズは、自分に合ったものを装着したうえで、こまめに交換することが重要です。
過多月経
生理が漏れる原因として考えられるのは、経血の量が多い「過多月経」です。
過多月経は、一般的な経血量を上回る状態で、原因として婦人科疾患や内科系の疾患が隠れている可能性もあるため、早めに婦人科を受診する必要があります。
過多月経について

毎月経血量が多いことが普通になってしまい、過多月経に気づかない方もいますが、一度自分の経血量を把握してみる必要があります。
ここからは、過多月経について詳しく紹介します。
正常な経血の量とは
日本産科婦人科学会によると、正常な経血量の基準は20~140ミリリットルです。そのため、これ以上の出血がある場合は、過多月経となります。
ただし、生理の量がどの程度か測ることは難しいため、正しくナプキンが装着されていても毎回経血が漏れる場合は過多月経を疑う必要があるでしょう。
過多月経のチェックポイント
過多月経を疑う方は、以下のポイントをチェックしてみましょう。
- 昼用のナプキンが1時間もたない
- 昼でも夜用のナプキンが必要
- レバーのような塊が頻繁にでる
- 生理期間が7日以上続く
- 貧血やめまいがあり日常生活に支障をきたしている
1つでも当てはまる場合は、婦人科で検査を受けて適切な治療を受ける必要があります。
鉄欠乏症貧血を起こす可能性がある
鉄欠乏症貧血は、体内の鉄分が不足することで赤血球中のヘモグロビンが十分に作られず、酸素運搬能力が低下する貧血です。
ヘモグロビンは、赤血球中の主成分で、酸素を全身に運ぶ役割を担っています。
鉄はヘモグロビンの材料となるため、不足すると赤血球の数や質が低下し、全身が酸素不足となり以下のような症状が現れます。
- 全身のだるさ
- 疲労感
- 倦怠感
- 動悸
- 息切れ
- めまい、立ち眩み
初期には無症状のことも多いですが、進行すると集中力ややる気の低下が起こり、日常生活への影響が大きいです。
過多月経で考えられる病気

過多月経は、病気によって引き起こされる可能性があるため、早めに婦人科で診断を受けて適切な治療を受ける必要があります。
ここからは、過多月経で考えられる病気について紹介します。
子宮筋腫
子宮筋腫は、子宮の筋肉にできる良性腫瘍で、30歳以上の女性の20~30%にみられる一般的な疾患です。
女性ホルモン(エストロゲン)の影響が大きいと考えられていますが、明確な原因は不明です。
症状として、過多月経、月経痛、鉄欠乏症貧血、腰痛、頻尿、不眠などが挙げられます。症状は、筋腫の場所や大きさによって強さがことなるのが一般的です。
治療は、症状や妊娠の希望によって異なります。基本的には、経過観察、薬物療法(ホルモン療法、鎮痛剤、鉄材)、手術(筋腫核出術、子宮全摘出)などが用いられます。
子宮内膜症
子宮内膜症は、子宮内膜に似ている組織が卵巣や腹膜などの子宮外に発生し、増殖する疾患で、20~40代の女性に多く発症します。
原因は明確でなく、月経血の逆流や免疫異常が関与すると考えられています。
激しい月経痛、慢性骨盤痛、性交痛、排便時痛、不妊などが主な症状です。
薬物療法(鎮痛剤、低用量ピル、黄体ホルモン製剤、GnRHアゴニスト)が使用されますが、重症例では腹腔鏡手術などの外科的治療が選択されます。
子宮腺筋症
子宮腺筋症は、子宮内膜に似ている組織が子宮筋層内に入り込むことで発症する疾患です。
明確な原因は不明ですが、子宮内膜組織が筋層に入り込むことが発症要因と考えられています。
強い月経痛、過多月経、貧血、慢性的な骨盤痛、不妊などが主な症状です。
薬物療法(鎮痛剤、ホルモン療法)が選択されますが、重症例や妊娠希望がない場合は子宮全摘術などの手術が行われることもあります。
黄体機能不全
黄体機能不全は、黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が不十分なために、子宮内膜が妊娠に適した状態にならない疾患です。
原因は加齢、肥満、過度な運動、甲状腺機能異常、高プロラクチン血症などです。
月経不順や不正出血、不妊、流産の原因となります。
治療は黄体ホルモン補充療法、排卵誘発剤、原因疾患の治療、低用量ピルなどを用いて行われます。
無排卵性周期症
無排卵性周期症は、排卵がないまま月経のような出血が起こる状態です。ホルモンバランスの乱れやストレス、過度なダイエット、甲状腺疾患、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などが原因です。
症状として、月経不順が起こったり、不正出血が起こったりして過多月経、不妊の原因となります。
治療は生活習慣の改善、ホルモン療法(低用量ピル、ホルモン補充)、排卵誘発剤などが主です。
内科系の疾患
内科系の疾患が原因で過多月経が生じることもあります。
主な疾患は、血液疾患(血小板減少症、凝固異常)や肝機能障害などです。過多月経の他に貧血や全身の倦怠感、出血傾向などが見られる点が特徴です。
これらの疾患による過多月経は、基礎疾患の治療が最優先に行われ、必要に応じて婦人科的な治療として止血剤や鉄材の併用をします。
生理の漏れを予防する工夫

生理漏れは、適切な対策で改善できます。
ナプキンの選び方や使い方、日々のちょっとした工夫で、不快な思いをする回数を減らせます。
ここでは、日常生活ですぐに取り入れられる具体的な生理漏れ対策14選をご紹介します。
自分に合った方法を見つけて、憂鬱な生理期間を快適に過ごしましょう。
座り方の工夫
イスに深く腰をかけ、背中を丸めて座ると、お腹が圧迫されて血流を妨げます。また、腹圧がかかることで経血が一気に出やすくなり、漏れの原因になります。
生理漏れを防ぐには、次の座り方が効果的です。
- 椅子に浅く座る
- 骨盤を立てる
- 背中を伸ばす
座り方を意識して、漏れを防ぎましょう。
経血量に合った吸水量のナプキンをつける
経血量に応じて、多い日の昼用、特に多い日の夜用など吸水量の異なるナプキンを使い分けましょう。
製品に書かれている吸水量の目安を参考に、経血量に合ったナプキンを選ぶことが重要です。
正しい位置にナプキンを装着する
ナプキンは、体の中心からズレないようショーツの中心部分にまっすぐ装着します。
特に前後のバランスを意識し、お尻の谷間や前側に隙間ができないようにフィットさせましょう。
2~3時間を目安にナプキンを取り換える
経血量に関わらず、2〜3時間ごとにナプキンを交換すると漏れのリスクを減らせます。
フィット感のあるサニタリーショーツを履く
体にフィットするサニタリーショーツはナプキンをズレにくくします。
股の部分に防水布が付いているタイプなら、万が一の時も、生理漏れが目立ちにくく安心です。
吸水ショーツを履く
吸水ショーツは、ナプキン不要または併用で使えるアイテムです。
ゴワつきが少なく、普段の下着に近い感覚で過ごせるのが魅力です。
タンポンや月経カップを併用する
経血量が多い日や長時間の外出時には、ナプキンと併用して、タンポンや月経カップを使いましょう。
吸収率がアップし、漏れにくくなります。
スパッツを上から重ね履きする
フィット感のあるスパッツやオーバーパンツをサニタリーショーツの上から履くと、ナプキンのズレを防ぎ、体に密着できます。
また、お腹周りが保温され、冷え対策になります。
生理周期や経血量について記録する
自分の生理周期や経血量の記録は、次の生理の時期や量の多い日を予測できます。
事前把握と準備により、安心できます。
生理中は濃い色の洋服を着る
万が一の時の安心材料として、外出時に黒や紺などの濃い色のボトムスやワンピースを選ぶと、精神的な負担を軽くできます。
外出時は替えのショーツやナプキン、ビニール袋を持ち歩く
予備のナプキンはもちろん、替えのショーツや汚れたものを入れるビニール袋を携帯しましょう。
いざという時の備えが、心の余裕につながります。
睡眠時はベッドシーツの上にバスタオルを敷く
就寝中の漏れが心配な場合は、ベッドシーツの上にあらかじめバスタオルを敷いたり、防水シーツを使用したりしましょう。
寝具への汚れを防ぎ、安心して眠りやすくなります。
睡眠時はショーツ型ナプキンを使用する
おむつとショーツが一体化した、ショーツ型ナプキンは、お尻全体を包み込み、寝返りによるズレや伝い漏れをガードします。
特に量の多い日の夜におすすめです。
低用量ピルを服用して経血量をコントロールする
低用量ピルには、生理のコントロールや生理痛を和らげる効果があります。
処方には医師の診断が必要です。まずは婦人科を受診することをおすすめします。
まとめ
生理が漏れるとお悩みの方は、過多月経の可能性があります。さらに、過多月経を生じさせる原因として何かしらの疾患があるケースも考えられるため、漏れるのが当たり前と思わずにまずは婦人科に相談しましょう。
そのうえで、漏れ対策を講じることで日常生活が過ごしやすくなります。
『三軒茶屋ウィメンズクリニック』では、さまざまな女性特有のお悩みに対して、適した治療を提案します。
生理や婦人科疾患、不妊のお悩みがある方は、ぜひご相談ください。