更年期の生理はどう変わる?40代からの生理不順の原因と検査内容

40代になり、生理がいつもと変わってきたと感じている人は少なくありません。
生理周期や、経血量の変化が起こっている場合、閉経が近づいたことによる更年期の症状の可能性があります。
ここでは、更年期が近づくと生理にどのような変化が起こるのか、婦人科に行く場合の受診目安、検査方法、治療法などを紹介します。
40代で生理に変化があり不安な方や更年期でどんな生理の変化があるのか心配な方は、ぜひご覧ください。
更年期が近づくと起こる生理不順の原因

女性は一般的に50歳前後で閉経しますが、閉経の前後5年ずつは更年期と呼ばれ、女性ホルモンが低下することによりさまざまな症状が起こります。
40代を過ぎると更年期の影響で、生理周期や経血量の変化が現れることが多く、不安になる方もいるかもしれません。
更年期に生理が不順になるのは、主に卵巣の機能低下が原因です。
40代前半ごろから、卵巣の機能は徐々に低下していき、更年期にさしかかると女性ホルモンの分泌量が減ります。
女性ホルモンの分泌量が減ることで、脳は「ホルモンをもっと出すように」という指令を強めますが、機能が低下した卵巣はその指令にうまく反応できません。
逆に、反応しすぎてホルモンを分泌しすぎてしまう場合もあり、毎月のホルモン分泌量に大きな波ができることで、生理周期や経血量にも変化が起こります。
更年期によくある生理の変化

更年期になると、それまで生理が規則的にきていた方でも不安定になります。
更年期の生理の変化は個人差が大きいですが、一般的に閉経までは以下のような流れで起こることが多いです。
- 生理周期が短くなる
- 経血量が安定しない
- 出血がだらだらと続く
- 生理周期が長くなる
ここでは、閉経までの流れの内容を詳しく紹介します。
生理の変化が起こって不安になっている方は参考にしてください。
生理周期が短くなる
更年期に差し掛かると、まず生理周期が短くなることがあります。
正常な生理は25~38日の周期ですが、1か月に2回生理がくる、周期がバラバラになり開始日の予測がつかないなどの変化が起こります。
経血量が安定しない
経血量が多くなったり少なくなったりと安定しなくなるのが、更年期の生理の特徴です。
卵巣の機能低下により女性ホルモンの分泌が安定しないことで、経血量にばらつきが起こります。
また、女性ホルモンが過剰に分泌されると、子宮内膜が厚くなり、不正出血や大量の経血にもつながります。
不正出血や経血量のばらつきがあると、生理なのか不正出血なのかわかりにくく、病気を見逃す可能性もあります。
不正出血を繰り返す、大量出血があったなどの場合は、婦人科で相談しましょう。
出血がだらだらと続く
正常な生理期間は3~7日とされていますが、更年期になると出血がだらだらと続く場合もあります。
女性ホルモンのバランスが崩れることで子宮内膜が少しずつ不安定に剥離するようになり、生理の出血が長引く原因となります。
10日以上生理が終わらない、経血量は少ないが止まらない、おりものに血が混ざるなどパターンはさまざまです。
生理周期が長くなる
だらだらとした出血が続いていたと思ったら、生理周期が2~3か月に一回になる場合もあります。
更年期の生理の変化は多くの場合、生理周期が長くなり、無月経や時々生理がくる状態を繰り返してから閉経に至ります。
閉経は1年間生理が来なかった場合に、最後の月経を閉経と考えます。
更年期に起こりやすい婦人科疾患

40代や50代の生理の変化はすべて更年期が原因であるとは限りません。
更年期だと思っていたら病気だったというケースは珍しくないため、生理の変化を感じたら婦人科を受診することが大切です。
更年期に起こりやすい婦人科疾患は、以下のようなものがあります。
子宮体がん | 40代から徐々に増え、50、60代が発症のピーク。妊娠や出産経験がない、月経不順がある、肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病がある、ホルモン治療の経験がある方などはリスクが高まる |
子宮頚管ポリープ | 子宮の入り口にできる良性の腫瘍。自覚症状はほとんどないが、性交時の出血や不正出血を生じる場合もある |
子宮内膜ポリープ | 子宮の奥にできる腫瘍。不正出血や月経期間が長い場合に超音波検査で見つかることが多く、悪性かどうかは細胞組織の検査で判明する |
子宮筋腫子宮腺筋症 | 経血量が多い、生理痛が強い、貧血がある場合に超音波検査で見つかることが多い |
婦人科疾患は放置すると命に影響を及ぼす可能性があるため、更年期であっても生理に変化が起こった場合は婦人科を受診しましょう。
更年期の生理不順の受診目安

更年期の生理不順は、自分では異常なのか見分けがつきにくく、受診をためらう方もいるかもしれません。
ここでは、更年期の生理不順の受診目安について紹介します。
短期間での頻繁な出血
短期間で頻繁な出血がある場合、体の負担が大きくなるため注意が必要です。
- 一度止まってもすぐ出血する
- 出血と止血を繰り返す
- 通常の生理とは違う出血がある
- 生理周期が極端に短くなる
- 出血が不規則で予測できない
上記のような症状がある場合には、婦人科を受診しましょう。
長引く不正出血
通常の生理とは違う出血が長期化する場合や、生理が1週間以上続く場合は受診するのをおすすめします。
特に、生理が1週間以上続き、量の増減を繰り返し終わらない場合や、量が減らずに出血し続ける場合は、婦人科疾患が隠れている可能性があります。
3か月以上生理がこない
3か月以上生理が来ない場合、閉経や妊娠も考えられますが、排卵障害による無月経の可能性もあります。
長い間無月経を放置すると、子宮がんや脳梗塞、心筋梗塞につながる可能性もあるため、早めに婦人科を受診しましょう。
性交後の出血
性交後に出血があった場合も注意が必要です。
性交時やその数時間後に毎回出血がある、出血量が増える、痛みがあるといった症状の場合は、婦人科に相談することが推奨されます。
出血以外の気になる症状
出血以外に以下のような症状が出た場合も、婦人科の受診がおすすめです。
- 下腹部の鈍痛
- 腰痛や骨盤痛
- 性交痛
- 貧血(めまい・立ちくらみ、動悸・息切れ、疲労感の増強)
- 発熱
- 異常なおりもの
- 下腹部の張り
- 吐き気
更年期は生理不順以外にもさまざまな症状が起こり、自己判断が難しいため、気になる症状があった場合はすぐに婦人科で相談しましょう。
更年期や生理不順の婦人科検査・治療法

更年期だから生理不順でも我慢しなければならないと考えている方もいるかもしれません。
しかし、更年期のつらい症状は婦人科で検査や相談を行うことで軽減できます。また、生理不順が更年期によるものなのかの判断をするための検査も行います。
ここでは、一般的に行われる更年期や生理不順の婦人科検査と治療法について紹介します。
血液検査
女性ホルモンの値や甲状腺機能、血糖値、コレステロール値などをチェックします。
女性ホルモンの値で、更年期かどうかを客観的に判断することができます。
血圧検査
閉経前後の女性は、高血圧になることが多いです。
頭痛やめまいが生理不順と同時に起こっている場合は、血圧検査をすることで高血圧かどうかを判断します。
がん検診
子宮頸がん、子宮体がんが不正出血や下腹部痛の原因になっている可能性もあります。
がん検診を行って、病気が隠れていないかを検査します。
骨密度測定
女性ホルモンは骨密度を維持するうえで重要な役割を担っています。
更年期は女性ホルモンの分泌が不安定になり、骨密度が低下することがあるため、骨密度の測定を行い、骨粗しょう症の可能性があれば治療を行う必要があります。
乳がん、甲状腺がんの検査をする場合も
40代、50代では乳がんや甲状腺がんのリスクが高まるため、自覚症状がなかったとしても検査を受けておくことも重要です。
特に乳がんは早期発見のために、日ごろから自分で胸にしこりがないかチェックすることをおすすめします。
更年期による生理不順の治療方法
生理不順の原因が更年期だとわかった場合、治療をすべきなのか、してもよいのかと悩む方もいるかもしれません。
更年期の生理不順やその他の症状で日常生活に支障が出ている場合は、我慢せずに治療を受けましょう。
更年期による生理不順の治療法は、ホルモン補充治療と漢方薬の服用が代表的です。
ホルモン補充治療は、少量の女性ホルモンを飲み薬、貼り薬、塗り薬のいずれかの方法で補充する治療法で、保険が適用されます。
また、心身のバランスの乱れによる不調に効果がある漢方薬の服用もおすすめです。
市販のものから始めることもできますが、保険適用されるため、婦人科で医師と相談して処方してもらうことをおすすめします。
更年期の生理についてよくある質問

更年期になると、通常の生理と異なることが多く不安になる方も少なくありません。
ここでは、更年期の生理についてのよくある質問をまとめました。
Q:生理で黒い血が出ました。病気でしょうか?
生理で黒い血が出るのは、酸化が原因です。
少量の経血の場合、子宮内の経血がすぐに排出されるのではなく、子宮や膣内に溜まって留まることがあり、外に出るまでに時間がかかるため酸化された状態の黒い血が出ます。
更年期は経血量が少量になることも多く、酸化が進んだ状態で血が排出されるため黒い血に見えます。
しかし、黒い血が続く場合には、他の婦人科疾患が隠れている可能性もありますので、婦人科を受診しましょう。
Q:ホルモン補充治療に副作用はありますか?
更年期の治療に使われるホルモン補充治療は、骨粗しょう症、動脈硬化性疾患の予防、アルツハイマー病のリスク軽減、大腸がん・胃がん・食道がんのリスク軽減などのメリットがあります。
ホルモン補充治療による副作用は、不正出血、乳房の張りや痛み、おりもの、下腹部のハリ、吐き気などがあります。
また、乳がんになる危険性があるとも言われていますが、国際閉経学会などの専門機関が再解析した結果、ホルモン補充治療のリスクは見直されています。
不安がある方は黄体ホルモンの種類を工夫することでリスクを軽減できる場合があるため、婦人科で相談しましょう。
まとめ
更年期になると、卵巣の機能が低下することによる生理不順が起こりやすくなります。
これは自然なことではありますが、なかには婦人科疾患が隠れている場合もあるため、更年期だからと自己判断せずに気になる症状があれば婦人科を受診しましょう。
『三軒茶屋ウィメンズクリニック』では、つらい症状を緩和するため、更年期を迎え崩れてきた全身のホルモンバランスを整える治療を行います。
また、子宮がんやそのほかの婦人科疾患についても検査を行う設備が整っていますので、安心してご来院ください。
更年期の生理不順で悩んでいる方、更年期か病気かわからず不安な方は、ぜひ一度『三軒茶屋ウィメンズクリニック』にご相談ください。