生理痛の重さをレベル診断しよう!原因や対処法を知り上手に付き合う工夫を

生理痛の重さには個人差があるため、自分の生理痛がどの程度なのか把握することは難しく、なかにはそういうものと割り切って我慢し続けている人も多いでしょう。
しかし生理痛は、適切に対処することで痛みの緩和が見込めます。
この記事では生理痛のレベルを3段階に分け、それぞれの痛みの程度や適した対処法を紹介します。
自分の生理痛はどれくらいなのか把握し、生理期間を快適に過ごすための参考にしてください。
生理痛の重さをレベルごとに診断しよう

生理痛の重さには個人差があるため他人と比較することは難しいですが、レベルごとに診断することで適切な対処法を見つけるのに役立ちます。
自分の生理痛がどれくらいなのか、以下のレベルを参考に把握しましょう。
軽度レベル
軽度レベルの生理痛は、以下のように痛みがない、もしくはあっても軽度の状態で、生活に支障を及ぼさない程度の症状です。
- 腹痛・腰痛・頭痛などの症状がない、または軽微
- 日常生活で痛みを気にする必要がなく、鎮痛剤は必要ない
- 通勤や通学に支障をきたさない
普段から生理痛を感じにくい人も、ホルモンバランスや生活習慣の乱れによって痛みを感じるようになる可能性があります。
規則正しい食生活や質の良い睡眠、適度な運動を心掛けて症状の悪化防止に努めましょう。
中度レベル
中度レベルの生理痛は、日常生活に少々支障をきたす可能性があり、生理痛もある程度伴っている状態です。
- 生理痛のほかに、腰痛や頭痛がある
- 痛みに対して鎮痛剤が必要な場合がある
- 痛みで通勤や通学が辛い
- まれに症状を鎮めるために横になる必要がある
生理によって伴う痛みが原因で日常生活に支障をきたすケースがあり、鎮痛剤が必要になる場合もあります。
他にも、漢方薬や低用量ピルで痛みの緩和ができる可能性があるため、できるだけ婦人科の受診が推奨されます。
重度レベル
重度レベルの生理痛は、耐え難い痛みを伴う状態で日常生活に大きく影響します。
- 強い生理痛・腰痛・頭痛のほかに吐き気を伴う
- 鎮痛剤なしでは過ごせない、または効かないケースがある
- 座るのも苦痛なほどの痛みがある
- 通勤や通学が困難になる
痛みや吐き気などの症状が強く、仕事や学校を休んで過ごす必要があるケースが多い人は重度の生理痛であるといえます。
強い生理痛を伴う状態は不妊につながる疾患が隠れている可能性があるため、早急に婦人科を受診しましょう。
生理痛はなぜ起こる?

生理痛は、子宮の内側にある子宮内膜と呼ばれる膜が剥がれ落ちる際に、子宮が収縮することで起こる痛みです。
子宮内膜は、排卵が起こると受精卵の着床を受け入れるために厚くなりますが、妊娠しなかった場合はこれが不要になるため、剥がれて血液とともに排出されます。
この時に生成されるプロスタグランジンと呼ばれる生理活性物質が、子宮を収縮させて子宮内膜を体外に排出しますが、このプロスタグランジンこそが痛みを発生させる原因です。
ホルモンバランスの乱れやエストロゲンの過剰分泌によって子宮内膜が厚くなると、プロスタグランジンの生成量も増加します。
また子宮口が狭いと経血の排出が上手く行われず、押し出すために子宮が強く収縮しようとするとプロスタグランジンの分泌が増え、痛みを強く感じます。
この場合は、成長や出産をきっかけに生理痛が弱まるケースも多いです。
生理痛が重い原因

強い生理痛を伴う場合、以下の原因が考えられます。
機能性月経困難症
機能性月経困難症は、生理に関わる器官に異常がないのに強い生理痛を伴う可能性がある疾患で、腰痛・頭痛・腹部膨満感・下痢・吐き気などの症状を伴う可能性があります。
特に15〜25歳の女性に多く見られ、若いうちに機能性月経困難症の症状が強い人は将来の子宮内膜症のリスクが上昇するとされています。
ストレスのほかに、初経を迎えたばかりの年齢で感じる生理への不安や嫌悪感もリスクファクターとなる可能性がありますが、加齢に伴い改善するケースが多いです。
器質性月経困難症
器質性月経困難症とは、子宮や卵巣などの病気が原因で強い生理痛を伴う疾患です。
原因となる疾患には、子宮筋腫・子宮腺筋症・子宮内膜症などの子宮の疾患のほか、チョコレート嚢胞や性器クラミジア感染症などの疾患が考えられます。
器質性月経困難症では、生理痛のほかにも性交痛や排便痛などを伴う可能性があり、生理を重ねるごとに生理痛が強くなっている場合は注意が必要です。
生理痛のレベルごとの対処法

生理痛がある場合は、痛みのレベルごとに以下の対処法を検討してみてください。
軽度レベル
軽度レベルの生理痛がある場合は、以下の対処法を参考にして悪化の予防に努めましょう。
- 適度に運動をする
- 生活習慣を整える
- バランスの良い食事を心掛ける
- 睡眠を十分にとる
- 身体を冷やさないようにする
規則正しい生活リズムや睡眠の質の向上を意識したり、身体の冷えや食べ物に気をつけたりする工夫が大切です。
生活リズムの乱れはホルモンバランスの乱れにつながるため、食事や睡眠のリズムを整え規則正しい生活を心掛けましょう。
生活習慣を改善する際は、基礎体温を記録しながら健康管理を行うことで生理のリズムを把握することにもつながります。
また身体が冷えると生理痛を強く感じる原因になるため、普段から身体を冷やさないようにすることが大切です。
食事や服装のほか、軽い運動を取り入れると血行が促進され生理痛の緩和や予防につながります。
中度レベル
中度レベルの生理痛がある場合は、鎮痛剤を使用したり身体を温めたりすることで痛みの軽減を図りましょう。
- 鎮痛剤を痛みに合わせて使用する
- カイロや湯たんぽ、湯船などで腹部を温める
- ストレスを解消する
鎮痛剤はドラッグストアで市販薬が販売されていますが、漢方薬や低用量ピルを使用する方法もあります。
生理痛を緩和する漢方薬は婦人科でも必要に応じて処方され、鎮痛剤のように痛みに対する即効性はありませんが、数ヶ月かけて服用することで体質から改善が可能です。
低用量ピルは、生理痛や過多月経の改善にも使用されます。
体質や症状によって適した種類が異なるため、婦人科で相談のうえ処方してもらうことをおすすめします。
重度レベル
重度レベルの生理痛がある場合は月経困難症の可能性が高いため、婦人科で早めに検査と治療を受けましょう。
- 婦人科を受診する
- 低用量ピルや漢方薬を検討する
- 鎮痛剤の種類を変える
軽度・中度の対処法で症状が改善されないケースでは、痛みへの対処や将来の不妊の予防のために原因となる疾患の治療が必要になります。
市販の鎮痛剤にもさまざまな種類があるため、適したものに変えることで痛みが和らぐケースもあります。
しかし、強い生理痛は器質性月経困難症の可能性が懸念されるため、放置せずに婦人科を受診するのが得策です。
生理痛を和らげるために普段からできること

生理痛は、以下のように予防を意識することで痛みの緩和が期待できます。
生活リズムを整える
生活リズムの乱れは、生理痛をはじめ生理中のさまざまなトラブルの原因になります。
過多月経や過少月経、無月経などの問題や不妊に悩まされている場合は、不適切な生活リズムからくるホルモンバランスの乱れが原因である可能性があります。
生理期間中はもちろん、普段から生活リズムを整える意識をすることが大切です。
身体の冷えを避ける
身体の冷えは生理痛を悪化させる原因になるため、日常的な身体の冷え対策が重要です。
締め付けの強い服装や矯正下着などは血液の巡りを悪くするため、身体が冷えやすくなります。
クロップドトップスやミニスカートなどの服装は、冷えを予防するために生理痛が重い傾向がある人は控えることをおすすめします。
また、できるだけシャワー浴ではなく湯船に浸かることで身体を内側から温めるのが効果的です。
適度な運動を取り入れる
適度な運動は血行を促進するため身体の冷えを予防し、健康維持にも役立ちます。
身体に負担をかける激しい運動は習慣づけるのが難しい可能性があるため、毎日続けられるレベルの運動か、生活の動作に組み込めるものを取り入れましょう。
運動は生理痛の予防のほか対処法としても有効で、ストレッチやヨガをすることで痛みが緩和するケースがありますが、体調を考慮して無理な場合は安静にしましょう。
症状緩和に効果的な食事を意識する
生理痛を予防・緩和するために、身体を温める食べ物やホルモンバランスを整える効果がある食べ物を意識して摂りましょう。
夏場は冷たい食べ物や飲み物を摂りすぎる傾向がありますが、身体の冷えを防止するために常温のものを選ぶことを推奨します。
ショウガやネギなどの食べ物には身体を温める効果があるため、生理の日以外でも取り入れるのがおすすめです。
また、ホルモンバランスを整える働きがあるビタミンEや、子宮の収縮を抑えることで痛みを緩和するマグネシウムを含む食材も積極的に取り入れましょう。
また糖分や脂質の摂りすぎには注意が必要です。
生理痛に悩まされている人は、体内のリズムを整えたり一日のエネルギーをしっかり補給したりするために朝ご飯をしっかり食べることを習慣づけましょう。
ストレスの蓄積に注意
ストレスの蓄積は自律神経に影響を及ぼし、間接的に生理痛に影響するおそれがあるため、ストレスを溜めない生活を心掛けましょう。
自律神経が乱れると血管が収縮し、子宮の働きを妨げる原因になるため、経血を排出するためにプロスタグランジンの分泌量が増加します。
生理中はイライラしやすくなる人もいますが、自分に合ったリラックス法を見つけたり、睡眠や休息を十分確保したりしてストレスの蓄積を防ぐことが大切です。
まとめ
生理痛のレベルごとの対処法や、普段からできる予防法を紹介しました。
生理痛の重さには個人差があり、どれくらいが普通という基準はありませんが、必要に応じて鎮痛剤を使用しても問題ありません。
ただし鎮痛剤で治まらないほどの痛みを伴うケースや、痛み以外の症状も強くみられるケースでは早めに婦人科を受診しましょう。
三軒茶屋ウィメンズクリニックでは、婦人科専門医としての経験を活かし、患者さんと一緒に相談しながらオーダーメイドの治療を選択します。
平日はもちろん、土曜日の診療も行っていますので、月経異常の検査やブライダルチェック、がん検診にも利用しやすいです。
強い生理痛にはなんらかの疾患が隠れているケースもあるため、我慢せずにお気軽にご相談ください。