生理前や生理中の顔、足のむくみを解消するには?原因対策を解説

生理が近づいてくると、イライラや腹痛などの症状に加え、顔や足にむくみが生じることがあります。
足の張りや重だるさ、顔やまぶた、フェイスラインの腫れぼったさが気になる方も多いでしょう。
この記事では、生理前・生理中のむくみについて詳しく解説します。
普段の生活で取り組めるむくみ対策や、むくんでしまったときの対処法も紹介しているため、ぜひお役立てください。
生理前や生理中はなぜ顔、足がむくむのか

むくみとは、体内の水分が停滞することによって、血液中の水分が血管の外にしみ出し、皮下組織に溜まった状態のことです。医学上では浮腫(むくみ)と呼ばれます。
生理前から生理開始の時期は、女性ホルモンのバランスが変化することによって体が水分を溜め込みやすくなり、むくみが生じます。PMS(月経前症候群)の一つです。
なお、むくみは生理のほか、生活習慣や病気が原因でも起こります。まずは、生理によるむくみの特徴を知り、適切な対処ができるようにしましょう。
生理前のむくみとホルモンバランスの変化
生理に関係するむくみが現れるのは、生理予定日の1週間前頃からです。
これは、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の周期的な変化が関係しています。
エストロゲンは妊娠や妊娠の継続に関わるホルモンで、排卵日に向かって増加する点が特徴です。
プロゲステロンは排卵後の黄体から分泌されるホルモンで、子宮内膜を安定させ妊娠しやすい状態を整えるために増えていきます。
このプロゲステロンには、体に水分や栄養分を溜め込んでしまう性質があるため、分泌量が増えていくとむくみが生じます。
生理前になると胸が張ったり、体重が増えやすくなったりするのも、プロゲステロンの増加にともなって水分が滞留することが原因です。
妊娠が成立しない場合にはプロゲステロンは減少し、妊娠に備えていた子宮内膜は剥がれ落ちて月経となります。そのため、むくみは生理開始から数日で和らいでいくのが一般的です。
ホルモンバランスの変化は自律神経にも影響
生理によるむくみの原因はホルモンバランスの変化だけではありません。
ホルモンバランスをつかさどる視床下部は自律神経もコントロールしているため、ホルモンバランスの変動時期には、自律神経も影響を受けてバランスが乱れることがあります。
自律神経のバランスが乱れ交感神経が優位になると、血管の収縮によって水分の排出がされにくくなるため、むくみが生じます。
特に、疲労やストレスが重なると、交感神経が活発になるため、むくみをはじめ体の不調が起こりやすくなります。
生理前、生理中の顔や足のむくみに有効な対策7つ

生理前や生理中に現れるむくみの対策には、体内の水分状態を整え、滞留させないようにすることが大切です。
ここでは、日頃から取り組める有効な対策を7つ紹介します。
塩分やアルコールを控える
塩分過多の食事は、塩分を薄めるために水分の摂取量が増えやすいうえに、塩分自体が水分を抱えこみやすい性質を持っています。
そのため、塩分の摂り過ぎはむくみの原因となります。むくみやすい方は、塩分を多く含む外食や加工食品の摂取は、できるだけ控えましょう。
また、アルコールもむくみの原因です。アルコールの血管拡張作用により、血管から水分が組織へとしみ出しやすくなります。
さらに、利尿作用によって、一時的に多くの水分が尿として排出されるため、体内の水分不足を解消しようとして水分の摂取量が増えます。
増えすぎた水分は血管や皮下組織にとどまってむくみとなるため、むくみやすい生理前は、アルコールも控えることをおすすめします。
カリウムの摂取を意識する
カリウムには、塩分を排出し、細胞の浸透圧を調節する働きがあるため、カリウムの入った食材を取ることで、むくみの軽減が期待できます。
カリウムが多く含まれる食品には、小豆やアボカド、トマト、さつまいも、きのこ類、海藻などが挙げられます。
普段の食生活を見直し、カリウムが不足しているなら、意識して摂取すると良いでしょう。
水分の摂り方に注意する
水分を摂り過ぎると、血管内の水分量が増えて組織へとしみ出しやすくなり、むくみの原因となります。
一方で水分を控え過ぎると、体が水分を溜め込もうとする作用が強くなるため、むくみ対策には逆効果です。
むくみが気になるときは、適度な水分摂取を心掛けましょう。こまめに水分補給をすることによって、余分な水分の排出を促す効果が期待できます。
適度な運動やストレッチをする
運動やストレッチは、筋肉の収縮により血流改善が期待できます。
また、むくみを生じさせやすい冷えの防止や、ストレスの解消による自律神経の安定効果もあります。
ただし、激しい運動は体への負担が大きく、交感神経も優位になりやすいため生理前の体調が不安定な時期にはおすすめできません。
ゆったりとした気分で取り込める、軽いウォーキングやストレッチ、ヨガなど無理のない範囲の運動がおすすめです。
お風呂は湯船につかる
入浴はシャワーで済ませず、湯船に浸かりましょう。全身に水圧がかかることによってマッサージ効果が得られるため、血流を改善できるだけでなく、冷えの防止にも有効です。
ややぬるめのお湯に時間をかけて入りましょう。水圧の効果を期待するなら半身浴がおすすめで、リラックス効果も得られます。
なお、熱すぎるお湯は交感神経を刺激して血管を収縮させてしまうため、むくみ対策には適しません。
リフレッシュした気分になりがちですが、体にも負担がかかるので注意してください。
締め付け力の強い衣類を避ける
締め付け力の強い衣類は、血流の悪化を招きます。むくみを悪化させるおそれがあり、体にも負担をかけてしまいます。
スキニーパンツのようなタイトな衣類は締め付け感が強くなります。生理前のむくみが気になる時期は、ワイドパンツやワンピースなど、ゆったりとした衣類を選びましょう。
十分な睡眠を取り、規則正しい生活をする
ホルモンバランスを整えるには、質の良い睡眠が重要です。
しかし、むくみが起きやすい生理前の時期は、体温が高くなり睡眠の質が低下しやすくなります。
睡眠不足は自律神経の乱れを招くだけでなく、ホルモンの分泌命令を出す視床下部の機能低下を招くなど、悪循環に陥ります。
睡眠不足に陥らないよう、普段から7~8時間程度の睡眠をとり、規則正しい生活を送りましょう。
生理によるむくみが出てしまったときの対処法
生理前にむくみ対策に取り組んでいても、そのときの体調によってはむくんでしまうこともあるでしょう。
顔や足に現れたむくみが気になるときには、以下の対処法も併せてお試しください。
ツボの刺激やマッサージを行う
生理前に生じる一時的なむくみには、ツボの刺激やさする程度のやさしいマッサージが有効です。神経や血管を刺激することで血流が改善され、不快な症状の軽減に役立つと考えられています。
ツボはWHOに認定されているだけでも361個、全身には約700個があるといわれており、むくみに効果があるとされるツボは数多くあります。
指で数回押すだけでいつでもどこでも取り組めるため、むくみが気になるときはぜひお試しください。
足のむくみに効果のあるツボには、くるぶし内側から指4本分上にある「三陰交(さんいんこう)」や、膝外側から指4本分下にある「足三里(あしさんり)」などが挙げられます。
顔のむくみには、目頭の少し上にある「晴明(せいめい)」や頬骨にある「四白(しはく)」、胸鎖乳突筋のマッサージなどがおすすめです。
顔やまぶたのむくみは温冷を繰り返す
顔やまぶたは皮膚が薄いため、むくみが現れやすくなります。むくみの解消には、手軽にできるツボ押しやマッサージのほか、温冷を繰り返すことも効果的です。
お湯と水での洗顔を繰り返し、蒸しタオルと冷水タオルを交互に当てることで、血流が良くなってむくみがすっきりします。
また、引き締め効果のある化粧水やパックなどでリフレッシュするのもおすすめです。
足を少し上げて寝る
運動量が少ない方や、立ちっぱなしの方は、足に水分が滞留しやすくなります。
足のむくみが気になるときは、足の下にクッションや足枕などを敷き、心臓より高い位置に足を上げて寝るのもおすすめです。重力の影響で下に溜まった水分を戻す効果が期待できます。
ただし、高く上げ過ぎると、かえって体に負担がかかるため注意しましょう。
つらい生理前、生理中のむくみは治療できる

生活習慣を改善したり、対策に取り組んでもむくみがつらい場合には、婦人科を受診して治療を受けるのも一手です。
低用量ピルは、ホルモンバランスを整えたり、生理にともなう不快な症状を軽減する効果が期待できます。
服用により一時的にむくみが出ることがあるものの、ホルモンバランスが整うにつれ、次第に治まるのが一般的です。
そのほか、症状に応じて水分の代謝を活発にする漢方薬や、利尿剤などの処方なども可能です。
生活習慣を整えているのに、生理が来るたびにむくみに悩まされる場合には、治療を検討しても良いでしょう。
生理が終わっても顔や足にむくみが続く場合は?

生理が関係するむくみは一時的なもので、生理が始まると治まっていきます。
生理が終わっても気になるほどむくみが続くなら、原因は生理ではなく、ほかの病気が要因となっているかもしれません。
むくみは、甲状腺の異常や心臓、腎臓の疾患、下肢静脈瘤などによっても起こります。中には、早急に対処が必要なケースもあるので、生理が終わってもむくみが続く場合にはそのまま放置せず、早めに受診しましょう。
まとめ
生理前や生理中のむくみは、ホルモンの影響で体が水分を溜め込みやすくなることが原因です。むくみを改善するには、塩分や水分の摂り方に気を付ける、適度な運動をする、十分な睡眠を取るなどの対策により、血流の悪化を防ぐことが有効です。
むくみが現れたときは、ツボの刺激やマッサージ、ストレッチなどで少しでも血行を良くするのにつながるセルフケアに取り組み、体内の余分な水分を排出させましょう。
なお、むくみをはじめ、生理前や生理中に不快な症状がつらい場合には、治療で対処することも可能です。気になる方は、医師に相談しましょう。
三軒茶屋ウィメンズクリニックでは、月経異常や女性ホルモンに関する治療を扱っています。
むくみをはじめとした月経前の不快な症状に対し、一人ひとりに合った治療をオーダーメイドで行っているので、お気軽にご相談ください。