ピルの副作用が気になる!知っておくべきリスクとは
ピルを飲むことになったとき『副作用があるらしい』という噂を聞くと、心配になってきます。
本当に副作用があるのか、からだにどんな影響があるのか、またメリットはあるのか、気になることばかりではないでしょうか。
初めてピルを服用するときは、体調に不安を覚えるかもしれません。
この記事では、ピルの服用によりあらわれる副作用やリスクについて詳しく解説します。
ピルはどんな薬?
ピルとは卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という二つの女性ホルモンを含む、避妊を目的に開発された薬です。
低用量ピル、中用量ピル、アフターピルなど、目的別にさまざまなピルがありますが、一般的によく聞くのは低用量ピルを指すことが多いため、低用量ピルについて説明していきます。
低用量ピル
含まれる二つのホルモンは脳に働きかけ、卵子の成熟をうながす卵胞刺激ホルモンの分泌が抑えられ、排卵がおこらなくなるのです。
生理周期の中でホルモンバランスが乱れることによりおこる症状も、ピルの服用で分泌量をコントロールして安定させることができます。
また、子宮内膜の成長を抑える働きもあり、生理に関する症状を和らげる目的でも使用される薬です。
費用について
病院やピルの種類によって値段の設定は変わってきますが、1ヵ月分で3,000円~5,000円が目安です。
子宮内膜症や月経困難症などの病気の治療であれば、保険適用のピルが使用できることもあります。
避妊やひどい生理痛、生理不順、月経前症候群(PMS)の改善、月経過多の改善などが目的の場合は、保険適用外となり自費負担となります。
ピルの種類
ピルにはさまざまな種類があり、開発された時期や含まれているホルモンの量により、第1世代~第4世代と分けられています。
薬名()内はジェネリック名 | 世代 | 特徴 |
シンフェーズ | 1 | 最初に開発されたピル・生理痛緩和効果が高い |
ルナベルLD、フリウェルLD | 1 | 価格が安い・目立った副作用が多くない・ニキビなど悪化する可能性 |
トリキュラー(ラベフィーユ) | 2 | 1週間ごとにホルモンの量が変わる「3相性ピル」・副作用が少ない |
ジェミーナ | 2 | 頭痛など副作用が少ない・約3ヵ月の連続投与可能・価格が高い |
マーベロン(ファボワール) | 3 | 21日間同じホルモン量の「1相性ピル」・ニキビの改善効果あり |
ヤーズ(ドロエチ) | 4 | 超低用量ピル・ホルモンの変動が少なく副作用があらわれにくい・休薬期間は4日・PMS治療に使用される |
ヤーズフレックス | 4 | ヤーズの4ヵ月連続投与版・男性ホルモン作用がない・価格が高い・子宮内膜症やチョコレート嚢胞の治療に使用される |
服用の目的や体質、副作用の程度、価格により自分に合ったピルの種類が医師から処方されます。
ピルの副作用
ピルの服用には、副作用があるのか気になるところです。
低用量ピルは他の種類のピル(中用量ピル、アフターピルなど)より女性ホルモンの量が少ないため、副作用は現れにくいですが、個人差があります。
マイナートラブル
ピルの服用によりおこるトラブルのうち、飲み始めから1~3ヵ月ほどでなくなり、自然に改善されていく症状をマイナートラブルと呼びます。
これらはピルに含まれるエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンの影響でおこり、ホルモンが安定しからだが慣れることで症状は自然と治まってきます。
全ての人に症状があらわれるわけではなく、服用する薬によっても発症率はさまざまです。
- 頭痛・偏頭痛
- 胸の張り
- 不正出血
- 下腹部痛
- 悪心・嘔吐
- むくみ・体重増加
- 血圧上昇
- 肩こり など
症状の有無やいつまで続くのかは個人差があり、からだが慣れて3ヵ月ほどで治まります。
例えばプロゲステロンという女性ホルモンには、水分をため込む作用があるため、むくんだり体重増加を感じる人もいますが、一時的なものです。
このような症状が3ヵ月以上続くようならば、医師に相談しましょう。
血栓症
血栓症とは、血液に小さな塊ができ、心臓、肺、脳などの血管を詰まらせてしまい、その箇所から先の組織や臓器が壊死してしまう病気のことです。
発症の時期はピルの服用開始後3~4ヵ月以内がもっとも多く、長期間の服用によりリスクは徐々に下がります。
ピルの服用による発生率は1万人に3~9人の確率、ピルを服用していない場合の発症率は1万人に1~5人とされていて、大きな差はありません。
長時間座っている体勢が続くことでおこる血栓症は、エコノミー症候群として知られています。
水分不足などで血が固まりやすい状態や、肥満、喫煙習慣など、血栓症のリスクが高くなる条件を持つ人は、ピルの処方自体ができない場合もあります。
病院での診察時に問診や血液検査などできちんと医師の判断で処方してもらい、服用後も定期的な検診を受けてからだの状態をチェックすることによって、血栓症のリスクは回避できるので、医師とよく相談してください。
代表的な症状は以下のとおりです。
- 激しい腹痛
- 激しい頭痛、めまい
- 胸の痛み、息苦しさ、押しつぶされるような痛み
- 痙攣、意識障害
- 視界が悪い、視野狭窄
- ふくらはぎの痛み、むくみ
- しびれ、手足の脱力
- 舌がもつれ、しゃべりにくい など
これらの症状があらわれた場合は、ピルの服用を中止しすぐに受診してください。
症状があらわれる前に生活習慣を意識して血栓症を予防しましょう。
水分不足を解消して血液の流れをよくするように、1日1Lほどの水分を飲むようにしてください。
アルコールやカフェインは利尿作用があり血液中の水分量が減りやすいため、控えましょう。
また、適度な運動をおこない肥満を防ぎ、筋肉を動かして血行をよくするのも効果的です。
ヨガやウォーキングなどの軽い有酸素運動もおすすめです。
長時間同じ体制になるのも避け、一定時間ごとに立ち上がって歩いたり軽くストレッチするなど、血流を止めないようにしましょう。
エストロゲンというホルモンには凝固作用という血液を固まりやすくする特性があるため血栓を作る作用があり、ピルに含まれる量が多くなると血栓症のリスクも上がります。
ピルにはさまざまな種類があり、エストロゲンが含まれる量も変わるため、目的と自分の体質に合ったピルを医師に処方してもらいましょう。
その他気になるリスク
ピルの服用により『乳がんや子宮がんになりやすいのでは?』ということを聞いたら心配です。
結論から言うと、乳がんや子宮がん、脳卒中などへのリスク増加は、可能性は小さいとされています。(出典:低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン 日本産科婦人科学会編)
ただし、すでに病気に罹患している場合は除外されるため、医師の診断に任せましょう。
ピルを飲んではいけない人
ピルは病院で診察、検査を経て医師の判断のもとで処方されます。
処方できないのはどんな場合なのかというと、副作用のリスクが高いと判断されるときです。
主に血栓症のリスクが高いとされる習慣や病歴などは以下の通りです。
- 母乳育児中
- 分娩後21日以内
- 喫煙者(35歳以上で1日15本以上)
- 心血管疾患
- 虚血性心疾患
- 心弁膜疾患(心房細動、亜急性細菌性心内膜炎、肺高血圧合併)
- 高血圧(160/100㎜Hgをこえる)
- 脳卒中患者
- 片頭痛
- 乳がん患者
- 糖尿病(腎症、網膜症、神経障害、他血管疾患、20年をこえる糖尿病疾患など)
- 肝硬変C
- 肝腫瘍
- 静脈血栓塞栓症(既往歴含む)
- 胆嚢疾患
特に喫煙に関しては、元々喫煙者は血栓症のリスクが高いため、ピルの血栓症リスクと合わさりさらにリスクが高くなるため、禁煙をおすすめします
この他にも更年期や他の疾患によりリスクが高まると判断される場合があるため、必ず医師と相談の上で処方してもらってください。
服用のしかた
ピルは1日1回、毎日同じ時間に服用する薬です。
時間に決まりはないため、自分の生活習慣により飲み忘れないタイミングを決めてください。
避妊が目的の場合は、飲み忘れると避妊効果がなくなる可能性があるため、注意しましょう。
生理に関する改善が目的の場合は、飲み忘れに気づいたタイミングですぐ服用して、次の日は決めた時間に飲むように続けていきます。
生理周期ごとに1つのシートにまとめられていて、生理開始の日から飲み始めて、順番に服用してください。
21錠と28錠のタイプがあり、飲み方はどちらも同じです。
休薬期間
卵巣や子宮の機能を正常に保つためにメンテナンスをおこなう期間が、休薬期間です。
ピルの服用中は卵巣や子宮内膜は働きを休めていますが、定期的に働きを再開させる必要があり、このために休薬期間が必要となります。
休薬期間におきる出血は消退出血と呼び、子宮内膜が剥がれて排出されるときのもので、排卵がないだけで生理と同じような出血です。
消退出血がおきれば妊娠していない可能性が高く、避妊が成功しているか確認できるというのもメリットです。
ピルは28日を1サイクルと数え、最後の4~7日は休薬期間として服用を休み、28錠タイプの場合、偽薬というホルモンが含まれていない薬を飲みます。
毎日正しい服用をしていれば、休薬期間中も避妊効果は得られるため、自己判断で休薬しないなどの対処はしないでください。
まとめ
ピルの副作用は、マイナートラブルや血栓症のリスクが代表的ですが、必ずしも全員に同じような症状が出るとは限りません。
薬にはさまざまな種類があり、目的やライフスタイルによって自分に合ったものを選べます。
ピルは医師の診断を受けて処方される薬のため、服用開始後も定期的に検診を受けることにより副作用のリスクは最小限に抑えられます。
副作用について気になることや不安になることはさまざまですが、医師に相談することで解消できることも多いものです。
三軒茶屋ウィメンズクリニックでは、女性のライフパートナーとして日本産科婦人科学会認定 産婦人科専門医、日本生殖医学会認定 生殖医療専門医をはじめとする資格を持つ院長を中心とし、スタッフと共に安心してご相談いただける婦人科を目指しております。
ピルの処方の際は血液検査と子宮頸がん検査を実施し、血栓症のリスクを回避するように努め、安全な処方をしております。
ピルについての質問、疑問などは、三軒茶屋ウィメンズクリニックへお気軽にご相談ください。
#ピル #副作用
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