不妊治療はいつから始める?知っておきたいタイミングと原因・治療の流れと費用まで解説

不妊治療 いつから

なかなか赤ちゃんができず、不安を感じている方は少なくありません。

妊活を始めてしばらく経つと、「そろそろ婦人科を受診したほうがいいのかな?」と悩む場面も出てくるものです。

とはいえ、「まだ早いかも」「もう少し自然に任せてみようかな」と迷ってしまうこともありますよね。

この記事では、「不妊治療はいつから始めるべきか?」とお悩みの方に向けて、治療を始めるタイミングの目安や不妊の主な原因、治療のステップをわかりやすく解説します。

また、不妊治療にかかる費用やサポート制度についてもご紹介しますので、治療を検討している方はぜひ参考にしてください。

不妊とは、どんな状態のこと?

不妊治療 いつから

公益社団法人日本産科婦人科学会によると、妊娠を望む健康な男女が避妊をせず性行為を行っているにも関わらず、1年間妊娠に至らない場合を『不妊』と定義しています。

ただし、近年では男女ともに多忙なライフスタイルを送っていることが多く、妊娠を望んでいても思うように性交のタイミングが取れないケースもあります。

そうした場合には、すぐに不妊と決めつけるのではなく、まずは排卵日を意識してタイミングを合わせることで妊娠に至るケースも少なくありません。

一般的に女性は、年齢を重ねるごとに妊娠しやすさが徐々に低下していくとされています。

特に35歳を過ぎると妊娠率が大きく下がる傾向があるため、希望するタイミングで妊娠できるよう、積極的な妊活や早めの相談が重要です。

不妊の原因は女性にも男性にもある

不妊治療 いつから

近年では「不妊の原因は男性にもある」という認識が徐々に広がっていますが、ひと昔前までは、不妊といえば女性に原因があると思われがちでした。

そのため、不妊治療=女性が受けるもの、というイメージを持っている方も少なくないかもしれません。

しかし実際には、不妊の原因は女性側にある場合もあれば、男性側にある場合、さらには男女双方に原因がある場合もあります。

ここでは、女性と男性それぞれに考えられる主な不妊の原因を見ていきましょう。

女性側の主な原因

女性側の不妊の主な原因としては、以下のようなものが考えられます。

排卵の異常

月経が規則的な女性は、次の月経のおよそ2週間前に排卵が起こります。

しかし、無月経・月経不順・多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)・甲状腺疾患などがあると、ホルモンバランスが乱れ、排卵がうまく起こらないことがあります。

また、極端なダイエットや精神的ストレスもホルモンに影響を与え、排卵障害を引き起こす原因です。

卵管の閉塞・癒着

卵管は、卵子と精子が出会う大切な通り道です。この卵管に詰まり(閉塞)や狭窄、癒着などがあると、受精が起こらず妊娠に至りません。

特に、クラミジア感染症などの無症状の性感染症が原因で、気づかないうちに卵管が塞がっていることもあります。

また、子宮内膜症により卵管周囲が癒着し、卵子をうまくキャッチできなくなることもあります。

頸管の異常

排卵期になると、子宮頸管から分泌される粘液が精子の通過を助けます。

しかし、頸管が狭かったり、粘液の分泌が不足していたりすると、精子が子宮内へ進みにくくなり、妊娠の可能性が下がります。

子宮の疾患

子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜症などの疾患があると、受精卵がうまく着床できなかったり、妊娠に適した内膜環境を保てなかったりすることがあります。

また、過去の手術や炎症によって子宮内に癒着が生じている場合も、妊娠を妨げる原因となることがあります。

卵子の老化(加齢による質の低下)

女性は生まれたときから卵子の数が決まっており、年齢とともに卵子の数・質ともに低下します。

特に35歳を過ぎると妊娠率は大きく下がり、流産率も上昇する傾向があるため、年齢に応じた適切な治療選択が重要です。

男性側の主な原因

男性側の不妊の主な原因としては、以下のようなものがあります。

精子の状態に関する問題

男性不妊で最も多いのが、精子の数や質、運動率に関する問題です。

  • 無精子症:精液中に精子がまったく存在しない
  • 乏精子症:精子の数が極端に少ない
  • 精子無力症:精子の運動率が低く、卵子までたどり着けない

これらの状態は、自然妊娠を難しくします。

精管の障害

精子の通り道である精管に問題があると、精子が体外に出られず不妊の原因になります。

原因としては、先天的な両側精管欠損、精巣上体炎による閉塞、鼠径ヘルニアの手術後の癒着などが考えられます。

性機能障害

性機能に問題があり、うまく射精できないケースも妊娠できない原因としてあげられます。

例えば、以下のような場合です。

  • 勃起障害(ED):性交自体が難しくなる
  • 射精障害:射精がうまくできない

これらは、ストレスやプレッシャーのほか、糖尿病・高血圧・服薬の影響などが原因となることもあります。

精子の質の低下(加齢)

男性も年齢を重ねるにつれ、精子をつくる能力が低下していきます。

加齢により、精子の数や運動性、DNAの損傷率が悪化することが知られており、妊娠率の低下や流産リスクの増加に関わるとされています。

不妊治療はいつから始める?

不妊治療 いつから

不妊治療をいつから始めるべきか、あるいはどのタイミングで婦人科を受診すればよいのかには、厳密な決まりはありません。

しかし、いくつかの目安があります。

不妊治療の目安は妊活開始から1年

一般的には、避妊をせずに性交渉をしているにもかかわらず、1年間妊娠しない場合に『不妊』とされます。

そのため、妊活を始めてから1年経っても妊娠しない場合は、婦人科を受診するようおすすめします。

年齢によっては早めの受診がカギ

女性は年齢を重ねるにつれて卵子の質が低下し、妊娠の確率も下がっていきます。

特に35歳を過ぎると妊娠する力が大きく低下するといわれており、妊娠までにかかる期間も長くなる傾向があります。

そのため、30歳以降の方、特に35歳以上の方は妊活から1年を待たずに早めに受診することが大切です。

不妊治療のステップと流れ

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夫婦で話し合って不妊治療を受けることで合意したら、まずは婦人科を受診しましょう。

婦人科ではまずは検査で不妊の原因を突き止め、その原因に応じた治療を行います。

ステップ1:不妊の原因を調べる検査をする

不妊の原因はカップルごとに異なるため、適切な治療を始めるには正確な診断が大切です。

主な不妊検査には以下のようなものがあります。

血液検査

血液を採取して、以下のようなホルモンの分泌状況を調べます。

  • 卵胞刺激ホルモン(FSH)
  • 黄体ホルモン(LH)
  • プロラクチン(PRL)
  • 甲状腺ホルモン(TSH、FT4など)

ホルモンバランスの乱れは排卵障害の原因になります。

検査は月経周期に応じて、数回に分けて行われるのが一般的です。

必要に応じて、糖尿病や甲状腺疾患など、全身の健康状態を確認する検査が追加されることもあります。

超音波検査

経腟プローブ(膣から挿入する棒状の器具)を用いた超音波検査で、子宮や卵巣の状態、卵胞の発育状況、子宮内膜の厚さなどを確認します。

子宮筋腫や子宮内膜症など、妊娠に影響を与える疾患の有無もチェックします。

精液検査(男性側の検査)

男性側では、採取した精液を顕微鏡で調べて精液量、精子濃度、運動率、奇形率などを確認します。

精液性状は日によって異なるため、複数回行って正確な状態を見極めることもあります。

その他の検査

必要に応じて、以下のような追加検査が行われることもあります。

  • 子宮卵管造影検査(卵管の詰まりを確認)
  • 子宮鏡検査(子宮内の形状やポリープなどを調べる)
  • 感染症検査(クラミジア、B型肝炎など)
  • フーナーテスト(性交後検査)

ステップ2:不妊治療をスタート

検査結果が出たら医師の説明を受けながら、原因に応じた適切な治療方針を決めていきます。

治療は体や心への負担を考慮し、できるだけ負担の少ない方法から段階的に進めていくのが一般的です。

不妊治療の主な流れは以下のとおりです。

1.タイミング法

排卵日を予測し、もっとも妊娠しやすい時期に性行為をもつ方法です。排卵が確認できており、精子にも問題がない場合にまず試されます。

2.人工授精(AIH)

採取した精子を洗浄・濃縮し、排卵期に合わせて子宮内へ直接注入する方法です。

精子の運動率や数にやや問題がある場合、性交が困難な場合、またはタイミング法で妊娠に至らなかった場合に選択されます。

3.体外受精(IVF)

卵子と精子を体外で受精させ、受精卵を子宮に戻す方法です。

卵管に閉塞がある場合や、タイミング法や人工授精で妊娠が成立しない場合などに用いられます。

4.顕微授精(ICSI)

精子を1つ選び、卵子の中に直接注入して受精を促す方法です。

体外受精でもうまくいかない場合や、精子の数が極端に少ない・運動性が低い場合、原因不明の不妊のケースで検討されます。

一般的な治療スケジュールと所要期間

不妊治療は、検査・治療・経過観察を繰り返しながら進めていくため、ある程度の期間が必要になります。

不妊治療のステップ所要期間の目安
タイミング法数ヶ月~6ヶ月程度
人工授精(AIH)3~6回程度試すことが多い
体外受精(IVF)3~4回程度(1回の治療周期:約1~2ヶ月)
顕微授精(ICSI)複数回(1回の治療周期:約1~2ヶ月)

※治療の進み方には個人差あり。状態や希望に応じて間隔の調整可能

不妊治療にかかる費用の目安

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不妊治療には通院や検査、治療に応じた費用がかかりますが、2022年から保険適用の範囲が広がり、費用負担が軽減されました。

保険適用となる不妊治療

現在、タイミング法・人工授精・体外受精・顕微授精などが保険の対象です。

治療開始時に女性が43歳未満であることが条件で、年齢によって治療回数に上限があります。(40歳未満は最大6回、40~43歳未満は最大3回まで)

おおよその自己負担額(3割負担)は以下のとおりです。

不妊治療の種類費用の目安(1回当たり)
タイミング法3,000~9,000円程度
人工授精6,000~9,000円程度
体外受精30,000~39,000円程度
顕微授精45,000~63,000円程度

※医療機関によって異なる

自費診療となる場合の費用の目安(43歳以上など)

保険適用の年齢を超えた場合や、自由診療を選択する場合は、全額自己負担となります。

不妊治療の種類費用の目安(1回当たり)
タイミング法10,000~30,000円程度
人工授精20,000~30,000円程度
体外受精100,000~130,000円程度
顕微授精150,000~210,000円程度

医療機関によって金額が異なり、オプション(培養法や検査)で追加費用が発生することもあります。

高額療養費制度との併用で負担を軽減

保険診療であっても、1ヶ月の医療費が高額になる場合は『高額療養費制度』を使うことで一定額を超えた分が払い戻されます。

事前に『限度額適用認定証』を取得しておくと、窓口での支払いを抑えることができます。

まとめ

赤ちゃんを授かれない期間が続くと、「もしかして不妊かも……」と不安になるものです。

「不妊治療はいつから始めるべきか」と迷ったときは、妊活を始めて1年以上経っても妊娠しない場合をひとつの目安にしましょう。

特に30代後半からは妊娠の可能性が下がるため、できるだけ早めの受診をおすすめします。

三軒茶屋ウィメンズクリニックでは、不妊に関する検査や治療を丁寧にご案内し、患者さん一人ひとりに合った方針をご提案しています。

少しでも不安を感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。

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